2025年08月14日(木)公開
人工芝で雑魚寝..."オールナイト万博"として楽しむ人も お盆の万博で約3万人が足止め 夜通し対応したオランダ館スタッフ「最善の策は何か考えて行動した。実際とても良い夜だったと思う」
編集部セレクト
万博会場のある大阪メトロ夢洲駅の前を埋めつくす人々。8月13日午後9時半ごろ、大阪メトロ中央線で設備トラブルで電車への電力供給が止まり、一時全線で運転を見合わせました。
「ぎゅうぎゅう詰めの状態」大阪メトロが運転見合わせ…会場からの帰宅ラッシュ直撃
万博会場のある夢洲は、大阪湾を埋め立ててできた人工島。周りは海に囲まれ、鉄道は大阪メトロ中央線しかありません。夢洲駅では、入場規制が行われ万博からの帰宅困難者が続出する事態に。
万博会場のライブカメラを見ると、13日午後10時ごろの東ゲート付近は人はまばらですが、時間が経つにつれ、みるみるうちに帰宅困難者が増加。1時間後の午後11時ごろには多くの人で埋めつくされました。現地にいた人は…
「運ばれている人も何人かいますね、さすがに。警察とケンカしている人もいれば駅員とケンカする人もいるという感じ」
帰宅困難者の中には疲れ切って寝てしまう子どもたちの姿も。
「ぎゅうぎゅう詰めの状態で、蒸し風呂みたいな状態になって、気分が悪くなって大変ですわ。子ども連れていたら」
夜になっても30℃近い暑さで飲み水を汲みにくる人もあとを絶ちません。この事態に大阪府の吉村洋文知事はSNSで…
(吉村知事のXより)「大阪メトロ代替輸送バス16台で桜島駅に輸送。タクシーも引き続き夢洲へ集まってもらうとりうる手段をとっていきます」
代替輸送や終電の延長などを投稿しました。
現場にいた人によると、各社のバスも駆けつけ帰宅困難者をピストン輸送していたといいます。
“オールナイト万博”として夜通し万博を楽しむ人たちも
お盆休み後半戦の初日ということもあり、多くの人が訪れていた万博。博覧会協会は、運転再開まで来場者が万博会場内で待機できるよう東ゲートを開放し対応。電力館が電源タップを出し携帯電話の充電を可能にしました。
また、パビリオンをあけて見学できるようにしたオランダ館では、パビリオンの職員が水やクッキーを配布。ポルトガル館ではダンスを披露し、会場に残った人を楽しませました。
落合陽一さんが手掛けるパビリオン「null2」は…
(null2担当 村井大輝さん)「帰れないお客さんが少しでも楽しんでいただければと思って。いつもは午後10時ぐらいに消しているんですけど、LEDライトをつけさせていただいているのと、昼間では流せないDJ音楽を落合さんがセレクションして流しています」
このような状況にいっそのこと“オールナイト万博”として夜通し「万博」を楽しもうという人たちの姿も。万博のライブカメラには踊る人たちの姿もありました。
一方、ベンチでは多くの人が横になり人工芝は雑魚寝状態。
「寝たい、眠たい」
「キツイですね、想定外でした。でも途中でドイツ館の人がハリボーのグミを配布してくれた」
そして万博会場は、日の出を迎えました。お盆休みを直撃した地下鉄のトラブル。14日午前5時半前、ようやく全線で運転を再開しました。
混乱から一夜明け14日の万博は通常より30分遅く午前9時半に開場しました。
「きょうもそういうことがないように願っていました」
「なったらなったで何とかしようかなって」
「トラブルはつきものなのでしゃーないけど、きょうも9時にほんまは入りたかったけど入れへんのとか残念です」
夜通し対応したオランダ館の担当者「最善の策を考えて行動した。とても良い夜だった」
夜通しで帰宅できない来場者への対応にあたった、オランダ館の担当者に話を聞きました。
―――開放を決めた理由は?
(オランダパビリオンスタッフ ナディー・ヨンカーズさん)「来場者がパビリオンに戻ってきたので、対応する必要があると思った」
―――水とクッキーはもともと用意されていた?
(ナディー・ヨンカーズさん)「このような状況を想定して置いていたものではなかったのですが、こんな状況で最善の策は何か考えて行動しました」
―――夜通し働いて大変だったと思うがどうだった?
(ナディー・ヨンカーズさん)「実際は結構たのしかったです。手を叩いたりハイタッチしたり、私たちのチームは精力的に活動しました。実際とても良い夜だったと思うし、とてもいい思い出になりました」
―――こういう問題が起こったときに一番大事なことは?
(ナディー・ヨンカーズさん)「落ち着いて、そして楽しい気持ちでいること。その両方ですね」
原因は「停電」大阪メトロは会見で謝罪
一時、約3万人が足止めされた今回のトラブルについて大阪メトロは14日午前、会見を開き謝罪しました。
(大阪メトロ 堀元治交通事業本部長)「多大なるご迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げます。大変申し訳ありませんでした」
運転取りやめの原因については、電車に電力を供給する「サードレール」がショートし、停電したことによるものだと説明。発生後の来場者への情報共有については…
(大阪メトロ 江口清司万博輸送管理センター長)「臨時のバスを提供していく、しっかり足を確保するということに注力してしまって、お客さま目線というところでのお客さまへの情報発信が遅れたのではないか」
復旧のめどや代替輸送の状況などの情報発信が不十分だったとして、再発防止に努めるとしました。
また、博覧会協会も会見を開き「パビリオンなどへの協力要請や水の配給など、災害マニュアルに準じてある程度の対応ができた」とした一方…
(博覧会協会 高科淳副事務総長)「多くの方々が大変な思いをされたことは大変心苦しく感じている。しっかり検証して改善すべきところは改善する」
アナウンスが円滑に行われていたかなど、今後、検証を行う必要があるとしました。
2025年08月14日(木)現在の情報です