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【ノーベル化学賞】「少しおちゃめでミスしても笑いに変えられる人」教え子が語る京大・北川進特別教授の素顔「自分の研究に強い信念は持っていた」 「砂漠で水・宇宙で酸素」を作れるようになる?無限の可能性秘める『多孔性金属錯体』のスゴさを徹底解説

解説

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 今年のノーベル化学賞に選出された京都大学の北川進特別教授。 北川特別教授の研究室に5年間在籍し、現在は金属錯体を用いた人口光合成を専門に研究している大阪大学大学院工学研究科の正岡重行教授に、北川教授の人柄や、北川教授が開発した「多孔性金属錯体」のスゴさについて話を聞きました。

多趣味だけど本当の趣味は「研究」?教え子が語る北川進特別教授の素顔

ーーー北川進特別教授のノーベル化学賞選出の一報を聞いたときはどのような気持ちでしたか?

(正岡重行教授)「びっくりしましたし、心から本当に嬉しかったですね」

 北川進特別教授はどんな人物なのか?北川氏は京都市の出身で京都大学・工学部を卒業しました。サイクリングや読書、歌舞伎のほかスリラー映画の鑑賞が趣味だそうです。

ーーー多趣味でとってもチャーミングな方ですね

(正岡重行教授)「私は趣味で北川先生が楽しまれてるというよりは、研究で楽しそうにされてる姿が印象的です。研究の方が本当の趣味なんじゃないかなと思います」

ーーー京都大学からノーベル賞を受賞した人が多数います。京都大学は自由な校風なんですか?

(正岡重行教授)「私が学生のときも、研究室のためというのは自分の好奇心で研究をどんどん進めていく。それが許される雰囲気を京都大学の北川進先生も作っていただいていたというふうに思います」

周りに信じてもらえなくても『これでいく』と力強く研究を進める

石川教授は北川教授の人柄について、▽先見の明がスゴい、▽困りごとで相談すると、自信を取り戻させてくれる、▽少しおちゃめで、ミスしても笑いに変えることができると話しました。

ーーー北川教授は「先見の明」がスゴいということですが

(正岡重行教授)「記者会見でもありましたが、今回のノーベル賞の対象になった研究は、始めた当初は誰もそんなに興味を持っていなくて、研究がうまくいきはじめたときもあまり信じてもらえないと。それでも『これでいく』と力強く進められたところは非常に今でも覚えています」

ーーー研究を認められないと、研究者として気持ち的に折れてしまいそうになったりとかはないんですか?

(正岡重行教授)「やっぱり認めて欲しいですよね」

ーーーでも、北川教授は非常に強い信念を持っていた?

(正岡重行教授)「これからこのフィールドが大きくなるんだという強い信念は持っていたというふうには考えています」

ーーー困りごとで相談すると自信を取り戻させてくれるとは?

(正岡重行教授)「どうしたらいいかわからなくなったときに教授室でお話をすると、あまり細かいことは言われないんですけど、ポイント、ポイントで何か一言言ってくれて、その後も話すんですけども教室を出るころには『俺何でもできるな』っていう気持ちにしてくれます」

可能性は無限大!?『多孔性金属錯体』

 そんな北川教授が開発した「多孔性金属錯体」という物質は、平たく言うと、穴がたくさんある金属、イオンや分子イオンが結合した化合物です。

 「多孔性金属錯体」はジャングルジムのような構造になっていて、大きさでいうとナノメートルサイズ(10億分の1m)の物質です。ジャングルジム状になっている隙間に特定の分子を貯蔵・分離できるということです。

■多孔性金属錯体 スゴさのポイント
・簡単に作れる
・デザインできる→構成できる数は無限
・様々な分野で応用可能

 正岡教授によると、簡単に合成できるほか、コストも安く作ることができます。
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 続いて、実用例を見ていきます。

■2016年9月発表
世界発の実用化。「エチレン」の動きを抑え、果物の鮮度を保ったまま輸送(イギリス・MOFテクノロジーズ)

■2016年10月発表
有毒ガスの安全な運搬・保管が可能に
→ガスを低い圧力で貯められる(アメリカ・NuMatテクノロジーズ)

■2018年から開発中
タバコ臭や排泄臭を瞬時かつ完全に除去する研究が進行中(樋口特定助教と大原バラヂウム化学)

 正岡教授は「10年後には『多孔性金属錯体』を用いた物質が、われわれ生活の場にあふれる可能性もある」と話します。

 活性炭も似た性質があるといえるかもしれませんが、『多孔性金属錯体』は活性炭と違い、分子をとらえる穴のサイズを制御でき、さらに規則正しく作ることができます。また、その穴の中の性質や壁の性質も自由自在に制御できるという点が特徴だと言えます。

宇宙船や砂漠で酸素や水が作れるようになる?さまざまな分野で活躍が期待

 今後「多孔性金属錯体」の活躍が期待される分野についてみていきます。

▼環境:温室効果ガス・PFASの除去
▼産業:CO2を資源として利用
▼自然:砂漠の空気から飲料水
▼宇宙:宇宙船で酸素や水を再生
▼医療:特定の患部を狙って薬を届ける

 空気の中にある水分だけをうまく「多孔性金属錯体」の中に取り込んで濃縮して水として使うことが期待されるほか、酸素を放出する「多孔性金属錯体」と二酸化炭素を吸収する「多孔性金属錯体」を使うことで、宇宙船の中で酸素を再生させることが可能になるかもしれません。

2025年10月10日(金)現在の情報です

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