2025年10月10日(金)公開
【消費者は買い物天国!?】"値下げ合戦"価格対抗で見るべきポイントは「かつどん」?スーパー「オーケー」来年度倍増!強さのヒミツ 今後の関西のスーパーは「ハートフル」がカギに?
解説
相次ぐ、首都圏大型スーパーの関西進出。関東で160店舗以上展開する大型スーパー「オーケー」も低価格を売りに去年11月に関西に初上陸し、“黒船来航”とも言われました。この「オーケー」効果で各スーパーの“値下げ合戦”が起きていて、関西の消費者はラッキーという声もあります。 大型スーパーの関西進出で私たちの生活はどう変わっていくのか?関西のスーパー生き残りのヒントとは?経営コンサルタント・岩崎剛幸氏への取材を含めてまとめました。
スーパー「オーケー」なぜ安い?
「オーケー」とは、関東1都3県に160店舗以上出店しており、関東ではおなじみのお店です。「EDLP(Everyday Low Price)」、「特売をせず、いつも安い」がコンセプトで、アメリカから始まった概念だということです。
広告費を削減して安さを追求しているというオーケー。スーパーマーケットの広告は「チラシ」が思いつきますが、オーケーは特売日がなく毎日が安いためチラシを出しません。品揃えを少なめにすることで安く提供するという方法も取り入れているということです。
オーケーは去年11月、関西初出店となる東大阪市の高井田店がオープンして以降、続々と関西に出店しています。
去年11月 高井田店(東大阪市)
今年 1月 西宮北口店(西宮市)
今年 9月 南武庫之荘店(尼崎市)
今年10月 北伊丹店(伊丹市)
このほか今年度に3店舗、さらに来年度には大阪府内に7店舗開業を予定しています。
経営コンサルタント・岩崎剛幸氏によると、「関西がブルーオーシャン(未開拓市場)というわけではない。全国どこでもスーパーは戦国時代(レッドオーシャン)」ということですが、なぜ関西へ進出するのでしょうか。岩崎氏は「流通体制を大きく変えずに出店することができる」ことに加えて、「“さらに西”を狙う場合に関西を拠点にし、今後広げていくという背景があるのでは」と話します。
「かつどんは企業姿勢・企業努力が価格にそのまま反映」
岩崎氏によると、関東の大手スーパーが関西に進出することで、価格対抗で特売・値下げ品が増えたほか、店の選択しも増えて、関西は「買い物天国」になっているということです。
オーケー出店前の大阪・布施エリア、スーパーのシェア(2024年9月~11月)は、上から順に「万代(22.9%)」「ライフ(18.7%)」「サンディ(8.3%)」「業務スーパー(8.3%)」と並んでいますが、オーケー出店後のシェアは、オーケーが出店してから3か月後のデータを見ると(2024年12月~2025年2月)、上から順に、「万代(20.2%)」「ライフ(16.3%)」そして「オーケー(10.2%)」と3番手にきています(出典:お買い物登録アプリ「CODE」より市場推計 リサーチ・アンド・イノベーション調べ)。
データを解析したリサーチ・アンド・イノベーションによると、オーケーと異なるポジションのスーパーはシェアを維持しているということです。
オーケーの看板商品「ロースかつ重(322円 )」ですが、これだけ安く提供しているため、ほかのスーパーマーケットの総菜も値下げの動きが出てくるということです。岩崎氏は「かつどんは企業姿勢・企業努力が価格にそのまま反映されるため、スーパーを比較する際のひとつのポイント」と話します。
「EDLP店に改装」「高級路線を打ち出す」
関西スーパーなどを展開する「エイチ・ツー・オーリテイリング」は、関西スーパー市岡店(大阪・港区)を改装し、売れ筋大量仕入れ・レジ省力化でのEDLP店「関西スーパー デイリーマート」を新たに出店しました。
価格の安いスーパーが増える中、「ライフ」は逆に高級路線を打ち出し、オーガニック食材や健康にこだわった食材をそろえた「ビオラル」は、内装も高級感のあるスーパーになっています。都市部であるうめきた店(大阪市)や、さんちか店(神戸市)に出店されています。
今後、関西のスーパーは…
岩崎氏によると関西のスーパーは今後、「高価格と低価格のスーパーの二極化が進み、中価格のスーパーは苦戦することになる」といい、苦戦するスーパーは合併・買収の対象になり、「先日も関東の大手スーパーが愛知県の地場スーパーを買収。同じことは今後全国各地で起こる」と話します。
スーパーの合併・買収で起こるとどんなメリット・デメリットが消費者にあるのでしょうか。
【メリット】
・仕入れ力アップにより、値段が安くなる
【デメリット】
・店の看板が変わる
・運営方法が変わる可能性
・「これまでと違う」が大きな障壁に
そんな中で関西のスーパーが生き残るためのヒントとは?岩崎氏いわく「地元で圧倒的人気を誇る地元のスーパーを見習え!」ということです。
例えば、岩崎氏が好きなスーパーだという「ひまわり市場(山梨・北杜市)」では、各部門でリーダーがバイヤーとして商品を選び、責任を持って販売しているということです。また「店長のマイクパフォーマンスが有名」で、人の顔が見えて対話をするというのが人気の秘訣ということです。
今後は「ハートフル」なスーパーがカギになるのかもしれません。
2025年10月10日(金)現在の情報です