お天気キャスターブログ
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2019.11.28
京の秋色
紅葉の名所、京都が色づく季節がやってきました。絶景を求めて、各地から多くの人が訪れます。京都に住んでいると、あまりにも大勢の紅葉狩り客に圧倒されてしまい観光地へ足を運ぶのを躊躇しがちです。それでもやはり短い秋を楽しみたいもの。私が出かけた所は、京都の市街地から車で30分ほど離れた亀岡市内にある鍬山神社(くわやまじんじゃ)です。目が覚めるような紅色と出会うことができました。静寂の早朝、あたりは霧が立ち込めていました。しっとりと濡れた葉が、艶やかな美しさをまとっています。紅葉がきれいに色づくには、天気に関係するいくつかの条件があります。まずは何といっても冷え込み。最低気温が大体8℃以下になると葉の色づきが始まり、5℃を下回ると一気に紅葉が進むといわれています。短期間にぐっと冷え込むのが好条件のようで、下がりきらない気温がだらだらと続くのはあまりよくありません。次に、昼間の日照(=日当たり)がしっかりとあること。葉が赤く色づく成分は、光が当たることによって作り出されるので、日中しっかりと太陽の光が降り注ぎ、葉にあたることが重要。そのため、曇りや雨の日が多くなると、色づきも悪くなってしまいます。 さらに、植物ですから湿気も美しい紅葉には不可欠。適度に雨が降り、根から水分を吸収することも大事ですが、空気中にも湿気がある程度多くある方が、葉が生き生きとします。 以前にも、亀岡は霧の街だとご紹介をしましたが、この時季、霧が多く発生し、葉が潤うことも、この鍬山神社の紅葉が美しい理由の1つだと思います。京都市内は都市化が進み、以前と比べると乾燥が進んでいます。たとえば、京都市内の11月の平均湿度は1950年代には76%ほどでしたが、2000年代には66.5%まで低下していました。それだけ湿気が少なくなっているということです。また、台風が来ると葉が傷んでしまうことも多く、強い台風がたびたび日本を襲う近年は、紅葉にも少なからず影響がありそうです。色づいた木を眺めている年配の方が「昔の方がもっときれいやった気がするなぁ...」とおっしゃる声を横で聞くたびに、そうした気候の変化が影響しているのかなぁ、なんてことも考えてしまいます。 とはいえ、変わりゆく環境の中でも、命の営みとして毎年変わらず鮮やかな色をつける木々。この時季限定の美しさを、しっかり堪能したいものですね。
前田智宏
気象予報士
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2019.10.18
弘法さんと、天神さん
秋晴れに恵まれた9月25日、北野天満宮を訪れました。この日は、毎月の縁日"天神さん"=天神市(てんじんいち)の日。参道や側道に、所狭しと露店が並び、大勢の参拝客で賑わっていました。 この天神さんにまつわる、京の天気の言い伝えがあります。「弘法さんが晴れやったら、天神さんは雨」というものです。 "弘法さん"とは、同様に東寺で毎月21日に開かれている縁日、弘法市のこと。つまり、弘法市の開かれる21日が晴れならば、天神市の25日は雨になる、ということを言っているものなのです。その逆、弘法市の日が雨ならば、天神市の日は晴れとも言える、とのこと。 そんなことが、本当にあるのでしょうか?実際に私が訪れた9月25日は、雲が多少浮かぶくらいの気持ちのいい晴れでした。言い伝えが正しいのなら、その4日前、9月21日の天気は雨のはず。実際に21日の天気を振り返ってみると......おぉ!「くもり時々雨」です! では、今年の1月から8月まではどうだったのか、一気に見てみますと... 