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頑張った夜に甘い贅沢を...全国で広がる『夜アイス』 元板前のオーナーが手作りする夜アイスを求める人々「バリバリ活力が湧く」

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 夕方からオープンする「アイス専門店」が神戸市にあります。仕事帰りやお酒を飲んだ後のシメにあま~いアイスを食べようと連日大勢の客で賑わっていて、『夜アイス』が全国的にブームです。

「夜アイス」が全国的にブーム!あま~い贅沢を求めて

 夜がメインのアイスクリームの専門店。今宵もちょっと贅沢なデザートを求める客が集います。

 (客)「飲んだ後に食べにきました」
 (客)「自分のごほうびで。一日中仕事頑張っているんだしと思って」
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 神戸市須磨区の地下鉄板宿駅前の飲食店が立ち並ぶエリアにある店「アイスるんです」。全国的にブームになっている『夜アイス』の店を定点観測しました。
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 午後3時30分に店にやってきた若い男性。開店の準備をするのはオーナーの菊見誉さん(26)です。
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 仕込み作業をしていると、すでに店の前には客の姿がありました。なぜオープン前から待っているのでしょうか?

 (客)「今日は半額の日だったので、それで自転車飛ばしてきました。元町から30分以上かけて」

 お目当てはクリームブリュレ。この日は半額のキャンペーンをしていて、いてもたってもいられなかったそうです。
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 午後4時、開店と同時に1人目のお客を迎え入れました。閉店は深夜0時、長い夜の始まりです。

 女性が頼んだのは1番人気の自家製クリームブリュレ(通常650円→この日は330円)。ソフトクリームの上にたっぷりと自家製カスタードクリームをのせます。砂糖をバーナーであぶり焦げ目をつけて、冷凍庫で冷やし固めると完成です。

 (スタッフ)「お待たせしました。クリームブリュレになります」

 もちろん、スマホで写真を撮ってからいただきます。

 (客)「うーん!めっちゃおいしいです!(Q30分かけて来た甲斐はあった?)ありました。また来ると思います。何個でも食べられます」

 甘くて冷たいアイスで汗もひいたところですが、また自転車で30分かけて元町にある家まで戻ります。

 (客)「また帰って晩ごはんの用意します」
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 夕方には子育て中のお母さんの姿も。保育園に子どもを迎えに行った後、ちょっと立ち寄ってひと休みです。

 (子ども)「おいしい」 

北新地で板前として腕を磨いた菊見さん『夜アイスいける!って直感した』

 午後7時、日が暮れて街に明かりが灯りました。夜アイスはこれからが本番です。

 (菊見さん)「お酒を飲んだ後とか、ご飯の後のシメで食べる方が多いです」

 夜が中心のアイス専門店は関西でも数年前から一気に店舗が増えています。発祥は北海道・札幌市。札幌には飲み会のシメにパフェを食べる文化があるそうで、専門店もできるほどの人気です。それが全国に広がったと言われています。
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 菊見さんが店を開いたのは1年半ほど前。それまでは…

 (菊見さん)「それまで元々は北新地で板前をしていました。ちょうどパッときたんですよ、これやっていう感じが、夜アイスいける!っていう。直観です」

 18歳から7年間、大阪の日本料理店で働いていた菊見さん。2022年、和食からスイーツの世界へ転身。地元・神戸で独立して開業しました。
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 メニューは季節限定の自家製モンブランや旬のフルーツをふんだんに使ったものなど20種類以上。全て手作りで提供しています。

仕事終わりや飲み帰りに…夜になるにつれて店は大賑わい

 午後8時、夜アイスを求める人は様々。家族や友達同士、仕事帰りに来る人もいて客は途絶えません。こちらはゴルフ場でキャディーをしている3人。近くで広島焼きを食べた後に立ち寄ったそうです。

 (客)「(Qどういう関係?)職場の仲間です。年齢差ありますけど。(Qご家族だと思ったが?)違うんですよ」
 (客)「いちじく。期間限定です」
 (客)「また広島焼き屋さんにもう一回戻るので。持ち帰りを受け取りに。その合間にアイスを食べにきました。めっちゃおいしい」

 夜風にあたりながらのあま~いスイーツは最高。シメのアイスを持って店に戻りました。
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 両隣を飲食店に挟まれたこのアイス店。隣の串カツ店から男性が出てきました。夜アイスが気になるようです。

 (50代の男性)「びっくりやね。シメはラーメンちゃうん。甘いのは食べないと思うんやけどな。似合わへんやんおっさんが、無理や」

 そうは言ってもアイスが気になって、一旦は並んだものの、やっぱり2軒目の店へと歩いて行きました。
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 午後9時、店はピークを迎えました。慌ただしい店内。出前の注文も入ります。夜食にと買ってきたおにぎりも食べる時間がありません。

甘いアイスを食べて現実逃避する人・モチベーションをキープする人

 午後10時30分、人通りは少なくなり、街は静かになってきました。それでも夜アイスの店は賑わいが続きます。女性2人が店に入っていきました。

 (客)「夜アイスしに来ました。飲んだ後に食べに来ました」

 1日のシメにお気に入りのアイスを食べたいと立ち寄りました。時間は午後10時30分。夜遅くゆったりとした時間が流れますが、女性が突然口にしたのは…
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 (客)「明日も仕事や…。今、明日も仕事やと現実を思い出しました。アイスを食べながら」
 (客)「有給とった」
 (客)「頑張ります。食べて忘れます」

 夜アイスは現実逃避できる束の間のひとときです。
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 午後11時40分、閉店まであと20分。1人、男性客がやってきました。

 (客)「まだいけますか?」
 (菊見さん)「大丈夫です。こんばんは」

 注文したのはマンゴーのアイスです。

 (菊見さん)「いつもありがとうございます」

 1日の締めくくりにアイス。幸せを確かめるようにゆっくりと口に運びます。

 (客)「あーおいしいです」

 アイスを食べる表情、なんともおいしそうです。こんな夜遅くに来るわけを聞いてみると…
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 (客)「明日につながるために。モチベーションをキープしたいなと。仕事でへとへとになりそう、くじけそうになりますから、これで元気をもらっています。(Q明日への活力は湧いてきた?)バリバリです。頑張ります。(週末まで)あと2日ですけど」

 夜にアイスを食べに来る人たち。共通するのは頑張った自分へのごほうびなのかもしれません。

2023年10月16日(月)現在の情報です

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