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『西成住宅崩落』家も家具も失いゼロからの生活...そこへ求められた「がれき撤去費用500万円」さらに1年経ってもわからない"崩落原因"

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 去年6月に大阪市西成区で高台の“のり面”が崩落し、住宅2棟4軒が倒壊した問題。「のり面の補強工事をしたい大阪市」と「費用負担があるならしてほしくない住人」で対立していましたが、5月25日に開かれた大阪市議会で住人との和解が決まりました。しかし、倒壊から約1年が経った現在も、いまだに“崩落の原因”は究明されていません。

“西成崩落事故”で家を失った住民『見るも無残というか…』

 去年6月、大阪市西成区で高台が崩れて住宅2棟4軒が倒壊しました。その後、残った1軒も倒壊寸前で危険だとして引き倒されました。
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 山下輝雄さん(62)はローンを完済した終の棲家を突然失いました。

 (山下輝雄さん)
 「(自宅があったのは)ここらへんから…ここくらいまでかな。見るも無残というか何というんかな…」

 現在は市営住宅で暮らしていますが、生活の立て直しは容易ではありませんでした。

 (山下輝雄さん)
 「(転居費用は)200万円は超しているでしょ。家財道具全般やね、全てやから。服とかもそうやし。食器も全部買いなおさないとあかんし」

費用は約500万円…“がれきの撤去工事”めぐり大阪市と住民が対立

 そんな中、さらに大阪市から多額の費用負担を求める連絡があったといいます。

 (山下輝雄さん)
 「(費用は)500万円くらいやったかな。そんなん無理。それこそ破産宣告せんことには」

 日常を失った山下さんへの追い打ち。一体、なぜなのでしょうか。
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 (記者リポート)
 「住宅崩落があった大阪市西成区の現場です。間もなく1年が経とうとしているのですけれども、現場の『のり面』は現在もシートで覆われたままの状態となっています」

 大阪市西成区で住宅の崩落があった現場。現在、高台の下の部分はコンクリートで固められましたが、現在も「のり面」は応急処置のシートで覆われたままです。
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 大阪市は、のり面と市の道路が隣接していることから、雨などでさらに崩れると被害が拡大する恐れがあるとして、のり面を補強する工事を崩落直後から検討していました。しかし…。

 (山下輝雄さん)
 「がれき(撤去)費用を負担せなあかんことになってしまうということで。もしそんなことになったら生活なんか途端にできなくなります」

 実はこののり面、法的には上に建っていた住宅の所有者である山下さんらが管理しなければなりません。補強工事が入れば、がれきの撤去費用など1軒あたり500万円ほどが住人側の負担となる可能性があるのです。
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 自宅を失った上にさらに多額の費用負担を求められた山下さん。到底、工事を承諾できませんでした。すると、大阪市は今年2月、住人らに対して工事を認めるよう求める仮処分を大阪地裁に申し立てたのです。

 (山下輝雄さん)
 「そんなこと言ってくるのはえげつないなと。それでなくても住むところも無いような人間やのにね、こっちは」

市と住民との「和解議案」が可決…しかし“崩落原因”は究明されず

 市の申し立てに対して大阪地裁は和解を勧告。それに基づき、5月25日の市議会で「住人らが市に土地を寄付する代わりにがれきの撤去費用は市が負担する」とする和解議案が可決されました。

 (大阪市 松井一郎市長)
 「1日でも早く周辺の安全な道路環境を作っていく責任があるので和解勧告に応じたということです」
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 費用負担が無くなり胸をなでおろす山下さん。ただ手放しでは喜べません。

 (山下輝雄さん)
 「原因を調べてほしいですね。なんで崩れたのか」

 崩落当時、高台の下の土地では高齢者施設の基礎工事が行われていましたが、業者側は「のり面の安全管理は住民側が行うものだ」として工事と崩落の因果関係を調査していません。また大阪市も「住民と業者の民間同士の問題だ」としています。

 (山下輝雄さん)
 「結局原因がわからんから、そこでもう補強工事をしてしまったら、それこそわからないやろうね。完全に埋まってしまうでしょ」

 なぜ高台は崩れたのか。原因究明の目処はいまだ立っていません。

2022年05月26日(木)現在の情報です

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