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開いてもわずか3秒で警報機が鳴り始める「開かずの踏切」ピーク時には最大52分間も遮断 渡り切れず遮断機を押して横断する人たち

2021年11月19日(金)放送

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2018年にMBSの番組で取材した大阪府堺市にある『鳳北一』踏切。この踏切ではピーク時には1時間のうち最大52分もの間、閉まっていました。国土交通省は1時間のうち40分以上、遮断機が下りている踏切を「開かずの踏切」と呼んでいますが、『鳳北一』踏切もその1つです。踏切の実態を伝えた放送から3年がたった今、改めて現場の様子を取材しました。

ピーク時は1時間のうち『最大52分』も閉まっている「踏切」

大阪府堺市西区、JR阪和線『鳳駅』のすぐそばにある『鳳北一』踏切。2018年12月に取材した際には、午前7時半に通勤・通学ラッシュの時間帯で遮断機が開くのを大勢の人が待っていました。

ところが、ようやく開いたと思った次の瞬間、警報器が鳴り始めました。その間、わずか3秒です。これこそ「開かずの踏切」と呼ばれるゆえんです。平日の午前7時半~8時半までのピーク時には1時間のうち、最大52分も閉まっているというのです。
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JR西日本の管内で「開かずの踏切」が最も多いのがJR阪和線で、5年前のデータでは、17か所のうち9か所が堺市内です。堺市は、高架化はまず南海本線からはじめているそうです。
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(堺市建設局道路部連続立体推進課 金田幸治さん 2018年12月の放送より)
「(南海本線だけでなく)阪和線もやるんですけども。ばく大な事業費と時間が相当かかる事業なので、なかなかあちらこちら一度にというようなことはちょっとできない」

渡り切れず遮断機を押して踏切から出る人も

取材から約3年。「開かずの踏切」に変化があるかもしれません。取材班は、再び現場を訪れました。

(取材班リポート)
「JR阪和線『鳳駅』近くの踏切前に来ています。今、遮断機が上がりました。小走りで踏切を渡っていく人がいますが、上がったと思ったらまたすぐに遮断機が下りてきましたね。女性が踏切の中に取り残されました。これが日常なんでしょうか、慌てる様子もなく遮断機を手で押して踏切の外に出ていきました」
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踏切を渡り切れなかった女性に話を聞くと、こんなことは時々あるそうです。

(踏切を渡り切れなかった女性)
「(Q怖くないですか?)怖いよ、そりゃあ。(踏切が)開いたと思ったらすぐに閉まって。こんなの、ちょっとひどいわ」

踏切が閉まっている時間は3年前と変わらず1時間のうち52分間。取材班も実際に踏切を渡ってみましたが…。

(取材班リポート)
「やっと開いたと思って今、踏切を渡ってきたんですが、最後は小走りをしないとすぐに下りてくるので間に合わないですね」
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踏切が開くのを待つ人たちに話を聞きました。

(利用者)
「(Qいつも待ちますか?)そうですね、待つときもあります。(Q朝の忙しい時に待たされるのは?)ツラいです。(時間がないときは)ツラいです」
「(Qここの踏切はなかなか開かない?)開かない、開かない。毎朝、短くても3~4分は必ず待たなあかんな。この辺では“地獄の踏切”って言われているねん。(待ち時間が)長いということや。(Q朝、待たずに渡れたことは?)ないないない!そんなの宝くじが当たるみたいなもんや」
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やっと踏切が開きました。しかし…。

(取材班リポート)
「やっと開きました。遮断機が上がったと同時に待っていた人たちが踏切を渡っていきます。しかし、ものの数秒で警報器が鳴り出しました」

危険な状況が次々と…「開かず」の原因は駅近による列車の減速も

通勤通学のラッシュが始まると大勢の人が踏切が開くのをじっと待ちます。待ちくたびれたのか、自転車のスタンドを立てて待つ男性もいます。
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待つこと5分、やっと遮断機が上がりました。しかし、すぐにまた遮断機が下りてきました。下りてきた遮断機が、踏切を渡る車に引っ掛かっています。なんとか車は踏切を渡り切りましたが、危ない状況でした。

『駅近の踏切』、これも原因の一つです。JR阪和線『鳳駅』には午前7時半~8時半までに33本の列車が停車。さらに、鳳駅に停車しない特急列車を含めると約40本が行き交います。長い間待たされても、遮断機が開いているのはわずかな時間。そのため…。
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(取材班リポート)
「警報器が鳴り始めてから小学生が走って踏切の中に入っていきました。おそらく開いている時間が短いということを分かっているんでしょう。踏切の手前から猛ダッシュで、小学生の児童が走っていきましたね」

『警報音や遮断機が作動したら踏切内に入らない』のがルールですが、ここでは常に鳴っています。住民らは、バーが下りるまでに渡るのが日常で、あまりに危険です。

「開かず」から解消された踏切 利用者の反応は様々

10月に国土交通省は5年ぶりに「開かずの踏切」の数を公表。堺市内では、9か所から8か所に1つ減っていました。取材班は、解消されたという堺市堺区の『百舌鳥南二』踏切に行ってみました。

(取材班リポート)
「鳳駅近くの踏切よりは、一度開くと開いている時間が長いなという印象はありますね。ただやはり開いたり閉まったりする頻度は非常に高いのではないでしょうか」
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『百舌鳥南二』踏切のピーク時の遮断時間は、2016年は45分でしたが、今回は8分縮まり、37分となりました。待ち時間が短くなった実感はあるのでしょうか?利用者に話を聞くと…。

(利用者)
「解消されているようにはあんまり感じません。(Q待つことは多いですか?)そうですね」
「(過去と比べて改善されたという印象は?)ないですね」
「毎日通っているからこんなもんやと思っている」
「(Q待たされるイメージはある?)いや、そんなことない」

JR西日本は、「開かずの踏切」が解消されたのは、ダイヤ改正や新しい車両など複合的な要因だと推測しています。危険を避けて本格的に解消するには、時間と費用がかかる「高架化」しか無さそうです。

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