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「伝統を途絶えさせない」新たなスタイル生み出す「茅葺き職人」の挑戦 サステナブル素材で海外から評価高まる

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 伝統的な家屋の屋根などに使われる「かやぶき」です。海外でサステナブルな素材として評価が高まっています。新たなスタイルを生み出すニッポンの匠を取材しました。

通気性や断熱性に優れた「茅葺き」環境にも良好

 長崎県にある生花店。モダンな建物の屋根に直線的にカットした地元産の「小麦わら」をあしらいました。

 東京・表参道にあるお洒落なアウトドアショップでは、店の中央でひときわ目を引くのが、「茅葺き」でできたテーブルです。
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 独創的なデザインと匠の技で注目を集めるのが「茅葺き」職人の相良育弥さん(42)。兵庫県神戸市で7人の弟子を束ねる若き棟梁です。
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 (茅葺き職人 相良育弥さん)
 「元々、茅葺き自体がSDGsという前からSDGsなので。身近に生えている草を刈り取って屋根に葺いて、それを安心して土に返せるというぐるっとしたサイクル」

 ススキやヨシなど植物を使い手作業で仕上げる茅葺き屋根は通気性や断熱性に優れていて、環境にも良いのが特徴です。

「市街地で新築が禁止」「高額な葺き替え費用」茅葺き屋根は減少の一途へ

 しかし、日本では1950年に建築基準法で『燃えやすい素材』だとされ市街地に茅葺き屋根の家を建てることが禁止されました。数十年おきに発生する高額のふき替え費用もネックとなり減少の一途を辿っています。

 (茅葺き職人 相良育弥さん)
 「このままいくと茅葺き屋根がどんどん廃れていっているので、何とかしないといけないなと」

屋根だけでない新たな可能性…美容院の壁一面にできた「茅葺き」

 『伝統を途絶えさせてはならない』と、相良さんは今、住宅の屋根だけにとどまらず店舗や公共の建築物などに新たな可能性を見出しています。神戸市内の美容院ではエントランスを入った瞬間に美しい「髪の毛」がイメージできるようなものをデザインして欲しいと依頼を受けました。そこで、光が当たると輝きが増す小麦のわらを壁一面に葺くことで店の「顔」を作り出しました。
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 (美容院を訪れた客)
 「ちょっとびっくりしました。前までと全然違うかったので。こんなにお洒落に(茅葺きを)使うことがあるんだなというのが一番驚き」
 (美容院「DiO」宮崎和悦オーナー)
 「髪の毛にも毛並みがあって、それを出せたらいいなという話をしていて…それがばっちり出ているので、すごくいい」

ヨーロッパでは「茅葺き」使うことがステータスに

 いま世界的な環境意識の高まりを受けて、特にヨーロッパでは「茅葺き」を使うことが一つのステータスになっているといいます。オランダなどで法規制が緩和され、茅葺きの家や建物が次々と誕生するなど盛り上がりを見せているのです。

 相良さんは2014年からドイツの大学で茅葺きについての講師を務める傍ら海外の手法も貪欲に取り入れています。
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 (茅葺き職人 相良育弥さん)
 「茅葺きにかかわればかかわるほど茅葺きの魅力にどんどん気づくんですよ。その魅力を皆さんが知らないまま世の中からなくなっているので、みんなの生活にとってもうちょっと寄り添ったというか、身近にあるものになっていってくれれば、自然に茅葺きが『いま』のかたちになって残っていくんじゃないかな」

2022年05月03日(火)現在の情報です

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