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急増するゲリラ豪雨 『アンダーパス』が冠水し車が水没する危険性...過去には死亡事故も 「これぐらい行ける」は危険!「車は思っているよりも水に弱い」なぜ事故は起きる?注意すべきことは?

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 「梅雨明け」した近畿地方。近年多発する集中豪雨で警戒が必要なのが「アンダーパス」です。アンダーパスの冠水で車が水没する事故が毎年のように発生し、死亡事故も起きています。なぜ、事故が起きてしまうのか?危険性と注意点を取材しました。

冠水したアンダーパス…過去には死亡事故も

 まるで川のようになっている道路で、水に浸かる車。去年8月、長野県中部を襲った集中豪雨では、大量の雨水がアンダーパスに流れ込み、冠水。車4台が動けなくなりました。

 「早く来て!舟がなきゃ出られない」

 車に取り残された人、車に乗っていた人は、消防に救助され全員無事でした。

 愛知県では9年前、約3m冠水したアンダーパスで水没した車が見つかり、車内にいた女性が死亡する事故もありました。
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 近年、全国で急増するゲリラ豪雨。アンダーパスが冠水する原因の1つとして、自治体などが注意を呼びかけています。

 6月、線状降水帯が発生し大雨となった鹿児島県では、指宿市で1時間に最大53.5mmの雨が降り、各地で道路の冠水などの被害が出ました。

 このような1時間に50mm以上の「非常に激しい雨」は40年前と比べて、約1.5倍に増えていて、一層警戒が必要になっています。

「ゲリラ豪雨なら5分~10分で冠水を起こすことも」

 奈良県大和高田市にある、近鉄・高田市駅下のアンダーパスは数年に1度、冠水で通行止めに。8年前に1m近くまで冠水し、車2台が水に浸かったこともあり、住民は危機感を募らせています。

 (近隣住民)「(アンダーパスの)なかで止まってしまったら、ちょっと怖いなと。運転時には(非常時に)窓を割る金づちを常備していた」
 (近隣住民)「初めて通る人はどれだけ深くなっているか分からないと思うので、そのまま車で行ってしまって沈んでしまうと思う。改善してほしいなと思います」

 道路を管理する県の土木事務所は、この道路は周囲より土地が低く水が集まりやすいこともあって、近年のゲリラ豪雨では、排水ポンプの能力を超えることがあると話します。

 (奈良県高田土木事務所 松田拓士所長)「昨今のゲリラ豪雨なら、5分~10分で冠水を起こすこともあります。(通行止めが間に合わない可能性も?)ありえます」

 さらに、道路のゴミが雨水に混じっていると本来の排水機能すら発揮できないことも…
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 (松田拓士所長)「(排水)ポンプの吸い込み口にゴミがひっかかると、(ポンプの)能力を最大限発揮できない。そういうことによってゴミによる冠水も起こりえるので、道路にゴミを捨てないで。(ゴミによって)災害が起こると考えていただきたい」

水位が低くても危険「車は思っているよりも水に弱い」

 いつ自分が遭遇してもおかしくないアンダーパスの冠水。JAFの担当者は水位が低くても危険性は高いと話します。

 (JAF大阪支部・堺基地 田畑雅敏さん)「私が救援に行ったお客さまは『これぐらいは行けるだろう』と。冠水している場所に入って(車が)止まってしまったことがありました」

 冠水した道路を走行する実験映像を見ると、水深は車のエンジンルームよりも低い60cmで、時速10kmでゆっくりと進みますが、途中でエンジンが止まり、動けなくなってしまいました。エンジンルームからは、大量の水が吹き出します。そのわけは…

 (田畑雅敏さん)「空気取り込み口から水が入ると、エンジンが止まってしまうんです」

 ハイエースの場合、運転席側の下、バンパーの下をのぞきこむと黒い部品があります。この上部から空気を取り込むということで、田畑さんによると、水がバンパー下までくると、エンジンは止まってしまうということです。
33.jpg34.jpg 車のエンジンは、外から取り込んだ空気とガソリンを混ぜ、それを燃焼させて動く構造です。そのため、空気の取り込み口や排気口に水が入ってしまうと、エンジンが動かず、車が止まってしまうのです。

 車の速度を上げると、タイヤが水を巻き上げて大量の水がエンジンに入るため、突破できるどころか、さらに危険です。

 (田畑雅敏さん)「車は思っているよりも水に弱いので、『これぐらい行けるだろう』と思わずに運転していただくというのがよい。回り道を選ぶなど、安全を最優先に事故を起こさない運転を心がけてください」

 年々激しさを増す豪雨。少しでも危険を感じたら、一度立ち止まり無理な運転をしないことが大切です。
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2025年07月04日(金)現在の情報です

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