2025年09月10日(水)公開
「生まれて初めて胴上げを見に」阪神に人生変えられた居酒屋店主...かつて4度の優勝は"生"で見られず「残念だった」 今年はライトスタンドへ「今までで最高の勝利!」
編集部セレクト
甲子園球場の近くにある居酒屋「まこっちゃん」。阪神ファンが集うこの名物店は、2年前に大阪・北新地から移転しました。店主の竹田誠さんも、もちろん阪神ファンです。 タイガースが優勝を決めた9月7日の店内は、試合前からお祭り騒ぎ。そんな中、竹田さんは球場へ向かいます。これまでずっと店をやってきたため見ることができなかった“生の胴上げ”を見届けるためでした。快く送り出す常連たち。そして迎えた歓喜の瞬間… 野球居酒屋で過ごした、阪神ファンの長い1日に密着しました。
「朝から町の雰囲気が違う」試合開始3時間前…店内は満席に!
阪神タイガースがリーグ優勝を決めた9月7日(日)、店主の竹田誠さん(62)は、ひっきりなしに鳴る予約の電話に対応していました。
この日は1時間前倒しで午後3時にオープン。試合開始までまだ3時間もありますが、待ちきれない様子です。店内はあっという間に満席に。
(お客さん)
「(可能性は)100%です!阪神優勝です!」
「いまドキドキしてるよ。でも、ほぼ勝つよ、今日は!」
(店主・竹田さん)「朝から町の雰囲気が違うんで、今日優勝すると思ってるんですけど、楽しみで仕方ない」
「自分の人生を最後謳歌したい」還暦で夢叶う!聖地・甲子園の近くに店を移転
実はこのお店、北新地で14年続いた、阪神ファンが集う名物店でした。38年ぶりの日本一となった2年前、店の移転を決意。その理由は…
(店主・竹田さん)「自分の人生を最後、謳歌したいなと。『聖地・甲子園で店をやろう』と思って」
甲子園に少しでも近づきたい…!60歳・還暦の節目に夢を叶え、店名にも「聖地・甲子園」と入れました。
店内にはサインボールやユニフォームなど、大切に集めた自慢のグッズがずらり。この店になって、初めてリーグ優勝を迎えます。
阪神OB金本さんにそっくり?15年来の常連が店を盛り上げる
この日は混雑するため、会計が分かりやすいよう全員飲み放題で3000円(税込み/フード別)に。ただ、注文が予想以上のハイペースで、竹田さんは大忙しです。
「♪ライトスタンドへ!かっとばせ金本!」
元阪神タイガース・金本さんにそっくり(?)の、前の店から15年以上通う常連さんが試合前から店を盛り上げます。
「われわれのタイガース人生は『まこっちゃん』とともに」
試合開始30分前、チケットを持っている“現地応援組”が、どんどん店を出ていきます。「まこっちゃん」での勢いそのままに、球場へと向かいました。店には誰もいなくなってしまいましたが…
(店主・竹田さん)「今からまた満席になるから。いま下で待っているから」
これからのお客さんは、チケットを持っていない“テレビ観戦組”。球場と同じように、みんなで応援できるので、優勝の瞬間を一緒に味わおうと、常連が次々とやってきます。
(お客さん)
「チケットはないです、取れませんでした」
「われわれのタイガース人生は、いつも『まこっちゃん』とともに」
「北新地からここに引っ越しする最終日、北新地のお店で見させてもらいました。(2年前の)日本一をマスター(竹田さん)と一緒に迎えました」
「甲子園で観戦する楽しさ伝えたい」児童養護施設の子どもたちを阪神戦に招待
竹田さんの生き方に大きな影響を与えた、阪神タイガースという存在。自身と同じ名前の阪神OB・今岡真訪さんの大ファンで、「妻と仲良くなったのも同じ今岡ファンだったから」とのこと。
2008年からは、「甲子園で試合観戦する楽しさを伝えたい」との思いから、児童養護施設の子どもたちを阪神戦に招待しています。
(店主・竹田さん)「自分の好きなタイガースを通じて『なにか社会貢献したいな』とずっと妻と一緒に思っていたんですよ」
かつて招待した子どもの1人が、「就職決まりました」とお店に挨拶に来てくれたこともあったと言います。
(店主・竹田さん)「『いつもいつも(招待してくれるのが)本当にうれしかったんです』って、子どもたちの代表みたいな感じで僕に伝えてくれて。その時、めちゃくちゃうれしかったですね。ものだけじゃなくて夢を与えるっていうか、やっぱり『プロ野球選手ってすごいな』と思いますね」
「今からライトスタンドに胴上げ見に行くんですよ!」
(店主・竹田さん)「頑張って応援しましょう!カンパーイ!絶対勝つぞ!タイガース!」
午後6時、試合開始です!店内は満席。試合を気にしながらも、料理をする手は止められません。
2回裏、ランナー1・3塁でバッターは髙寺望夢選手。犠牲フライで待望の先制点です!さらなる追加点を期待し、応援にも熱が入ります。そんな中、竹田さんが急に…
(店主・竹田さん)「じゃあ行ってきます!今からライトスタンドに胴上げ見に行くんですよ!生まれて初めて、目の前で胴上げを見に」
2003年・2005年・2023年のリーグ優勝と、2023年の日本一。これまで4回の胴上げを画面越しに見てきた竹田さんですが、お店に立っていたため、球場で直接見ることは叶いませんでした。それが「残念だった」と言います。
今回、生の胴上げを初めて見ることができるのは、甲子園の近くにお店を移転したからこそ。常連さんたちも竹田さんを快く送り出します。
(お客さん)「行ってらっしゃーい!」
そして迎えた6回裏。ランナー3塁でバッターは不動のリードオフマン近本光司選手。犠牲フライで追加点をあげました。
「今までで最高の勝利」明け方まで続いた祝いの宴
「あと1人!あと1人!あと1人!」
2点リードしたまま、迎えた9回表。近本選手がウイニングボールをキャッチ、優勝が決まりました!
(お客さん)「2年前に続き、聖地『まこっちゃん』で(阪神の)リーグ優勝を見届けることができました!」
店主の竹田さんも、現地応援組と合流して、念願だった生の胴上げを見ることができました。竹田さんの戻りを、みんなで出迎えます。
(店主・竹田さん)「なんかもう、ジーンとくるというか…今までで最高の勝利。本当に、ここに来ていただいた皆さん、ありがとうございました!」
優勝祝いの宴は、明け方まで続いたそうです。
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