起死回生のカギは"昆虫写真" ベストセラーの秘密

すぐに役立つ知識をプラス!サタプラ

2018/09/11 16:45

昆虫が大きく写された表紙の「ジャポニカ学習帳」。誰もが小学生時代に1度は手にしたことがあるのではないだろうか。9月8日放送の関ジャニ∞の丸山隆平がメインMCを務める「サタデープラス」の「新聞で振り返る…あのニュースの秘話」コーナーで、この学習帳の表紙を撮影した伝説のカメラマンを取り上げた。誕生から48年も経つ「ジャポニカ学習帳」は、今もなお幅広い年代に愛され、学習帳シェア50%以上を誇っている。しかし、そこに登り詰めるまで知られざる苦難や苦労があったという。

富山発の学習ノート

「ジャポニカ学習帳」が発売される2年前の1968年、目まぐるしい経済成長を遂げていた日本。生活にも徐々に余裕が生まれ、各家庭が子どもの教育に力を入れていた。そこで、富山県で便箋や封筒を販売していた「ショウワノート(株)」もそんな日本の将来を見据えて、主力商品を学習ノートに切り替えた。しかし、ライバル会社が20社以上もひしめき合い、新規参入のショウワノートは苦戦を強いられていた。「大手メーカーにも負けないノート」と模索していた社員だが、ある日、現在のベストセラーにもつながるアイデアがでる。

当時の日本は「クーラー・テレビ」と「百科辞典」が大ブームだった。百科事典がある家は、ステータスの証。憧れだったという。そこに目を付けたショウワノートは、ノートの内側に"百科事典風"のミニ付録を付けることにしたのだ。ほかよりも20円高い50円で販売。高級路線で勝負に出たが、「思惑どおりに売れず、7割以上は返品になりました」と、当時「ジャポニカ学習帳」の営業をしていた社員は振り返る。

昆虫写真への思いは強く...

20180911105007-c21a0ee4f0abb7b0fb5b7171da2f9fd42f07b25f.jpg

 そんなある日、二人の社員が同時に「アサヒグラフ」に掲載されていた「昆虫写真」に惹き込まれていたという。「見たこともない昆虫の世界なら、子どもたちの心をつかむに違いない!」と。そこで、早速、その写真を撮影した昆虫生態カメラマンの山口進氏に表紙撮影の依頼をすることに。しかし、撮影には数千万円以上の経費が必要だったという。この時、会社自体は崖っぷちにいたが、撮影にかかる渡航費、滞在費、取材費はすべて会社が負担した。そんな状況のショウワノートの社運を背負って山口カメラマンは東南アジアへ。そこで1年間かけて1000枚以上の昆虫写真を撮影した。

 今ほど手軽に海外旅行に行けなかった時代でもあったため、狙い通り、珍しい昆虫の写真は子どもたちの心をつかみ、「ジャポニカ学習帳」は大ヒット商品となった。そこで、番組では40年間、表紙を撮影している山口カメラマンにインタビューを試みるが、1年の2/3は海外の僻地で撮影しているためショウワノートの社員でさえも連絡が取れないという。雑誌のインタビューで「子どもたちが本能的に持っている好奇心を刺激したい」と答えている山口カメラマンは、表紙の写真以外にもノートの内側にある「ミニ辞典」も担当している。昆虫に対する山口カメラマンの"思い"が詰まった学習帳だ。ところが、近年、この学習帳にちょっとした"事件"が起きた...。

時代の流れ、そして懐かしむ声

 「子どもたちが怖がる」。このことは、ニュースにもなり「えっ!?」「なんで!?」と思った人もいるかも知れない。「虫が怖い」「気持ち悪い」と親や教師から苦情が殺到したため、ショウワノートは2012年、昆虫を表紙に使わないことを決定。「ジャポニカ学習帳」の表紙は昆虫から花へと変わった。しかし、3年後、復活を願う声にこたえ、数量限定で「復刻版」が発売。3000セットが即日完売した。「ジャポニカ学習帳」には今もなお、根強いファンがいる。VTR後、「花になった時、『山口さん...』と思ったけど、花も撮るって愛の深い方だと思いました」と関ジャニ∞の丸山隆平。ゲストのミッツ・マングローブも「復活してたんですね。安心した」とコメント。続けて「私、虫は苦手ですけど、だからといって全否定するのもどうかと...」と話した。今後、昆虫が表紙の「ジャポニカ学習帳」を手にすることがあれば、山口カメラマンの昆虫に対する"深い愛情"も感じてほしい。

「サタデープラス」はMBS/TBS系で毎週土曜日あさ8時放送。関ジャニ∞の丸山隆平、小堺一機、小島瑠璃子がゲストとともに週末の過ごし方、週明けの会話がちょっと楽しくなる知識をおくる情報番組。公式ホームページ

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook