2025年09月03日(水)公開
政治家のSNSかたる"偽アカ"急増 プロフィールから誘導されたのは『カタール通貨で植物が販売されるサイト』 専門家「クレカ情報を抜き取るためではないか」
編集部セレクト
いま、議員のSNSをかたった「偽アカウント」が横行しています。その目的とは。
本物のアカウント名との差は「x」の一文字のみ 巧妙に作られた“偽アカ”
自民党で大阪府議の占部走馬氏と杉本太平氏の2人は、8月中旬、インスタグラムで何者かに偽のアカウント=「偽アカ」を立ち上げられました。
(占部走馬府議)「私のアカウントを完璧に模した“偽アカ”を作られた」
(杉本太平府議)「私の信用がおとしめられている。憤りを感じていますね」
占部議員の本物のインスタグラムアカウントは「somaurabe」ですが、偽物ではuとrの間に「x」が入っています。しかし自己紹介の文面はもちろん、投稿している写真もまったく同じでした。
「偽アカ」はなぜ削除されないのでしょうか。
(占部走馬府議) 「(運営側へ)通報するときに『これは偽アカです。私が本人です』と言うといいそうなのですが、(偽アカにブロックされていて)そのページにいけないので通報もできない。こういうことはただちにやめてもらいたい」
偽アカが送ったメッセージ「経済の最新動向」などの文言
議員をかたった「偽アカ」を記者がネットで調べてみると、多数の議員らが注意を呼びかけていました。これらは8月以降に増えてきたとみられます。
そこでMBSは、大阪府議と大阪市議を対象にアンケート調査を実施。そこには次のような回答がありました。
「把握したきっかけは、知り合いから多数のDMにて報告を頂いた」
「悪用については、投資関連のサイトに誘導されるようです」
少なくとも10人がアカウントを偽造されていたことがわかりました。実害は確認されていないものの、投資詐欺に利用されたのでは、と心配する声が目立ちました。
大阪維新の会の中野稔子府議 は、「偽アカ」がフォロワーに送ったメッセージを保存していました。
そこには、「経済の最新動向」や「年金と老後資産のリアルな話」などを無料で学べるLINEグループに招待したいといった内容が書かれていました。
プロフィール欄には怪しげなURL…植物が売られているサイトに誘導
さらに取材を進めると、議員の「偽アカ」をフォローしようとした際、「奇妙なことが起きた」と話す女性にたどり着きました。
(女性)「フォローボタンを押したらぴこっとこの画面が出たんです。『カタール オンライン プランツマーケット』。植物売っているのかな?」
出てきたのはインスタグラム側からの警告表示。それによると偽アカの所在地は中国で、「カタール オンライン プランツマーケット」などと過去に合計12回も名前を変えていたと書かれていたのです。
中東の人物なのでしょうか。手がかりを探すと、プロフィール欄には怪しげなURLが出てきました。URLをクリックしてみると、『詐欺の可能性があります』というポップが出現。リンクを開くと、植物が売られているサイトに誘導されました。
アラビア語が書かれたサイトで、「ココナッツの木」や「イチジク」などが、カタールの通貨で販売されていました。
さらに調べると、この人物の連絡先を発見。電話番号の国番号はやはり「カタール」。メールアドレスにはアラビア語圏の男性の名前に多い「モハメッド(mohammed)」の文字が。
この番号に取材班が電話したところ、すぐに切られました。その後、何度発信するも結局、応じませんでした。
「典型的な“LINE投資詐欺”の手口」と専門家が指摘
彼らの狙いはいったい何なのか。専門家に話を聞きました。
(詐欺防止ネットワーク 松田俊也代表理事)「典型的な“LINE投資詐欺”の手口だといえます。選挙でSNSについて一般の人たちが興味を持っていることに目を付けたと。興味を集めているなら、“偽アカ”を作れば人がくるのではと」
植物の販売サイトへの誘導については「クレジットカードの情報を抜き取るためではないか」と指摘しました。
日々新たな手口を生み出す詐欺師たち。違和感を察知する力が求められています。
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