2025年12月06日(土)公開
【大阪みやげの新定番】たこ焼き×サクサクパイの意外な組み合わせで大ヒット 花がモチーフの「大人かわいい」商品は地道な活動とSNSが追い風に みやげ店内での"場所取り"にもヒミツ
編集部セレクト
大阪みやげといえば、すぐに思い浮かぶ「定番」がいくつかあると思いますが、実はいまその「定番」の勢力図が塗り替えられつつあるようです。いったいどんな新顔が登場しているのでしょうか?
売り上げランキング64か月連続1位!大阪みやげの新定番

大阪・関西の玄関口、新大阪駅。駅のみやげもの店で「大阪みやげといえば?」と質問してみると…
「豚まん一択です」
「点天の餃子」
「月化粧」
と様々な答えが返ってきました。そんな数多くの大阪みやげが並ぶ激戦区、新大阪駅でいま人気なのが…
みやげもの店「アントレマルシェ エキマルシェ新大阪店」で売り上げランキング64か月連続1位の「たこパティエ」です。2020年から5年以上トップに君臨しています。
(愛知から)「以前おみやげで買ったときにおいしかったので。甘じょっぱくて癖になる味」
(東京から)「最初はおみやげで自分たちで買って食べて、おいしくてみんなにもあげようと」
たこパティエは、たこ焼きをイメージして作った一口サイズのサクサクのパイで、味の決め手はブリュレされたソースとザラメ。甘じょっぱい味が誕生しました。さらに、北海道産のたこの粉も使い、たこ焼きらしさを追求した新しいスイーツです。
群雄割拠の大阪みやげ商戦でなぜ1位の座を獲ることができたのか?そこには数々の秘密がありました。
命じられたのは「定番となるたこ焼きスイーツ」の開発

神奈川県出身で、帰省するときは必ずたこパティエを買って帰るというMBS・中野広大アナウンサーがやってきたのは、大阪・八尾市にある菓子メーカー「瓢月堂」の本社です。
1936年、モナカの製造で創業した瓢月堂は、洋菓子づくりにも事業を拡大してきましたが、いまの主力商品はたこパティエ。生産数は1日約10万本にのぼります!
たこ焼きとパイが合体した新感覚の大阪みやげ。この組み合わせは、瓢月堂が直営するケーキ店「パティシエ オカダ」のパティシエのアイデアで誕生しました。
開発者の岡田正二郎さんが会社から命じられたプロジェクトは「新しい大阪みやげの定番となるたこ焼きスイーツの開発」でした。
(岡田正二郎さん)「(Qたこパティエを開発する上で大変だったことは?)たこ焼きのお菓子というテーマしかなくて、ゴールが見えていない状態で商品を開発を進めますので、何をすればわからない状態」
1年以上の試作でたどり着いた一口サイズのパイ

開発当初、岡田さんは既存の洋菓子の製法やたこ焼きの「形」から離れられませんでした。
(岡田正二郎さん)「丸いものにチョコレートかけて見た目がたこ焼き。(たこ焼きの)既成概念がすごく強いので、四角に行き着くのは苦労しました」
同僚や取引先からアドバイスを受けて1年以上試作を繰り返し、たどり着いたのが一口サイズのパイ。
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(岡田正二郎さん)「(Qなぜこの形になった?)女性の方は食べられるときに、丸だと口を大きく開けないといけない。おみやげなので、口を大きく開けなくても食べられるというのがいいよねと」
さらに、パッケージにも購入後の満足度を上げる秘密が。おみやげを配るときに嬉しい工夫です。
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(瓢月堂 岡田美佐代さん)「(Qこの形、特徴的ですよね?)社長が考えたんですけど、ハンバーガ店でポテトを食べながら『あっ!』と思ったと言っていました」
ハンバーガーチェーンのポテトからヒントを得て作った6本入りの容器。立て置きなのでバラけず、置き場の面積もとりません。オフィスやリビングでも配りやすくなっています。
みやげ店内でのポジション取り「売れる場所がある」

ただ、おみやげトップへの道は商品開発の成功だけでは終わりません。開発プロジェクトのもう一つの柱、「駅で売るため」の戦略が練られていました。
それが、みやげ店内のポジション取りです。
(瓢月堂 岡田美佐代さん)「売れる場所があるんですよ。その場所をとらないと売れない。ここに置いたら絶対売れますよとお願いして。売れなかったら(売り場を)変えられますけど。(Qどのあたりが一番売れるなどある?)1番表が派手に見えるからいいかなと皆さん思うんですけど、意外と中のほうが売れたりすることもあるんですね。店のつくりや、人の流れによって変わるので」
店頭で人の流れを見て手に取ってもらえる置き場所を独自に調査。こうした努力が実り、定番みやげを抜いてトップの座に就きました。
来年で販売開始15年を迎えるたこパティエ。新しい大阪みやげの地位を築いています。
売り上げトップを狙うおみやげはほかにも…テーマは「大人かわいい」

ほかにも、売り上げトップの座を狙う大阪みやげがあります。
「めちゃくちゃおいしい。ケーキを食べている感覚」
「見たことない、おもしろそうだな、おしゃれだなって」
花をかたどった鮮やかなラングドシャに、ふわりと軽いクリームが乗った「大阪花ラング」。見た目の可愛さが話題となり、2019年の誕生から6年で2000万個を売り上げています。
今年10月には阪神梅田本店に専門店がオープン。さらに人気が拡大する大阪花ラングを三ツ廣政輝アナウンサーがいただきました。
(三ツ廣政輝アナウンサー)「いただきます…サクサクホロホロで美味しいですね。生地とクリームの甘みが絶妙です。いちごとブルーベリーのアクセントが最高ですね」
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(広報担当 新行希望さん)「ターゲットは20代から40代の女性にしまして、テーマは『大人かわいい』。より上品で洗練された大阪みやげを目指しております」
最大の壁は「薄く繊細な花びら」

おしゃれで可愛い大阪花ラングを手がけているのは、大阪みやげの大定番「おこし」を作る老舗菓子店「あみだ池大黒」です。
(あみだ池大黒 岡崎一弘さん)「大阪のおみやげを作るメーカーですので、いつか大阪の鉄板と呼ばれるお菓子を作りたいということで、社長とか部長とか幹部を集めてプロジェクトが立ち上がって、大阪花ラングができあがりました」
大阪花ラングを開発した岡崎一弘さん。元々はパティシエで七代目の社長から「新定番となる大阪みやげ」の開発を任されました。
数多ある大阪みやげの中から選んでもらうため、岡崎さんが考えたのは見た目でインパクトのある「立体的な美しい花」のイメージ。
(あみだ池大黒 岡崎一弘さん)「ラングドシャって2枚のタイプで四角いものが多い。差別化を図ることでお客様の目を引くということで、花形のラングドシャにしました」
ただ、実現するうえで最大の壁となったのが「薄く繊細な花びら」でした。
(あみだ池大黒 岡崎一弘さん)「立体的にすると割れやすくなるんです。生地をかたくすると割れは減るんですけど、食べたときにおいしくないんですね」
商品開発のためにイチから専用の機械を導入。開発には2年もの月日がかかりました。花びらを立体にする焼き方は企業秘密ですが、割れない限界で美味しさと見栄えの良さを追求しました。
試食品の配布や購入者によるSNS投稿が宣伝の追い風に!

完成した商品の味を知ってもらおうと、発売当初から毎日、新大阪駅でひとつひとつ試食品を配布。1日約3000個を配っていたことも。
地道な活動に加えて、見た目の可愛さから購入者によるSNS投稿が宣伝の追い風となり、3年前からおみやげランキング上位の常連に仲間入りしました。
(あみだ池大黒 岡崎一弘さん)「『大阪』花ラングとありますけれども、関西の方に末永く愛されるようなお菓子に育っていってほしいと思っています」
歴史ある大阪の菓子メーカーが作る大阪みやげの新定番。年末年始の帰省にいかがでしょうか?
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