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店長は中学1年生!小中学生だけで運営する『駄菓子屋さん』 「みんなの交流の場を作りたい」の思いでオープン...4月以降の営業継続も目指して奮闘

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 店長はなんと中学1年生!京都市内に、仕入れから販売まで小中学生だけで運営している駄菓子店があります。営業継続を目指す彼らの奮闘に密着しました。

子どもたちに人気の「駄菓子屋さん」 店のスタッフも子ども

 京都市山科区にある住宅街の一角。放課後になると子どもが集まってくる場所があります。月に2、3回(木曜日)、2時間だけ営業する「駄菓子屋さん」です。50種類ほどの駄菓子が並びます。みんなお小遣いを握りしめ、真剣にお菓子を選んでいきます。

 店内を埋め尽くすほどのお客さんを手際よくさばくのは、全員子ども。ここは仕入れから販売まで小中学生だけで運営する駄菓子屋さんなのです。

 (佐野心勇くん)「利益率はだいたい全部の商品16%」

 店長を務める中学1年の佐野心勇くん(13)。佐野くんは両親と姉の4人家族です。去年の夏、両親が中学生のうちにやってみたいことを聞くと、「駄菓子屋さん」と言いだしたといいます。
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 (佐野心勇くん)「子どもの居場所が減って、外出することがなくなった。みんなの交流の場をもう一回作りたいと思った」

 幼いころから友達と通っていた近所の駄菓子屋さんが4年前に閉店し、子どもが集まる場所がなくなったと感じていました。
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 (母 美波さん)「もともと『駄菓子屋』が好きなのは知っていて、なくなって残念やなというのはあったから、それをやりたいって言って、びっくり」
 (父 公昭さん)「こんなふうになると思っていなかった」

 開業資金として両親が7万5000円を出資。地域の人が、月1000円の賃料で倉庫を貸してくれることになりました。そして去年11月、同級生と一緒に駄菓子屋さんをオープンしたのです。

“師匠”に「仕入れの極意」を伝授してもらう!

 今年2月、佐野くんたちは、かつて通っていた駄菓子屋さん「西村菓子店」の元店主・西村哲也さんをたずねていました。元店主の西村さんは、親の代から50年以上、駄菓子屋さんを続けてきましたが、コロナ禍で4年前、店を畳みました。

 (西村哲也さん)「(駄菓子店の復活は)非常にうれしいなと思いました。またみんなに会えると思いました」
 (中学3年のスタッフ・大田楓音さん)「『おっちゃんやん!めっちゃ久しぶりー』って」
 (西村哲也さん)「老けておじいさんになってしまいましたけど…」

 今は佐野くんたちの“師匠”のような存在です。西村さんが長年培った「仕入れの極意」を伝授してもらいます。
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 (西村哲也さん)「チョコ関係は秋から春にメイン商品なので、チョコ関係はラインナップを増やしてほしい。あと、『ブタメン』と『ペペロンチーノ』覚えている?」
 (佐野心勇くん)「ペペロンチーノ大好き」
 (西村哲也さん)「ぜひ、これはオススメです」

 冬場にはチョコ菓子とミニカップ麺がよく売れるということで、多めに仕入れることにしました。

 店を開ける前の週末はみんなで仕入れです。2月、佐野くんたちは山科区にある南商店へ。“師匠”西村さんの助言どおり、チョコ菓子を選んでいきます。

 (駄菓子の問屋『南商店』 南俊臣社長)「昔『スーパーBIGチョコ』は50円やってんけど、今は70円。値段高いやつ売れへんかったら厳しいかも…。『日本一ながーいチョコ』っていう45円の商品のほうが売れるかも」
 (佐野心勇くん)「じゃあそれにしてみます」

 卸売店の社長からは、駄菓子は「50円を超えると売りにくい」と教わり、40円台のチョコにしました。
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 (佐野心勇くん)「チョコが多くなったのと、新しくペペロンチーノとブタメンみたいなミニカップ麺を追加した」
 (大田楓音さん)「新商品とかいっぱい増やしたので、これまでどおり『駄菓子屋』がにぎわってくれたらいいなと思います」

開店前には行列 チョコ菓子やミニカップ麺も飛ぶように売れる

 もともとお客さんだった子どもも「手伝いたい」と加わり、今は小学5年~中学3年の約15人が店を支えています。

 (佐野心勇くん)「『どんぐりガム』があんまり売れてないから10円にしたいと思っているんですけど…」
 (中3スタッフ)「(値札は)15円のままで、赤で二重線を引いて10円って書いたら?」
 (佐野心勇くん)「たしかに!そしたら安くなってるって分かるもんな」

 スタッフの人数が増えたことでいいアイデアがどんどん出てきます。

 開店時間の午後3時半が近づくと、店の前には子どもたちの行列ができていました。そして、オープン!買い物かごを手に、お目当ての商品のもとへまっしぐら。あっという間に満員です。
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 (客)「『ヤッター!めん』12個買いました」
 (客)「『ペペロンチーノ』を一緒に食べる!」
 (客)「前通って子どもたちいっぱいいたので、(娘を)迎えに行ってから楽しそうやし寄ってみようかなって思って来ました」

 新たに仕入れたチョコ菓子やミニカップ麺も飛ぶように売れていきます。この日の店の売り上げは、わずか2時間で4万5000円以上と大人気でした。

 (佐野心勇くん)「予想通りに売れました。みんないっぱい買っていってくれて、きょうもいっぱい売れたと思います」

 駄菓子屋さんは3月末までの期間限定の予定でしたが、お客さんの要望を受け、4月以降も営業を続けることになりました。しかし、そこにはひとつ問題が。今の店が使えなくなるのです。

地域の街づくり交流会に参加「場所を提供してくれる人がいたら…」

 3月初め、佐野くんたちは新たに店を出せる場所を探しに、地域の街づくり交流会に参加しました。

 (佐野心勇くん)「『駄菓子屋』の場所がないので、もしよかったら場所を提供してくれる人がいたらお声がけください」

 【交流会の様子】
 (男性)「場所を探しているって聞いたんですけど」
 (佐野心勇くん)「できる場所があれば…」
 
 (女性)「駐車場のところに少しスペースを設けるので来てくれたら…」

 声をかけてくれる人はいますが、なかなか条件にあう場所は見つかりません。すると、そこに…

 【交流会の様子】
 (男性)「もともとは酒店とクリーニング店をやっていた場所があって、酒店をやっていた場所は今は何もないので、その場所を『駄菓子屋』として使ってほしいと思います」
 (佐野心勇くん)「お願いします」
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 (男性)「実家が酒店をやっているかたわら駄菓子屋もやっていた。子どもたちが集まって来る場所で、地域の人の集い場になってたので、若い方が担って一緒にやるのはワクワクするのでぜひ場所を貸したいなと思いました」

 今の店から少し離れた場所にある元酒店を無償で貸してもらえることになりました。
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 (佐野心勇くん)「きょう参加してよかったです。子どもたちの交流のためにやっているので、子どもたちが違う学年でも交流できるようなことをやっていけたらなって思います」
 (大田楓音さん)「(Q佐野店長は頼もしくなった?)最初に比べるとめっちゃ頼もしくなりました」

 子どもたちによる子どもたちのための駄菓子屋さん。今後は地域のイベントに出店するなどして利益を還元したいということです。

2025年03月30日(日)現在の情報です

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