2025年01月16日(木)公開
売り上げは10年で1.7倍!なぜが食べたくなる【冬アイス】の秘密 実は同じフレーバでも夏と冬で食感を変えていた!?「グリコ」「ロッテ」人気メーカーに仕掛けを聞いた
編集部セレクト
実は12月~2月の冬の時期にアイスの売り上げは年々増加し、新たな定番となっています。夏は涼をとるために食べる氷菓が人気ですが、冬は暖かい部屋の中でゆっくり食べるプチ贅沢なものが人気です。寒くても食べたくなる工夫がつまった「冬アイス」ならではの秘密は何なのか、アイスクリームの大手メーカーを取材しました。
なぜ人気?冬アイス 専門家「コンビニ台頭で年中売れるように」
寒~い日に暖かい部屋で食べる「冬アイス」。大阪・北区にあるスーパー、ライフ(本庄店)の売り場でもアイスを手にとる人の姿が。
「学校からかえってきて疲れてて甘いもの食べたいなというときに部屋をあたたかくして食べるのが至福のひととき」
「(ハーゲンダッツ)抹茶とマカダミアナッツ。孫が好きやから。暖房しとるから冷たいもんもほしくなるやろ」
思い思いの冬アイスを選んでいました。
実際、総務省の家計調査でも冬の期間にアイスにかけるお金は年々増加していて10年で1.7倍に。アイスクリームの専門家、アイスマン福留さんはコンビニの出現で流通が変わったことが影響しているといいます。
(アイスマン福留さん)「90年代、コンビニが増えていった。元々はメーカーがコンビニはアイスの売り場だと考えていなかった。実際売れ行きもいいので多くのメーカーが協力しようとなった。コンビニとメーカーで共同開発をすることによってここでしか買えないアイスクリームを置く」
コンビニの台頭とともにメーカー側は年中アイスが売れるコンビニを主戦場と捉えオリジナルの商品を開発。コンビニ側もオープン型のショーケースを店の一番目立つところに導入することで商品を手にとってもらいやすいようにしました。
福留さんによりますと、さらに最近はSNSの普及で冬アイスのおいしさが共有されるようになり市場はますます拡大していったといいます。
(アイスマン福留さん)「絶対夏出せないだろうなという商品も出ると冬が来たなっていう。チョコモナカジャンボの板チョコがちょつと厚くなったりとか、ハーゲンダッツも冬限定のフレーバーが出て、コンビニで買えるクオリティーじゃないというか税込で496円の商品もある。」
冬は味覚が鈍く濃い味を求めてしまう!?冬用「パピコ」のしかけ
冬ならではの濃厚な味や特別感を求める消費者のニーズに合わせてメーカーも工夫を凝らしています。大阪に本社がある江崎グリコでは…
(江崎グリコ 増田秀人さん)「冬にいかに継続してアイス、ひいてはパピコを食べてもらうのか大事なテーマのひとつ」
グリコを代表するアイス「パピコ」 実はこんな秘密が!
(増田秀人さん)「同じフレーバーでも夏と冬で変えている商品があるんです」
さわやかな風味でおなじみ、ホワイトサワー味。数あるフレーバーの中で唯一51年前のパピコ発売当初からある根強い人気商品です。見た目は変わりませんが、なんと、夏と冬で味に変化をつけているそうです。
夏バージョンを試食したMBS玉巻アナウンサー。お味は?
(玉巻アナ)「おいしい。大好きな味です。シャリシャリとした食感でとってもさわやかです」
続いて“冬バージョン”のホワイトサワー味。
(玉巻アナ)「全然ちがう!より濃厚でミルク感が強い感じ。夏バージョンはシャリシャリ食感だったが、よりなめらか」
冬になると夏バージョンに練乳を加えるなどしてより濃厚な味わいを追求した「ホワイトサワー 濃い味」を販売しているんです。みなさん、気づいていましたか?
(増田秀人さん)「(冬は)味覚が少し鈍る。鈍るがゆえに濃い味をより求めてしまう。(Q、『濃い味』による売り上げの変化は?)売り上げも右肩上がり」
「濃い味」発売を始めたのは2015年。売り上げは、発売から3年で3倍以上に。1年を通じて「売れる」商品に成長しました。
ロッテのNo.1商品「クーリッシュ」 季節ごとに氷の粒の大きさを変更
「冬アイス」に力を入れているのはアイス業界でトップを走るロッテも。ロッテではブランドごとに担当者がいてチームで企画や開発を行っています。
家族全員アイスが大好き!自宅にアイス専用の冷凍庫を持っているほどアイスに目がないMBSの山中真アナウンサーもまだまだ知らないことがありました。
ロッテのアイスで売り上げナンバーワンのクーリッシュ。同じバニラ味といっても夏限定、冬限定と季節により違いがあるそうです。食べ比べてみると・・・
(山中アナ)「基本今(冬)食べられない。貴重な夏クーリッシュ、いただきます。ほどよい溶け具合でおいしいですね。」
冬限定のバニラ味は…
(山中アナ)「ん?食べ比べるとちょっと氷のシャリシャリ感が夏バージョンのほうが口に感じました。冬バージョンは冬は氷感がほとんどないのでその分濃く感じる。」
(ロッテ クーリッシュブランド部・渡辺恵介さん)「気づいていただきありがとうございます。実は夏の商品に関してはすっきりしてもらうことを目指していて、中に入っている氷のサイズを大きくしています」
バニラ味は季節ごとに3種類展開。アイスに混ぜている目に見えないほどの微細な氷の粒の大きさを夏、春と秋、冬でそれぞれ「大・中・小」と変えているんです。こうしたきめ細やかな研究、開発が功を奏し、売り上げは前の年に比べて110%になったそうです。
アイスクリームの専門家は。
(アイスマン福留さん)「アイスの魅力って本来“嗜好性”だと思う。その嗜好性で選ばれるのが冬なんですね。寒くても食べたくなる欲求が強まるので冬アイスはファンが多いのかな」
気づかないほど細かな点まで工夫していることこそが冬アイス市場を盛り上げているのかもしれません。
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