2025年04月11日(金)公開
屋根には約90帖分の芝!昔ながらの三和土(たたき)土間!"新築ながら古民家"を目指した家【住人十色】
編集部セレクト
舞台は兵庫県西宮市名塩。古民家を目指して新築した、古き良き日本を味わえる草屋根の家を紹介する。
住人(アルジ)は、赤ちゃんがいる3人家族。昨年、駅から徒歩15分の川と林に囲まれた場所に念願の新居を建てた。
なんと、木造の平屋の屋根には一面、芝生が敷き詰められている。本当はかやぶき屋根を希望していたが、防火設備など設置基準が厳しいため草屋根に変更。壁も経年変化を楽しめる杉板で仕上げ、新築ながら古民家を目指したのだという。
屋根には芝生!新築ながら古民家を目指した家
夫妻ともに古い家が好きで、古民家再生プロジェクトのボランティアとして出会った。結婚し、子どもを授かったこともあり、仕事に通える場所で家を探していた。そのときもイメージしていたのは、古民家のような木の家。
そんな中で出会ったのが、通勤にも便利な西宮名塩の自然あふれる土地。かつてのニュータウンで10年近く売れ残っていた中古物件だった。土地価格は2軒の古家付きで900万円。解体して更地にし、新たに建てたのが、かやぶきの代わりに芝をのせた草屋根の家。憧れを実現するには、夫妻の並々ならぬ苦労が隠されていたそうで…
キッチン床は砂!?昔の家の要素を詰め込んだ家の中
玄関の木の引き戸を開けると、いきなり土間キッチンが現れる。しかも床は砂。昔の農家の玄関ではよく使われていたこの三和土(たたき)土間は、土と石灰とにがりを混ぜ、叩いて固めたもの。ベビーカーごと家に入れられるので便利だという。
リビングの読書コーナー 自然の中に「おこもり感」を感じられる空間に
食事をするダイニングには、靴を脱いで上がる。ダイニングの大きな窓から見える景色も季節ごとに様変わりするそうで、夏は青々とした緑が、秋は美しい紅葉が楽しめる。
ダイニングの奥は、棚に本がずらりと並ぶ読書コーナー。一段下がった場所がリビングで、段差があることで絶妙な“おこもり感”を実現。この場所のためにソファーも特注した。
800万円!?天然芝が敷き詰められた草屋根
リビングの大きな窓は、川に面した屋根付きのウッドデッキにつながる。ウッドデッキのそばには独立した離れを作り、仕事や趣味に没頭できる空間として利用している。
草屋根には、ウッドデッキからはしごで登れるようになっている。広さ約90帖分もある屋根一面に敷き詰められているのは天然芝で、夏になると全体が青々となる。
草屋根はそんな見た目の良さだけではなく、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるというメリットもあるが、土と草だけで約6tの荷重が。そのため、下の構造体を頑丈にする必要があり、水やりの装置設置も含め、草屋根のコストは800万円にも及んだという。
「古民家みたいな暮らしがちょっとずつできている」
古民家を目指して建てた家もようやく8か月が経った。近所の人から野菜をもらうこともあるそうで、妻は「街中に住んでいたときはなかったような繋がりが持てたのは、ある種、古民家みたいな暮らしがちょっとずつできてきているからなのかなと感じます」と生活の面でも古き良き時代のような暮らしを楽しんでいる。
いつか古民家になる家を夢見て…昔ながらの土間や草屋根に癒される暮らしは、これからもずっと優しくておおらかな心を育んでくれるだろう。
(MBS『住人十色』2025年4月12日放送より TVerでも放送後1週間配信中)
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