1月 21日 晴れ時々くもり 25日 くもり 結果 ×2月 21日 くもり 25日 晴れ時々くもり 結果 ×3月 21日 くもり時々雨 25日 くもり一時晴れ 結果 ○4月 21日 くもり一時晴れ 25日 くもり 結果 ×5月 21日 くもりのち晴れ 25日 晴れのち一時うすぐもり 結果 ×6月 21日 くもりのち一時雨 25日 晴れ 結果 ○7月 21日 くもり 25日 晴れ一時くもり 結果 ×8月 21日 くもり一時雨 25日 晴れのちくもり 結果 ○ ということで、今年9月までの結果は、9回中4回が"言い伝え通り"。確率で言えば、それほど高い精度ではありませんが、この言い伝えはでたらめなどではなく、理にかなっている部分もあります。 この言い伝えは、単純に「弘法市と天神市の日の天気が反対になる」ということでなく、「天気が数日のサイクルで変わる」ということで説明がつき、特に秋(あるいは春)に当てはまることが多くなると思います。秋は大陸からの移動性高気圧と低気圧が順繰りに日本列島へとやってきます。晴れをもたらす高気圧と、雨を降らせる低気圧が、約2~3日の周期で通過していくので、天気も大体それくらいの短い周期で変わることが多いのです。今の時期、毎週同じ曜日が晴れになったり、雨になったりしがち、という現象もこのサイクルが関係しています。 さて、徐々に深まる秋。今月の弘法さん、天神さんのお天気に、注目です。
前田智宏
気象予報士
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2019.08.16
丹波太郎にご用心
今年も梅雨が明けてから、うだるような暑さが続いています。内陸の京都は特に気温が高くなり、連日35℃以上の猛暑日です。そんな夏にやってくる「丹波太郎」を、ご存知ですか?実在する"人"ではありません。これ、実は"雲"の名前なのです。夏に激しい夕立を降らせ、雷を起こす、入道雲。気象学では「積乱雲」と呼ばれる雲です。京都では、この積乱雲が現れる方角ごとに雲を擬人化して、名前がつけられているのです。「丹波太郎」は、京都盆地から見て北西に位置する丹波高地から、京都市内に流れ込んでくる積乱雲のこと。愛宕山の方から底が黒い雲が顔をのぞかせたら、彼のお出ましです。雷を伴い、いわゆるゲリラ豪雨をもたらして、大暴れするおそれがあります。丹波太郎には他にも仲間がいます。京都の南東、奈良盆地で発生し、山城地域を通って北進する「山城次郎」や、北東の比叡山や比良山系でわき立ち、南へ攻めてくる「比叡三郎」など......とにかく京の夏には厄介者が現れがち。この夏は、北大阪や東部大阪で雲がわき立ち、南西風にのって京都市内に雷雨をもたらすパターンが多いように感じています。大阪方面からやってくるものにも「和泉三郎」というお名前がついているようです。もし、この太郎やら次郎やら三郎やらに遭遇して土砂降りの雷雨になってしまったら、なるべく頑丈な建物の中に入って、彼らが去るのを待ってください。たいてい20~30分ほどで通り過ぎてくれるはずですから。
前田智宏
気象予報士
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2019.07.01
苔庭に迫るピンチ
近畿地方にも雨の季節がやってきました。今年は統計開始以来、最も遅い梅雨入りとなりました。梅雨時、しっとりと美しさを増すのが、苔のある光景です。京都には、苔庭の美しいお寺が数多くあります。やわらかく光に照らされた、透き通るように輝く苔を眺めたり、音を吸い込むような空間で、静寂に心をゆだねたり、深く呼吸をして、潤った空気を体いっぱいに取り込んだり。日本独特の「侘び」「寂び」を味わえる苔庭を訪れる人は多いですが、実はこの、京都の"苔"がじわりじわりとピンチを迎えているのをご存知でしょうか。苔には根っこがありません。 生きるのに必要な水分や栄養分は、体の表面から直接取り込んでいます。 その供給源となるのは、主に雨や霧などです。 なんとなく、苔というとジメジメしたところに存在しているイメージがありますが、 まさにその通り、苔にとって空気中の湿気は生きるために不可欠なのです。 逆を言えば、多くの種類の苔にとっては乾燥が大敵となります。 京都の街なかでは、昔に比べると霧の日数が劇的に少なくなっています。 確かに、市内に住んでいても1年のなかで霧を見ることはほぼありません。 気象台の観測が始まった1930年代には、年間平均して83日も霧が発生していました。 それが、1960年代には年平均35日になり、 2000年代になると、なんと0.2日にまで激減しました。 今や1年の中で霧が1日も観測されない年も、珍しくはないのです。 考えられる理由としては、京都市内で田んぼが少なくなり、湿気が少なくなったことや、 都市化の影響でアスファルトに覆われた地面が増えたことで水を蓄える力が弱まり、 霧が発生しにくくなっていることなどが挙げられます。 街なかの苔にとって、水分や栄養分を摂取しにくい環境に変化しているのは 想像に難くありません。 私が持つ苔についての知識のほとんどを授けてくださった コケ生物学者の大石善隆先生も、最新著『コケはなぜに美しい』の中で、 都市の気温が上昇する「ヒートアイランド現象」の影響の強い京都の中心部では コケの生育環境が悪化し、乾燥に弱いコケたちが姿を次々に消し始めている、と 指摘されています。 夏の暑さで苔が枯れてしまった例も確認されていて、 大石先生は、「このままヒートアイランド現象が進んでいけば、 そのうち市街地ではコケ庭の維持さえ難しくなるかもしれない」、とも。京都の街の変化は、苔たちにひっそりと、しかし確かに影響を与えています。美しい苔庭をいつまでも楽しむためには、我々のライフスタイルを見つめなおすことが、必要になりそうです。
前田智宏
気象予報士
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2019.04.12
桜の花が繋ぐもの
京の都も春爛漫。どうして桜の花はこんなにも気持ちを浮き立たせるのでしょうね。今年の京都のさくら(ソメイヨシノ)の開花は3月27日、満開は4月6日に迎えました。この「開花」や「満開」は、気象台が定める「標本木(ひょうほんぼく)」によって観測されるということは多くの方がご存知かと思います。京都の標本木は、世界遺産の二条城の中にあります。2012年から標本木として使われているもので、樹齢は不明だそうです。この木が5、6輪花を咲かせると「開花」、そして木全体の8割以上が咲けば「満開」が発表されます。2割がつぼみでも「満開」、だということはあまり知られていないかもしれませんね。桜が咲いたという発表は、本格的な春の到来を告げる便り。だからこそ世の中の関心も非常に高いですし、我々気象予報士も「開花」の第一報をお伝えするときにはついつい気合が入っちゃうというものです。今年は特に、桜を眺めて、深く考えることがありました。この記事の初めに出てきた写真、花の力強さを感じさせられますが、実はこんな状態で咲いている木を撮影したものです。根こそぎ倒れてしまいながらも、花を咲かせた木々。折れて、文字通り皮一枚で繋がっているような枝にも、花が。これらは、桂川と天神川が合流する、京都市南区の桂川緑地公園の桜の木です。去年、近畿を襲い、暴風を吹き荒らした、台風21号。京都市内で、戦後最も強い最大瞬間風速39.4m/sを観測しました。風が通り抜けやすい桂川沿いでも、相当な暴風が吹いたものと考えられます。その被害を受け、痛々しい姿となりながらも、木は春を迎えて花を咲かせたのです!自分たちが、いまも生きていることを証明するように。それはもう、圧倒的なエネルギーを感じる光景でした。河川事務所でも昨年来、樹木医と相談しながら倒木の対処について検討を進めていたそうですが、木々が花を咲かせたことは「まさか」だったといいます。先日、91歳の京都の桜守、16代佐野藤右衛門さんに、今年の桜の様子についてお話をうかがいました。