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ワイン造りに情熱捧げる滋賀のブドウ農家 目指すは地元食材を生かした料理と一緒に楽しむワイン いずれは世界へ...初めて挑んだ醸造のゆくえは?

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 滋賀県発のワインが11月29日に初めてお披露目されました。このワインは栽培から醸造まで滋賀にこだわっています。 20年越しの夢であったワイン造り挑戦したブドウ農家に密着しました。

「ようやく夢をかなえるための道具がそろった」初めてのワイン醸造に挑戦

 自ら育てたブドウで、自ら醸造したワイン。11月15日、初めての瓶詰め作業が行われていました。

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「初めて瓶に詰まると、いよいよだなという感じですね。ここまでいろいろと悩んできたので」

 滋賀県近江八幡市の三崎清隆さん(40)。県内で初めてとなるブドウ農家が開いたワイナリーのオーナーです。琵琶湖にほど近くコメづくりが盛んなエリアに今年春に開業した「空色ワイナリー」。

 中にはワインを造るためのタンクがずらりと並びます。
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「これが私たちのスタートラインでしたので、ようやく夢をかなえるための道具がそろった」

ワイン造りを決意したきっかけは…

 コメや鶏の卵などを生産する農家に育った三崎さん。進学した農業大学校で、地元・滋賀県が果物産出額で全国最下位だと知り、将来果物を育てたいと思うようになりました。

 卒業後、ブドウ栽培を勉強するため訪れた山梨県で見た光景に惹かれ、ワイン造りへの挑戦を決意したといいます。
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「地元で採れたものと、地元のワインを造っている生産者、そして一般消費者との距離感がすごく近くて、和気あいあいと、お互いつくったものを楽しんで飲み食いする現場を目の当たりにして、こういう場所が地元でできたらいいなということで、ワインの魅力に引き込まれていった」

 目指すのは、滋賀県の食材を生かした料理と一緒に楽しむワイン。生まれ育ったこの土地の魅力をワインを通して多くの人に感じてもらいたいと考えました。

水田だった土地をブドウ栽培に転用 合間に醸造の勉強を積み重ねる

 元々水田だった土地を畑に転用、2011年にブドウの栽培に乗り出しました。

 6年前にワイン用の品種もはじめ、いまはワイン用の木だけで5種類、4000本以上があります。

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「白ワインになるシャルドネという品種です。生食用と比べると圧倒的に果実が小さい」

 フランス・ブルゴーニュ地方を原産とする世界的に有名なワイン用ブドウで、”白ワインの女王”とも呼ばれています。

 初めての挑戦、栽培への道のりは険しいものでした。

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「晩腐病という(病気)。カビ(が原因)です。これだけ晴れていても湿気だけでこうなる」

 ワイン用ブドウは特に病気になりやすいことなどから栽培には湿度の低い環境が向いているとされています。
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 元々水田だった畑は、水はけを良くするために地中にパイプを埋めたり、地面からの湿気の影響を減らすため、実がなる位置を高くしたりと様々な工夫を凝らしました。

 しかし、せっかく育てた実が鳥やアライグマに食べられてしまうことも。駆け出しのいま、あまりお金はかけられません。ロケット花火で追い払ったり従業員が何度も見回るなど根気強く地道に対策します。

 その傍らで・・・
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「(ワインの)分析方法とか、こんなときにこんなことをしたらダメとか、基本的なルールからいろんなことが書かれている。朝は結構仕事に追われてしまうので、夜とか今まではそうですね、夜の時間とか使ってましたね」

 ブドウ栽培の合間をぬってワインの醸造に必要な勉強も積み重ねてきました。

いよいよワイン造りを開始!テイスティングを重ね慎重に作業

 今年9月には醸造に必要な免許を取得。いよいよワイン造りを開始。手摘みで収穫したブドウを果汁を絞る機械に入れていきます。

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「どれぐらいの圧力をかけるかで最後苦味とか渋みとか出てきますし、最初は優しく圧力をかけて、後半にかけてだんだん圧力がかかるように」

 ワインの出来に関わるため、何度も味を確認します。
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「ここから味がまた変わってきます。皮の渋みとか、うまみ成分とか出てくるので、テイスティングしながら最後どこで(搾汁を)止めるかを決めます」

 慎重に絞られた約1tの果汁が、タンクへと送られます。これから熟成しワインに注目の集まる秋のボージョレ・ヌーボー解禁時期の発売を目指します。

味を決める「濾過作業」出来栄えは?

 1か月後、味を決める「濾過」作業です。タンク内で熟成されたワインをフィルターにかけ、濁りや雑味を取り除きます。

 濾過しすぎると必要な香りや味わいも失われるため、一瞬も気が抜けません。

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「今のところ嫌な香りもないですし、比較的クリーンなワインになってるんじゃないかと」

 順調に進んでいく作業。ところが・・・

 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「フィルターで目詰まりしてるってことやな。長いことやるとポンプが熱持ってきて焼けてしまう」

 ワインの味を決める「濾過作業」で思ったようにワインが流れません。メーカーに電話で対応策を聞きながら試行錯誤します。
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「フィルターに詰まってきて、途中(フィルターを)交換しないといけないかと思いヒヤヒヤしたんですが、何とか最後までゆっくり流れてくれて、思ったような透明度まで濾過できたのかなと。何とか飲んでもらえるようなクオリティーにはなったんじゃないかなと」

 ブドウづくりから苦楽を共にした従業員からも笑顔が。

“世界のワインと勝負できるようなワインを造りたい”

 そして11月29日土曜日、出来上がったワインのお披露目会が行われました。

 「乾杯!」

 地元の人や同級生など約150人が参加。近江八幡市長もエールを送ります。

 (近江八幡市 小西理市長)「ここで醸造したという根性が入っていますよね。ここだけの味というのが、三崎さんもずっと言っていたので、自分の味というのをぜひ目指してほしい」

 滋賀県産の野菜や近江牛といった地元食材を使った料理とあわせ、みな思い思いにワインを楽しみます。

 (参加者)「ひと言目においしいなと。すごくクリアな味というか。地元からこんなおいしいワイン、他府県の方が飲んでもおいしいと思うので、普通にうれしいなと」

 今年は、赤ワインと白ワイン計約2700本を生産しました。
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 (参加者)「めちゃくちゃおいしいです、近江牛と合います。ほどよく酸味があって近江牛と合わせるとぴったりやと思います」

 滋賀で自らワインを造るという目標が実った三崎さん。これからは“世界”へと目を向けます。
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 (空色ワイナリー 三崎清隆さん)「本当の夢は世界のワインと勝負できるようないいワインを造りたいというのがやはり私の夢ですので、果実味とかトータルしていろいろ足りていないんですけど、これはもう一生かけて精進していきますし、いつかそういったワインが造れればいいなと」

2025年12月05日(金)現在の情報です

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