2022年12月22日(木)公開
京都人が滋賀へ流出「家が半分くらいの価格で買えた」...京都市はタワマンもNGで不動産価格は『バブル期並みに高騰』ピンチで「高さ規制」緩和の動き
編集部セレクト
観光都市である京都市で人口流出が深刻な問題となっています。
京都では秋以降、水際対策の緩和や全国旅行支援の開始で賑わいが戻ってきました。
(神奈川県から来た人)
「いろいろ新しいお店とかができていて楽しいです」
(スロバキアから来た人)
「金閣寺と竹林に行きました。美しかったです」
京都市の人口減少は全国ワースト…原因の一つに『高さ規制』
ところが今、その京都で深刻な問題が起きています。京都市山科区で自治会長を務める岩崎泰大さんが強い危機感を抱くのが人口減少です。
(京都市山科区で自治会長を務める岩崎泰大さん)
「(山科区は)人口が伸び悩み、そして今は減少気味と。魅力のある街だと思うんですけども」
京都市の人口は今年1月時点で138万8807人ですが、去年1年間で1万1913人減少しています。これは全国の市区町村最多で、しかも2年連続です。
その原因の一つが京都市独自の『高さ規制』です。景観を守るために2007年に導入されましたが、これにより高層マンションが建てられない上、ホテルラッシュによる用地不足も相まって、京都市内の今年上半期の不動産価格は『バブル期並み』に高騰。子育て世代を中心に市外へ人が流出しているのです。
では、どこへ移っているのでしょうか。
滋賀だと半分の価格で家が買える?
京都市民だった小島さん一家は、3年前に琵琶湖が一望できる滋賀県大津市のマンションに引っ越しました。
(京都市から大津市に転居した小島康史さん)
「京都に比べればやはり魅力的な価格ではあったので。半分くらいの感覚で買えたとは思っていますね」
手頃な不動産価格に加え、家族が気に入っているのは…。
(小島康史さんの妻・麻由さん)
「子育てというところに焦点をあてたときに、のんびり子育てしやすいのかなぁというところが決め手でした」
流出先は大津市以外にも。滋賀県の南草津駅前は今、100部屋を超える大規模マンションの建設ラッシュとなっています。2023年春から入居が始まるマンション「ブランズシティ南草津」は、217ある部屋のほとんどが契約済みだといいます。
(東急不動産・販売部 山本哲裕さん)
「新快速が停車するようになってからもまだ年数が浅いですし、街自体も非常に若い街でございまして。スーパーはもとよりドラッグストアや病院、学校といった日常生活に必要なものが大変身近に揃っております」
ピンチの京都市で『高さ規制』緩和案も
こうした人口流出を受けて京都市は『高さ規制』の見直しに動き始めました。
(京都市 門川大作市長 11月22日)
「市域全体が保全地域になったかのようなイメージを与えてしまっています。住居を求められるために、必要な見直しはやっていこうと」
京都市は、一部のエリアで『高さ規制』を緩和する案を示していて、例えば京都駅南側では高さ最大25mだった規制を31mまでに、山科エリアではこれまで31mだった規制を撤廃するとしています。
こうした動きに、京都市民からは次のような声が聞かれました。
(京都市民)
「賛成かなと思います。財政とかもあるし、タワーマンションとかあったほうが人もたぶん住みやすくなると思うので」
「絶対反対。(京都には)古いものがたくさんあるからね。高さも何もかも規制を外してしまうというのは、これはやっぱり考えなあかん」
足元がぐらつく京都市。巻き返しはできるのでしょうか。
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