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1年2か月たった梨が『そのまま食べられてシャキシャキ』...冷蔵・冷凍の先を行く「第3の保存法」とは 長期保存が難しい食品も流通・輸出できるようになる!?

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 目まぐるしい進化を遂げている最新の冷凍食品事情とは?さらに、冷蔵・冷凍に次ぐ、「第3の保存技術」も誕生しています。食の未来を変えるかもしれない新技術とはどんなもの?最前線の現場を取材しました。

約1500種類の商品!近畿エリア初の「冷凍食品専門店」

 (MBS三ツ廣政輝アナウンサー)「子どものころの大好物はお弁当に入っている占い付きの冷凍グラタンでした。私、三ツ廣が最新の冷凍食品について調査していきます」

 大阪府四條畷市にあるシッピングモール「イオンスタイル四條畷」に9月オープンしたのは、近畿エリア初の冷凍食品専門店「@FROZEN」。店内には全国から集まった約1500種類の冷凍食品が並びます。
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 店内をまわると、なんとお寿司の冷凍食品(『梅の花 なみはや寿司』税込み1077円)や、生わらび餅(『生わらび餅 焙煎きな粉』税込み270円)、生八つ橋(『ニッキつぶ餡入り生八ッ橋』税込み324円)など和菓子の冷凍食品まで。

 ほかにも有名店の味がおうちで楽しめる冷凍ラーメンや1食4000円以上する帝国ホテルの味も。

 (客)「お弁当で毎日のように使っています。チンして持っていってます」

 簡単・便利で忙しい人のニーズにもあっていて、2023年度の日本冷凍食品協会の調査では、日本人1人当りの消費量は23.2kg。市場規模は1兆2000億円を超えるというデータもあります。

13分で生鮭がカチコチに!?冷凍食品の進化を支える「凍らせる技術」

 進化する冷凍食品。支えるのは「凍らせる技術」です。食品メーカーなどが使う大型フリーザーを製造する「タカハシガリレイ」。大阪の本社で食品を凍らせる現場を見せてもらいました。

 まず見せてもらったのは、「トンネルフリーザー」と呼ばれる、凍らせたい食品をコンベアに通して急速凍結させる機械です。フリーザーに入っていく生の鮭は…

 (タカハシガリレイ・片山昌之さん)「中の途中経過を見てみましょう。フリーザー内はマイナス35℃で風速18m/sの風が上下から当たっている。もう表面が凍りだしていますね」

 たった13分後、トンネルの出口からは…
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 (三ツ廣アナ)「カチコチですね」
 (片山昌之さん)「もう本当に完全に凍結してますね。急速凍結することによってうま味成分がずっと閉じ込められてドリップ(食材の水分)が出にくくなるので、それがおいしさのひとつでもあるんです」

あつあつチャーハンも急速凍結でパラパラ!

 チャーハン専用のトンネルフリーザーも。表面温度50℃のアツアツのチャーハンを急速凍結します。

 (片山昌之さん)「振動装置というバタバタ叩いているものがあります。あれではねて冷たい風を送る。そしたら表面の一粒一粒が凍っていって、表面が凍ると次に落ちたときにひっつかないのでパラパラになるんです」

 わずか4分後には…

 (片山昌之さん)「パラパラになっているでしょ」
 (三ツ廣アナ)「まったく玉になっていないですね。触っていいですか?こんなに一粒一粒が…」
 (片山昌之さん)「この機械がなかったら冷凍食品のパラパラチャーハンはなかったと言っても過言ではないと思います」

 冷凍食品に詳しい「冷凍王子」こと西川剛史さんは、こうした凍結技術に加え食品の調理法や容器の進化がおいしさのアップにつながっていると話します。
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 (冷凍王子・西川剛史さん)「簡単便利だけじゃ売れなくて、今はおいしくないと売れない時代。トレー自体の形を変えて加熱ムラが起きないようにする研究も進んで、おいしくチンできるように開発されていますね」

世界が注目する第3の保存法「ZEROCO」が食の未来を変える!?

 さらに食の未来に変える新技術も誕生しています。東京のベンチャー企業が開発したのは、冷蔵や冷凍の先をいく「第3の保存法」として世界から注目を集めている『ZEROCO』です。MBS山中真アナウンサーがその内部を見せてもらいました。

 (山中アナ)「ここがZEROCO内。だいぶひんやりしていますね」
 (ZEROCO・楠本修二郎社長)「深呼吸していただくと、非常にさわやかなカラッとした環境。湿度の質が違うんです。普通、こういうところに霜がついたり結露したりするんですけど、そういったことがまったく起こらない」

 一見すると大きな冷蔵施設のようですが、常識を覆す技術で主に野菜や果物などの生鮮食品を長期間保存することが可能なんだそうです。

 (楠本修二郎社長)「これは梨ですけど、14か月たった梨です。フレッシュな状態ですね」
 (山中アナ)「なんら痛んだり変色したりしていないですね」
 (楠本修二郎社長)「これはレタスですけど、1か月前のものになります」
 (山中アナ)「1か月たっても、ピンと葉が立っています」
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 約2か月経過したアボカドでZEROCOと冷蔵での保存を比べると、鮮度の違いは明らかです。

 (楠本修二郎社長)「この技術がすごいんです。ZEROCO内の温度ムラと湿度ムラが起きない状態を徹底的に突き詰めています」
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 一般的な冷凍庫の温度はマイナス18℃以下、冷蔵庫の湿度は約60%。こうした環境だと凍った水分の膨張や食材の乾燥などが起きるといいます。

 しかしZEROCOは、企業秘密の特殊技術で温度約0℃、湿度100%に近い環境をキープ。細胞を傷つけず乾燥、酸化を防ぎ長期保存を可能にしているということです。保存開始から1年2か月が経過した梨を試食させてもらいました。
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 (山中アナ)「1年以上前の梨。怖い気もしますが、いただきます。甘い!おいしい!シャキシャキ感とみずみずしさがちゃんと残っています」

 8か月保存した生のニンジンも試食させてもらいましたが、食感も味も劣化していませんでした。

 農作物は猛暑など天候に左右されやすいですが、ZEROCOでの保存が普及すれば将来、農作物の価格安定につながると言い、その実証実験が8月から北海道で始まっています。さらに、これまで長期保存が難しかった食品も、市場に流通させたり海外輸出につなげたりすることが可能だといいます。

 (楠本修二郎社長)「海外輸送用のコンテナをZEROCOにする。それによってフレッシュなものをありとあらゆるところに運ぶことができる。食は間違いなくこれから先、長い年月をかけて世界に輸出できるものかなと思っています」

2024年11月04日(月)現在の情報です

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