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復旧阻む雪、冷え込む被災地で「低体温症」に注意 七尾で-2.4℃ 輪島の最高気温は3.2℃ 専門家は「深部体温が35℃以下になると激しい震え、シバリングが起きる」【効果的な加温・保温は?】

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 冷え込む地震の被災地。1月8日朝の石川県の最低気温は、七尾市で今季最低の-2.4℃と最も寒い時期を下回りました。輪島市三井で-2.1℃、珠洲市で-0.2℃、志賀町で0℃などを記録しました。8日の日中の最高気温は、輪島市輪島で3.2℃、珠洲で3.6℃と、ほとんど気温は上昇しませんでした。また、9日の最低気温は七尾市で0.4℃、輪島市三井で-2.3℃となり、厳しい寒さが続いています。

 地震の被害が大きかったエリアでは停電が続き、水道も復旧していません。こうした状況の中で心配されるのが、被災者や支援者の低体温症です。国際災害レスキューナースの辻直美さんに聞きました。

 辻さんによりますと、「深部体温(体表でなく脳など体内の温度)」が35℃以下になると、激しい震えや、判断力の低下などの症状があらわれ、「低体温症」と診断されます。体温が下がるにつれて、筋肉の硬直、脈拍や呼吸の減少、血圧の低下などが起こって、死に至ることも。自覚がないまま進行することもあるため、高齢者や寒い中で屋外作業をする人は注意が必要です。
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「シバリング」悪寒がしてぶるぶる、がたがた震える

 低体温症を知るうえのキーワードが「シバリング(shivering)」。悪寒がして体がぶるぶる、がたがたと震えることを示す医療系の用語で、筋肉を震えさせて体温を保とうとする生理現象ともされています。

《低体温症の症状例》
36.5~35℃ 寒気、骨格筋のふるえ(シバリング)がはじまる。
35~34℃ 運動失調(よろよろと歩行)。
34~32℃ シバリング減少、歩行不能。
32~30℃ シバリング消失、身体硬直。
30℃以下 意識低下が進み、瞳孔散大。
13.7℃ 神経学的後遺症なく生存できた最低の深部体温。

 こうした、低体温症を防ぐために、体に対して「保温と加温」が必要となります。どう効率的に体温を上げればよいのでしょうか。

《低体温症 どこを何で温める?》

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▼保温アイテム… 寝袋・避難所の室内履き・毛布・肌の露出を避ける防寒着
▼加温アイテム… 温かい食事・電気毛布・湯たんぽやカイロ

 辻さんによりますと、水筒にお湯を入れた簡易の湯たんぽや、使い捨てカイロなどで首筋や腋窩、鼡径部を温めるのも効果的。さらに帽子やマフラー、レッグウォーマーやハンドウォーマーも効果的です。

 温かい飲み物を飲ませるのもいいのですが、アルコール類やカフェインの入った飲料は血管を収縮・拡張させる作用があるので与えてはならないといいます。また、入浴や暖房などで急激に温めるのも厳禁です。
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 乾いた衣類を重ね着したり、上着に新聞紙を詰めて保温する。体を寄せあったり、ベッドやマットレスを使う、ズボンの下にタイツやレギンスを履く。なければズボンの二枚重ね。服と服の間にゴミ袋をかぶって防寒するなど、それぞれの環境や手元にある用品に応じて低体温症を防止する策が必要です。

2024年01月08日(月)現在の情報です

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