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「プーチン大統領が金正恩総書記を電撃訪問か」「ロシアに兵士派遣?背景に北朝鮮兵4割が腹ペコ」..."世界の2大脅威国"めぐるウラ事情を専門家W解説

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今、世界が脅威になっている2つの国家といえばロシアと北朝鮮。共産主義国家をベースにした個人崇拝による2つの権威主義国家が今、隣国に軍事侵攻し、或いはミサイルを発射して、脅威の存在感を増しています。ウクライナで弾切れが指摘されているロシアに対し、「北朝鮮が砲弾を搬入している(筑波大学名誉教授・中村逸郎氏)」。一方の北朝鮮は「食糧難で兵士は栄養失調になっている(龍谷大学教授・李相哲氏)」という両国の窮状を紹介。瀬戸際に立つロシアと北朝鮮。そこで専門家2人に聞いてみた。中村名誉教授には「ロシアの核攻撃」、李教授には「北朝鮮の核実験」、それぞれの可能性について中村名誉教授は「51%」、李教授はなんと「100%」としました。(2022年11月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

パイプライン延伸計画 通過料が北朝鮮に?

―――エネルギーでいいますと、ロシアは天然ガスのパイプラインを伸ばしたい、北朝鮮は天然ガスが欲しい。利害が一致します。

(中村名誉教授)
北海道の北にサハリンがあって、その北で天然ガスが採れるんですね。そこからずっと間宮海峡を渡ってウラジオストクまでパイプラインが伸びてるんですね。そこからハサンを通って北朝鮮にまでパイプラインを伸ばしたいと。

(李教授)
韓国の李明博政権時代にね、その構想が具体化されてまして、北朝鮮を通って、韓国まで伸ばそうと。そうすると北朝鮮はガスをもらうだけじゃなくって、それを通過する費用も毎年入るので、そういう構想もありました。当時は国連制裁がそんなに厳しくなかったので、そういう構想も具体化されていました、今は止まっています。

―――実際にパイプラインが北朝鮮まで伸びてエネルギー供給が行われたらどうなりますか。

(中村名誉教授)
ロシアからすれば、北朝鮮にもっと近づくことができるし、同時に北朝鮮から中国にもパイプラインは伸ばせるんですね。中国も天然ガスが欲しいわけですから、李先生がおっしゃったように、中国にまでパイプラインに伸ばすと北朝鮮は通過料が取れるんです。そういう美味しさもあるわけです。

(李教授)
ただ今、国連制裁でエネルギー供給に上限制限がかかってるんです。だから現実的には難しいとは思いますけれども。構想としては昔、ロシアが北朝鮮に電気設備とか全て自分たちがやってあげるというような契約まで結んだことあるんだけれど、一つも実現はしてないです。

(中村名誉教授)
北朝鮮とロシアの関係は今年の8月以降ですけども、大変に物流が動いたり、ロシア政府と北朝鮮政府の書簡が盛んに交換されたり、急接近しているんです。

―――しかし両国の蜜月関係に変化があるんではないかと言われてる話もあります。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、そして対抗措置でミサイルを発射した韓国に対してロシアのペスコフ報道官の発言です。「既に緊張状態にある現状を悪化させるような措置を避けるべき、全ての当事者に冷静さを保つよう促した」。ロシアが北朝鮮に釘を刺すようなことを言ったのはどうしてなのか。お二方とも非常に見解が似ています。

(李教授)
「アメリカに対する皮肉」北朝鮮に自制を求めてるようにも見えますけれども、やっぱりロシアや中国の考えは今の緊張状態を作ったのはアメリカだと。目的はアメリカに対する自制を求めたと思います。

(中村名誉教授)
「アメリカとの交渉材料」これは私の見立てですけども、北朝鮮がこれだけ暴走してるのは、後ろでプーチン政権が煽ってるんじゃないかと、その最大の理由は緊張を高めといて、プーチン政権が金正恩政権に対して抑制を求める、その代わりに、ウクライナ情勢ではロシアがどんどん負けてきてますよね、軍事的に占領した四つの州については認めるという交渉材料にする、つまり北朝鮮を抑える代わりに、ウクライナにアメリカが軍事的な支援をするのはやめろという交渉材料に使うんじゃないかと。

今ロシアの中では、こういう噂が出てるんですよ。近々、もしかしたら金正恩委員長とプーチン大統領の首脳会談があるんではないかと。プーチン大統領は北朝鮮を訪問するんじゃないか、これまでトルコやイランに行ってますよね、その足で北朝鮮に行って北朝鮮を抑えるというところを見せるんじゃないかということですね。

―――李教授、今の話は可能だと思いますか。

もしもそれが本当であればすごいこと。今までもロシアと北朝鮮との関係は近いんだけれども、ソ連とロシアのトップが北朝鮮に行ったのは私の記憶では2回だけです。プーチン大統領が一度行きましたけれども、それは日本に来る途中に寄っただけで、もし今回本当に行くとなれば北朝鮮は喜ぶだろうけれども、今北朝鮮は食料が欲しくて、ロシアは今年小麦が豊作で9000万tとか収穫したって言われてるんですが、その中の多分5%ぐらい北朝鮮に支援しても、全く困らないような状況なので思惑は一致すると思います。

(中村名誉教授)
実はプーチン大統領が就任した2000年、一番最初の訪問国は北朝鮮ですよ。プーチン大統領はおそらく就任したときから北朝鮮はアジア政策の外交カードで将来使えると、っていうことをおそらく思ったのではないでしょうか。

(李教授)
プーチン大統領は金正日氏が大好きでね、世界的な名馬を贈ったりとか、そういう関係で、お父さんの時代がむしろとても親しかった。

核使用の可能性・・・両専門家の見立ては

―――もう一つ大変気になるのは核の使用です。ロシアは「核兵器の使用」そして北朝鮮は「核実験」が噂されています。ロシアの核攻撃は原発への攻撃も含まれているのではないか、ヘルソン州では市民退避の動きがあります。

(中村名誉教授)
実は今、大変な緊張状態にあります。原発はドニプロ川から水を取って冷却しているんです。そこの下流にダムがあるんですが、そこがロシアによって最後には、爆破して崩壊させられて、その結果、原発へ水が行かないようにするんじゃないかと言われてるんです。ですから流域に住んでいる7万人が残っていると言われてますけども、11月6日までに全員退避っていうことで、非常に原発絡みの核攻撃っていうのが、ここにきて非常に危険性が高くなってきています。

――今、外部電源も完全に遮断されてディーゼルでやってますから、電気がなくなっても原発冷却できなくなるんで、そういう意味では今危機的な状況です。

今はウクライナ軍がどんどんどんどん奪還してきているわけです。ですからロシアからすればですね、自分たちの領土がウクライナ軍によって侵攻されているという考え、その反撃として原発を使うんじゃないかということです。

―――そして北朝鮮です。李教授によると「核弾頭を積むことができ、アメリカを射程に収める火星17は金正恩体制を守る必要なカード。夜の3発のミサイルは、米韓軍事演習延長でさらに反発か」

(李教授)
火星17が大事なのは、北朝鮮と韓国が紛争が起きたときにアメリカが介入すると北は困るんですね、介入させないためには、介入したら我々は火星17を使ってアメリカを攻撃するぞっていう能力を身につければ、アメリカはやっぱり南北の紛争への介入を躊躇せざるを得ないだろう。そういう状況を作るために一生懸命火星17の開発をしている状況です。

―――両国のこの核の使用、お二方にどれぐらいの可能性があるのか、フリップに書いていただきました。

まず中村先生、ロシアの核攻撃の可能性は51%。なぜかっていうと、北朝鮮をプーチンが抑え込めば、核を使わなくてもいいわけです。ですから半分より高いってことで51%にしてみました。

―――そして李先生、北朝鮮の核実験の可能性は100%。

いまは完成間近ですし、止めることはまずないんですよね。ただ問題はタイミングです。やるやると言って明後日までにやるんじゃないかという専門家の見方がありますけれども、金正恩氏がへそを曲げてね。やるって言ったら、逆にやらない可能性があるので、明後日までやる、というのは100%じゃない。でも、核実験をやることは100%。タイミングはわかりませんが核実験はやる。

2022年11月04日(金)現在の情報です

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