2025年06月06日(金)公開
ファミマは1kg388円 コンビニで『古古古米』販売開始 政府は"入札米"めぐり新方針「買い戻しで再放出」で安く出回る可能性も?課題は返送コスト
解説
備蓄米の販売に関する情報が日々動いています。“随意契約米”がスーパーマーケットに出回り始め、コンビニでの販売も開始。そうした中、競争入札で放出された備蓄米について、小泉進次郎農水大臣から新たな方針も打ち出されました。
古古米がスーパーに続々
備蓄米は現在、「入札」「大手小売り向けの随意契約」「中小小売り向けの随意契約」の3つに分かれています。江藤拓前農水大臣のときに行われた入札による放出では、2024年産と2023年産の古米を大手集荷業者が入札し、5kg3000円台で店頭へ。
小泉農水大臣就任後に行われた、大手小売り向けの随意契約では古古米(2022年産)がメインとなり、5kg約2000円台で。さらに、中小小売りの随意契約では、2021年産の古古古米が5kg約1800円程度で販売されることになりました。
最近、消費者の手元に届きつつあるのが、大手向けの随意契約で放出された古古米です。マルアイでは6月4日から7日まで兵庫県内の全店で5kg2111円(税込み)で販売するということで、イオンや平和堂では6月中旬頃から5kg2138円(税込み)で販売予定です。このほか、オークワと万代も6月中旬頃から、関西スーパー・イズミヤ・阪急オアシスでは6月下旬頃から販売される予定となっています(※予定は変更になる可能性があります)。
コンビニ各社で動き ファミマ・ローソンは5日から店頭に
中小向けの随意契約米をめぐっては、特にコンビニ3社の動きが注目されます。
ファミリーマートは6月5日、関西では10店舗で販売を開始。価格は1kg388円(税込み)で、6月中旬からは全店で販売する予定です。5kg換算で約1940円となり、2000円を下回る価格設定です。
ローソンも関西では6月5日から5店舗で、1kg389円(税込み)2kg756円(税込み)で販売を開始しました。
セブンイレブンは6月中に順次全国で販売するとしています。販売するのは無洗米で、2kg800円前後を想定しているとのことです。
政府の「買い戻し」方針 課題は?
こうした“3極化”するコメの価格状況を受け、小泉農水大臣は6月3日、これまで競争入札で放出された備蓄米について、業者が返還を希望する場合は政府が買い戻す考えを示しました。返還された備蓄米を随意契約に回し、再度放出することで、店頭に安く並ぶコメを増やす方針です。
入札米は、地域による価格差も顕著です。農水省の店頭価格調査結果(ブレンド米を含む)の中央値を見ると、関西では和歌山が最も高く3989円となっています。和歌山の最高価格は4480円で、これは全国の最高値だということです(関西のほかの地域では、大阪3639円、兵庫3580円、京都3780円、奈良3590円、滋賀3580円)。
地域による価格差が生じる理由について、農水省は「通常のコメと備蓄米をブレンドすることが多いため、その地域のコメの価格も影響しているのでは」と見ています。
流通にも課題があります。入札米は、JAなどの集荷業者が入札し、その後、卸売業者を経て小売店に渡り、最終的に消費者の手元に届くはずでしたが、放出された31万トンのうち、小売店に渡っているのは8.7%(5月11日時点)に留まっています。
流通経済研究所・主席研究員の折笠俊輔氏によりますと、「買い戻しで再放出」のメリットとしては安く出回る可能性がある一方、デメリットとしては返送コストや手間がかかることに加え、安く再放出すれば差額分の損失が発生することです。つまり、集荷業者が高値で入札したコメを政府が高値で買い戻し、それを安く売ることになれば、その差額分が“もったいない”ということです。
また、入札米の流通の過程ですでにブレンド米にしていると、買い戻しをどのように実施するかという課題もあります。今後も備蓄米の放出とコメの価格の動きに注目です。
(2025年6月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
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