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【今年の大阪コロナ対策を振り返る】1000床施設の利用303人で閉鎖...もありましたが『ハコモノからヒトへ』『制限から緩和へ』吉村知事「コロナと共存の道を模索する」

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 今年も新型コロナウイルスに振り回された1年でしたが、大阪府ではこれまでに確認された死者数が全国最多となりました。その大阪府の新型コロナウイルス対策を検証しました。

コロナ対策を大きく方向転換した1年

 大阪府にとって今年は新型コロナウイルス対策を大きく方向転換した1年でした。

 (大阪府 吉村洋文知事 今年12月21日)
 「いかにコロナと共存して社会生活をしていくのか、そこが重要になった1年だったと思う」

 今年1月、大阪府は約55億円の事業費をかけて、医療が受けられない若い世代の受け皿を想定して1000床の受け入れが可能な大阪コロナ大規模医療・療養センターを整備しました。しかし、オミクロン株が流行した第6波(去年12月~今年6月)では、感染が急拡大した一方で重症化はしにくく、施設の利用者はわずか303人と低迷して今年5月末で閉鎖されました。
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 (大阪府 吉村洋文知事 今年4月)
 「オミクロン株が出てきて、実態はみなさんご承知の通り、若い世代・現役世代がどんどん酸素が必要になるという状態は起きませんでした。大規模施設とマッチしなかったというのが一番大きな理由だと思っています」

大阪市のクリニック「重症化する患者はほぼいなくなっている」

 今年12月20日、実際に大阪市中央区にある「小畠クリニック」を取材してみると…。

 【診察の様子】
 (小畠院長)「夜から熱が出てきた?」
   (患者)「うん、39℃ですね。でも39℃でも動けるんで」

 検査をすると…。

   (患者)「コロナ!?」
 (小畠院長)「コロナや」

 大阪市内にある発熱外来では、ここ数日で予約が急増していますが、小畠院長は「患者数は増えているものの重症化する患者はほぼいなくなっている」といいます。

 (小畠クリニック 小畠昭重院長)
 「最初の(2020年)4月のときは、5人いたうちの3人が入院して、2人は人工呼吸器につながっていて、1人は亡くなった。今は月に200人ぐらいの陽性者がいるけど入院する人は1人もいない」

高齢者への対応を強化して死亡率『約3分の1』に

 『ハコモノからヒトへ』と方向転換したことで、より力が入れられるようになったのは高齢者への対応です。高齢者施設の数が約3600と全国最多の大阪府。第6波では高齢者施設でのクラスターが相次ぎ死者数が急増しました。そこで府は今年6月からの第7波では、高齢者施設に対して、コロナ治療ができる協力医療機関の確保を支援したり、24時間以内に施設に往診する医療機関を増やしたりしました。
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 その結果、第7波(今年6月25日~9月26日)の70代以上の死亡率は1.20%で、3.18%だった第6波(去年12月17日~今年6月24日)の約3分の1にまで減少しました。

吉村知事「コロナと共存する道を模索していくべき時期」

 そしてもう1つの方向転換が『制限から緩和へ』。

 大阪・梅田の繁華街で長年酒店を営む小牟礼隆之さん。時短要請など度重なる行動制限に苦しめられてきました。

 (伊吹屋 小牟礼隆之さん)
 「1月のまん延防止があったじゃないですか、今年の最初に。あの時が一番きつかったです。街にも人がいなくて、どうしようと思っていたので」

 大阪府は第6波では、今年1月27日~3月21日にまん延防止等重点措置として、飲食店に時短営業と酒類の提供自粛を要請。ただ、第7波の今年7月28日~8月27日には、高齢者らに限定して「不要不急の外出自粛」を要請します。

 そして、第8波の入り口とみられる今、12月21日の新規感染者数は1万2223人で、病床使用率は12月21日時点で49.1%と大阪モデル赤信号の基準50%に近づいていますが、行動制限をしない方針です。

 (大阪府 吉村洋文知事 12月21日)
 「行動制限をすれば当然これに伴う弊害もあります。全く無傷というわけにはいきません。コロナと共存するという道を模索していくべき時期だと」

2022年12月22日(木)現在の情報です

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