2026年02月07日(土)公開
11歳息子を刺殺した受刑者と初面会...我が子の写真見せ語られた真意「誰でもよかった」 最後に交わした"アクリル板越しの約束"「現場で手を合わせ謝りたい」
編集部セレクト
2015年、和歌山・紀の川市で当時小学5年生の男の子が自宅近くで遊んでいたところ、刃物で刺され殺害されました。犯人は当時近くに住んでいた中村桜洲受刑者。 事件から11年が経ち、今回、息子を亡くした父が受刑中の加害者と初めて面会することになりました。MBSの取材班は遺族・受刑者双方から取材許可を得て面会に同行。 果たして、謝罪の言葉は聞かれたのか。そして2人は何を語ったのでしょうか?
「本当の苦しみ分かっていない」事件後10年も…謝罪なく賠償も支払われず

和歌山県紀の川市に住む森田悦雄さん(77)。2015年2月5日、最愛の息子を亡くしました。
(森田悦雄さん)「ほんまに悔しい思いをしてるやろって言って、いつも話をしてるんですけどね」
当時小学5年生だった森田さんの次男・都史くんは、自宅近くの空き地で1人で遊んでいたところ、刃物で刺され殺害されました。刺された箇所は頭や肩など10か所以上にのぼりました。
逮捕されたのは近所に住んでいた中村桜洲受刑者。中村受刑者は殺人罪などで懲役16年を言い渡され服役しています。
(森田悦雄さん)「子どもの無念さをひしひしと感じていました。(受刑者は)本当の苦しみっていうのは、わかっていないやろうなと」
事件から10年が過ぎても中村受刑者から謝罪はなく、民事裁判で認められた約4400万円の賠償についても支払われていません。
「都史くんを刺し殺してしまいました」受刑者の手紙には“反省の弁”

受刑者は今、何を思っているのか。森田さんは刑務所を介して受刑者に思いを伝える「心情伝達制度」を使って初めて気持ちを伝えました。その後、手紙でのやり取りが始まりました。
【中村受刑者からの手紙】
「お久しぶりです。自宅近くの空き地で森田都史くんを刺し殺してしまいました。どうしてこんなことをしてしまったのか考えています。ごめんなさい」
手紙に書かれていたのは、鉛筆で書かれた「反省の弁」でした。
「文面でなくて自分の口で謝ってほしい」突然弟を失った2歳違いの兄

初めてインタビューに応えてくれた、都史くんの兄・蒼也さん(23)。当時中学1年生だった蒼也さんは、2歳違いの弟を突然失ったショックなどから、約1年にわたり学校へ通えませんでした。
(都史くんの兄 蒼也さん)「今まで3人で暮らしていて、急に1人減って、一番明るい子がいなくなったのは、俺とお父さんにとっても、家の雰囲気が暗くなると」
蒼也さんが願うのは、中村受刑者からの直接の謝罪です。
(都史くんの兄 蒼也さん)「一番は口頭で謝ってほしい。文面でなくて自分の口で、都史に謝ってほしい」
その思いは父親も同じです。去年11月、中村受刑者に手紙で面会を打診。すると数日後、「面会に来てください」と受刑者から返事が届きました。
「事件の時はどんな気持ちだった?」初面会で真意問うも受刑者は…

去年12月、森田さんは中村桜洲受刑者と面会するため、収容されている刑務所へと向かいました。
―――どういうことを聞きたい?
(森田悦雄さん)「謝罪をするかということ。自分の気持ち、本心から。事件当時はあんなひどいことをしたのだから、どういう気持ちでいたのかを聞きたいなと」
約30分にわたって面会に応じた中村受刑者。直接姿を見るのは裁判以来、7年ぶりです。
(中村桜洲受刑者)「中村桜洲と申します。10年前は本当に申し訳ございませんでした」
か細く消え入るような声で謝罪した中村受刑者。しかし、それ以降の質問には…
(森田悦雄さん)「事件の時はどんな気持ちだった?」
(中村桜洲受刑者)「…」
(森田悦雄さん)「手紙で書いていた謝罪について、改めて聞かせてほしい」
(中村桜洲受刑者)「…」
具体的な受け答えは、ありませんでした。
都史くんの好物だったウインナーと目玉焼きを毎朝欠かさず作る森田さん。「ぜひ次回の面会では詳しく話をしたい」と都史くんに語りかけます。
(森田悦雄さん)「次回受刑者に会うときは、精いっぱい、いろいろなことを話したい。都史くんもお父さんと一緒に頑張るで」
これからどう償うか聞かれ…「現場に行って手を合わせて謝りたい」

2月2日、森田さんは再び中村受刑者のもとへ。森田さんは受刑者との間にあるアクリル板の前に都史くんの写真を置きました。都史くんにも本当のことを話して欲しいという思いからです。
(森田悦雄さん)「これ誰か分かりますか?」
(中村桜洲受刑者)「はい。僕が殺した人です」
そう話した後、写真に手を合わせた中村受刑者。事件の後、どんな思いでいたのか、森田さんが尋ねると…
(中村桜洲受刑者)「毎日反省しています。取り返しがつかないことをしてしまいました」
同席した記者が事件を起こした真意を尋ねました。
―――なぜ都史くんを殺害したのですか?
(中村桜洲受刑者)「誰でもよかったです」
―――誰でもよかった?
(中村桜洲受刑者)「たまたま、そのときに目に入ったから。悪いことをしてみたいと思った」
―――なぜ悪いことを?
(中村桜洲受刑者)「購入した刃物を使ってみたかったから」
裁判では都史くんを狙った理由について、「近所の悪ガキで迷惑だったから」と述べていた受刑者。しかし、本人が語った理由は「刃物を試してみたい」というものでした。
―――これからどのように都史くんに償っていきたい?
(中村桜洲受刑者)「一生懸命働いてお金を返します。現場に行って手を合わせて謝りたい」
(森田悦雄さん)「約束やで」
こう語りかけた後、森田さんはアクリル板越しに中村受刑者と手を合わせました。
「ここまで話をしてくれるとは思わなかった」

(森田悦雄さん)「ここまで話をしてくれるとは思わなかった。いろいろな話をしてくれて、事件当時のことも」
事件当時の思いを初めて聞き、複雑な思いを抱えながらも、森田さんは今後も面会を続けていきたいと言います。
(森田悦雄さん)「(アクリル板に)手を差し伸べたときに、手をそんなふうにしたから、何とかいい方向になりつつあるのかなと。都史くんにも報告でき、『ここまでできたんやで』って、本当に良かったと言ってもらえるようになると思うので、そうなるまで頑張りたい。いくつになっても」
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