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『寮のガス止まる』教職員ストライキの背景に"不適正な学校運営"...『就学支援金の返還遅れ』や『修学旅行費の差額を未返還』も

2022年05月16日(月)放送

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 和歌山県日高川町にある「私立和歌山南陵高校」で5月11日、教職員がストライキを行い授業が行われないという異例の事態が起こりました。この高校では、教職員の4月分の給与が支払われないなど、学校運営をめぐってトラブルが次々と明らかになってきています。

「学校が潰れるんじゃないかと」生徒や保護者は不安

 私立和歌山南陵高校で5月11日に起きた、教職員による異例のストライキ。原因は教職員23人に4月分の給料が支払われていないなど、不透明な資金管理が明らかになったからです。
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 この先、学校はどうなるのか。心配をするのは、突然授業がなくなった生徒たちです。

 (生徒)
 「チャイムが鳴っても先生が来ないということで、最初、何かあったのかなとなって。いきなり『もう授業をしない』という感じで言われてしまって」
 「異例の事態で学校が潰れるんじゃないかとか、そういう不安がありました。学校がなくなったら、自分は3年生なので大学とか進路にもかかわってくるので、その部分が少し心配です」
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 教職員側が給料の未払いなどについて、運営する学校法人に繰り返し説明を求めたところ、法人側が“説明の場を設ける”としたことから授業は5月12日に再開しました。
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 しかし、5月16日までに説明は行われておらず、生徒や保護者らの間には不安が広がっています。

 (保護者)
 「説明がないというのがまず不信感でしかなく、子どもたちが一番迷惑しているんですよ」

『就学支援金の返還遅れ』法人代表の校長はお詫びの文書で「私の個人の資金をもって…」

 実は、この学校をもともと設立したのは元衆院議員の井脇ノブ子さん。しかし、2009年に不明朗な会計取引が発覚し、退任しました。
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 5年の休校を経て、現在の「南陵学園」が引き継ぎ、元プロ野球選手などを指導者に呼び寄せるなどスポーツに力を入れ、県大会では上位の成績を残すなどしていました。
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 しかし、現在、次々と問題が発覚しています。今年4月上旬に学校法人の代表を務める校長が保護者に配った文書をMBSは独自に入手しました。文書では、国が授業料を補助する「就学支援金」について次のように書かれていました。

 【校長が保護者に配った文書より】
 「私の個人の資金をもって、各保護者の皆様に3月末に支給する予定でありました就学支援金の金額の半額に相当する金額を用意いたしました」

 法人側は国から2000万円を受け取ったにも関わらず、保護者への返還が1か月遅れたことがわかりました。
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 さらに、修学旅行先を海外から国内に切り替えた差額を返していないことや、今年5月上旬には料金が未払いで寮のガスが止まったこともわかりました。

 (生徒)
 「お湯も出ないし、ガスも使えないので、弁当とか銭湯に行くことになって、ちょっと大変でした」
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 背景にあるのは学校の経営難です。普通科の定員は1学年120人で、3学年で360人ですが、現在は3学年で167人しかおらず、資金繰りが困難になっているとみられます。

 和歌山県は5月13日に、「著しく不適正な学校運営がストライキにつながった」として行政指導を行っていて、今後、学校法人のある静岡県と合同で調査を行う方針です。

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