長きにわたって、京都をはじめ全国各地の桜の世話をしてこられた方です。藤右衛門さん曰く、「今年は、生物の営みがなかなかうまくいっとらん」ということでした。去年の夏の猛暑も影響して、桜も花1つ1つが例年より小さい傾向にあるようです。確かに街中でも、花芽の付きがあまりよくない木も散見されます。とはいえ、枯れない限り、木々が花を咲かせないということは決してありません。猛暑の夏からの、暖冬、そして寒春。そんな厳しい環境の中でも、どうしてちゃんと花が咲くのでしょうか。「植物が花を咲かせるのは、おしべとめしべが受粉して、実をつけるため。それだけや。実をつけて子孫を残すためには、どうしてでも花を咲かせなあかん。今年の桜は、なんや、しんどい中で、嫌々咲いとるような感じがするなぁ。」藤右衛門さんは笑いながら、そう話をしてくださいました。あぁ、そうか。桜が花を咲かせるのは、命を未来に繋ぐためなのだ。危機に瀕した桂川沿いの木も、なんとかして命を次の世代に繋ごうと、当然のように花をつけたのです。そんなシンプルな理由に直面して、私は胸がいっぱいになりました。咲いた散ったに一喜一憂する、我々人間のためなんかでは無論なく、もっと大きな、命のサイクルの中で、懸命にそのバトンを繋ごうとする―。その姿に、私たちは勝手に、力をもらっています。嫌々にでも、咲いてくれてありがとうと、生きるために必死な姿を見せてくれてありがとうと、そう思いました。花が散れば次は、若葉の季節。その生まれたての葉に、光合成の源となる光をたっぷり注ぐ初夏の太陽が、待っています。
前田智宏
気象予報士
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2019.03.04
京の「霧の都」
「霧の都」といえばイギリス・ロンドンが有名ですが、京都にも、ひそかに「霧の都」と呼ばれる街があるのをご存知でしょうか!そこは、京都府の中西部に位置する亀岡市。京都駅から電車で20分ほどのところです。 晩秋から初春にかけて、亀岡では霧がよく発生します。内陸部ゆえに朝晩と日中の気温差が大きくなりやすいことが要因で、さらにコンパクトな盆地であることから、霧がたまりやすい地形になっています。早朝や夕方、街を包み込むその霧は、旧国名の「丹波国(たんばのくに)」にちなみ「丹波霧(たんばぎり)」と呼ばれます。 霧とは、空気中の水蒸気が細かい水滴となって浮かんでいる状態です。見通しが1km未満のときを「霧」と呼び、1km以上10km未満のときは「もや」と定義されています。もやよりも、霧の方が、先の見通しにくい状態で、濃霧ともなると、交通機関などにも影響を与えます。そんな、ときに厄介者の霧を観光資源として活かそうと、2018年春に設けられたのが、「かめおか霧のテラス」!標高が400mと少しの、竜ヶ尾山(たつがおやま)の山頂付近に作られました。道路が整備されているので、ドライブスポットや、サイクリングコースとしても人気です。 木製のテラスからは亀岡の街並みが一望できます。霧のないときもいい眺めですが、ひとたび街に濃い霧が立ち込めれば... 霧の海が出現。山々が島のように浮かびます。 霧をつくり出しているのは、放射冷却現象で夜のうちに冷やされた地面付近の空気。空気中の水分がとけきれなくなって、水滴として目に見える形になり、それが霧となって広がっているのです。冷たい空気は、暖かい空気よりも重いので、地面付近にしばらくとどまりますが太陽の熱で地面付近があたたまってくると、ゆっくりと空気がかき混ぜられ、霧は解消していきます。陽が昇るにつれて、霧や雲の層がうねるように形を変えていく様を眺めていると、本当に海が波立っているかのようで、息をのまずにいられません。 今年は春が足早にやってきていますが、まだ見られる可能性はあります。夜間に晴れて、風が弱く、放射冷却が効いて冷え込んだ朝方はチャンス!前日に雨が降って、空気が潤っていると最高です。「丹波霧」が生み出す圧倒的な光景、あなたも狙ってみてください。
