MBS(毎日放送)

結膜炎だと思ったら新型コロナ?感染症の専門家「人は1時間に何回顔を触りますか」【MBSニュース解説】

解説

SHARE
X
Facebook
LINE

 「目ヤニがでたりゴロゴロします」「朝起きたら目ヤニがすごかった」。いま、目の異変を訴える新型コロナウイルス患者が増えています。症状は結膜炎・目がかすむ・涙が出る・目ヤニが出るなど様々です。(2023年7月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

 (いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長)
 「6月の2週目ぐらいから目のゴロゴロ感・痛みを訴える患者が増え始め、最初は1割~2割ぐらい、最近は3割近くの患者さんが目の症状を訴えている」

 新型コロナ感染後に結膜炎の症状が出た男性は「ちょっと目がゴロゴロするなと思ったら、目の周りが荒れて目が開かなくなっていました」と話します。この男性は感染5日後に目に異変を感じ、病院へ。結膜炎と診断されました。別の家庭では1歳の子どもが結膜炎を発症したのちに発熱。あとからコロナ感染がわかったケースもありました。これまであまり耳にしてこなかった「結膜炎とコロナ」に因果関係はあるのでしょうか?

 ーーここから関西福祉大学の勝田吉彰教授の解説です。目の異変を訴える患者さんについて、勝田教授は「目はウイルスの侵入経路の一つである。目からコロナウイルスが入り、結膜炎を引き起こす可能性はある」という見解ですね?

 勝田吉彰教授:スペインから論文が出ていまして、入院が300例、その中で結膜炎と診断できたのが11.6%ですね。ざっくり1割ぐらいが結膜炎ということですね。

 ーー赤ちゃんが結膜炎になって後にコロナとわかったという事例、そういったこともありますか?

 勝田吉彰教授:もちろん理論的にはありえますし、実際に起こったということですね。

 ーー大阪市内にある眼科医師に伺いますと、コロナウイルスから引き起こる結膜炎の特徴というのはまだわかってないということですね。目の異変を訴える新型コロナ患者が増加している原因について勝田教授に伺いますと、「感染対策が緩和してきたことが原因の一つであるだろう。人は1時間に約30回顔を触る」と。

 勝田吉彰教授:実は、2007年ごろの鳥インフルエンザ騒動のときにこの話題が出て、1日測ってみたら1時間で20~30回触っているということなので、1日だと何百回ということですよ。それだけ触っているということは、触るなと言っても無理ってことなんですね。ですから、触ってもウイルスが目などにつかないように手洗いをしっかりしてくださいという話になります。

 ーーこれまでのコロナ感染対策をしっかりすること、あと結膜炎になった場合は「家族でタオルや目薬を共有しないでください」ということですね?

 勝田吉彰教授:顔を触らなくなるような工夫をね。例えば、結果としてマスクをすることで顔を触る回数が増えないとか、お化粧のあとに触らないようにするとか。くれぐれもご注意ください。
1.jpg
 ーー新型コロナの定点あたりの報告数は、6月25日までの1週間で、全国平均6.13人。大阪は5.16人です。沖縄は39.48人と、かなり多くなっていますが?

 勝田吉彰教授:これから9波という言い方をするかどうかは別として、一つの大きな波になっています。毎年、冷房の季節になると窓を閉める。すると、換気ができなくなるので、すこし窓を開けてほしいですね。

 今年7月に実施したJNN世論調査では、コロナの再流行について「とても不安・18%」「少し不安・40%」「あまり不安ではない・28%」「全く不安ではない・14%」と分かれています。


 ◎勝田吉彰氏:関西福祉大学教授 医師でもあり、感染症などの公衆衛生に詳しい SARS流行時に北京で日本大使館医務官を務めた

2023年07月03日(月)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【空き家放置リスク】最大の課題は「所有者の無頓着・無関心」解体費用が高くて放置...やはりお金がネックに?空き家数は過去最多『900万戸』そのウラには"相続問題"が?

2025/11/23

【原案可決98%】県庁前では「斎藤やめろ!」それでも"着々と進んでいる"斎藤県政『県立大無償化』『子育て支援』など 再選から1年の兵庫県政を検証

2025/11/21

【8~9割のカキが死んだ】冬の味覚がピンチ!瀬戸内海のカキに何が起きた?考えられる原因は「異常な高水温」「エサ不足」打開策はある?

2025/11/21

【大分で大規模火災】強風・地形で被害拡大か..1km以上離れた島にも延焼 住宅密集地ゆえ消火活動が難航?「一方向からの放水しかできなかったのでは」【元東京消防庁・特別救助隊員が解説】

2025/11/19

【日中関係悪化】国営メディアのSNS「別アカ」から中国の本音が見える? 尖閣諸島問題や処理水放出"過去のケース"から考える「関係悪化のおさめ方」

2025/11/19

高市政権が進める"17兆円超の経済政策"には副作用も?「むしろ円安になって物価高を助長する可能性」 政策の矛盾・悪いシナリオを専門家が指摘

2025/11/18

"存立危機事態"めぐる高市総理の答弁は「本音がぽろっと出てしまった」元JNN北京特派員・武田一顕氏が指摘 訪日客減少やレアアース輸出停止など影響は?現状"打つ手なし"も「G20首脳会議」で中国首相との接触あるか

2025/11/17

兵庫県では今年度『クマの狩猟禁止』 理想の対策?兵庫県の"数の管理"とは 被害相次ぐ全国では難しい部分も「予算・人材・体制など不十分」と専門家

2025/11/14

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook