紅葉の名所、京都が色づく季節がやってきました。
絶景を求めて、各地から多くの人が訪れます。
京都に住んでいると、あまりにも大勢の紅葉狩り客に圧倒されてしまい
観光地へ足を運ぶのを躊躇しがちです。
それでもやはり短い秋を楽しみたいもの。
私が出かけた所は、京都の市街地から車で30分ほど離れた
亀岡市内にある鍬山神社(くわやまじんじゃ)です。
目が覚めるような紅色と出会うことができました。
静寂の早朝、あたりは霧が立ち込めていました。
しっとりと濡れた葉が、艶やかな美しさをまとっています。
紅葉がきれいに色づくには、天気に関係するいくつかの条件があります。
まずは何といっても冷え込み。
最低気温が大体8℃以下になると葉の色づきが始まり、
5℃を下回ると一気に紅葉が進むといわれています。
短期間にぐっと冷え込むのが好条件のようで、
下がりきらない気温がだらだらと続くのはあまりよくありません。
次に、昼間の日照(=日当たり)がしっかりとあること。
葉が赤く色づく成分は、光が当たることによって作り出されるので、
日中しっかりと太陽の光が降り注ぎ、葉にあたることが重要。
そのため、曇りや雨の日が多くなると、色づきも悪くなってしまいます。
さらに、植物ですから湿気も美しい紅葉には不可欠。
適度に雨が降り、根から水分を吸収することも大事ですが、
空気中にも湿気がある程度多くある方が、葉が生き生きとします。
以前にも、亀岡は霧の街だとご紹介をしましたが、
この時季、霧が多く発生し、葉が潤うことも、
この鍬山神社の紅葉が美しい理由の1つだと思います。
京都市内は都市化が進み、以前と比べると乾燥が進んでいます。
たとえば、京都市内の11月の平均湿度は1950年代には76%ほどでしたが、
2000年代には66.5%まで低下していました。
それだけ湿気が少なくなっているということです。
また、台風が来ると葉が傷んでしまうことも多く、
強い台風がたびたび日本を襲う近年は、紅葉にも少なからず影響がありそうです。
色づいた木を眺めている年配の方が「昔の方がもっときれいやった気がするなぁ...」
とおっしゃる声を横で聞くたびに、
そうした気候の変化が影響しているのかなぁ、なんてことも考えてしまいます。
とはいえ、変わりゆく環境の中でも、命の営みとして毎年変わらず鮮やかな色をつける木々。
この時季限定の美しさを、しっかり堪能したいものですね。