前田智宏
気象予報士
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2019.02.04
雪景色をもとめて
京の街に雪が降り積もりました。浄土宗総本山知恩院の三門。静かに雪をたたえ、いつも以上に凛として見えます。1月最後の土日。今季最も強い寒気が流れ込み、京都市内中心部でも7㎝の積雪を観測しました。雪化粧した寺社仏閣の景色は、その地で幾度もの冬を超えてきた威厳を感じさせ普段以上の感慨を胸に呼び起こしてくれるような気がします。京都では、そうした雪景色とどれくらい出会うことができるのでしょうか。1年のうちに京都の街中で雪が積もる日数は、平均で9.3日(1980~2010年)です。2011年以降でいうと7.8日とやや少なくなってきているのですが、隣県の大阪市の平年値が1.5日であることを思うと、差は歴然。「京都って割とよく雪が積もるのね」という印象ではないかと思います。さらに、同じ京都市内でも、山深い貴船では、降り方も積もり方も全く異なります。夏には川床がしつらえられ、避暑地ともなる京の奥座敷。そんな地にある貴船神社では、1月から2月にかけて、積雪した土曜の夜限定で幻想的なライトアップが行われます。水神を祀る貴船神社。冬の間に積もった雪は、やがて雪解け水となり、大地や生き物を潤します。灯りに照らされた白雪が、神聖で尊いものに思えてきます。この時季限定の特別な景色とだけあって、すごい人出でした。その中でも外国人観光客の多いこと!ライトアップは当日の午後3時に初めて開催の有無が発表されるのですが、境内のそこここに溢れる外国語に「どこで情報をキャッチしてきているのだろう?!」と、驚くばかり。アグレッシブに冬の京都を堪能しようとする外国人旅行者の、雪をも解かすような情熱に何とはなしに、「負けてられへんなぁ...」と思ったのでありました。
前田智宏
気象予報士
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2019.01.21
「上ル」ごとに寒くなる
こんにちは。気象予報士の前田智宏です。ここでは、京都出身、京都在住の私が感じる、京都の天気や季節について綴ってゆきます。これからよろしくお願いします!寒の内となり、1年の中でも一番冷え込みの厳しい時季を迎えています。盆地の京都は寒気がたまりやすく、放射冷却現象が起こるよく晴れた朝は、体の芯まで冷えるような寒さ。「底冷え」という言葉がぴったりです。快晴の日、四条大橋から鴨川の上流を眺めてみると北の山だけが雲をかぶっていることがよくあります。雪雲が日本海側から流れ込んできているのです。冬の時季は、同じ京都市内でも北と南でお天気が違うこともしばしば。違うのは天気だけではなく、気温も。京の街を中心部からわずか10km足らず北へ行くだけで、2℃前後も気温が下がることがわかっています。その理由のひとつは、標高差。日常生活の中や、観光をしていても意識することはないのですが、京都市内は北から南に向かってなだらかな下り坂になっています。市内北部にある上賀茂神社の標高は90mほどですが...南部に位置する東寺は標高20mくらい。東寺の五重塔は高さおよそ55mですから、標高と足し合わせても75mほど。ということは、です。上賀茂さんでお参りしているときは、東寺の五重塔の先より高いところにいる...!!と考えるとなんだか不思議な感覚になりませんか。北へ向かえば上り坂、南へ行くと下り坂。北や南へ行くのを「上ル」「下ル」と表現するのに、いみじくも対応しますね。この標高差は、微妙な違いではありながら、確実に南北で気温差を生んでいるのです。京の街は「上ル」ごとに気温は「下がる」、おもしろいところ。とはいえ、どこも寒いことには変わりありませんので...どうぞご自愛くださいませ。
前田智宏
気象予報士