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「カタギの世界に愛想が尽きた」王将事件の容疑者が"ヤクザになった理由" 社長との接点は?元警察幹部「独断でこんな大きな事件を起こすことはまずありえない」

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 2013年12月に「王将フードサービス」の社長だった大東隆行さんが射殺された事件。この事件で逮捕された暴力団組幹部の男は、一体どんな人物なのでしょうか。

『助けてくれたのが石田組の方々』33歳まで会社員だった王将事件の容疑者

 9年前に起きた事件がついに動き出しました。今年10月28日、別の銃撃事件で服役していた福岡刑務所を出た特定危険指定暴力団・工藤会系幹部の田中幸雄容疑者(56)。京都への移送は、暴力団側の奪還や襲撃を警戒し、防弾仕様の車両が使われるなど異例の措置が取られました。そして、田中容疑者の身柄は約11時間かけて京都府の山科警察署に移されました。

 事件が起きたのは2013年12月19日。京都市山科区にある「王将フードサービス」の本社前の駐車場で、社長だった大東隆行さん(当時72)が胸や腹などを4発、銃で撃たれて殺害されました。

 実行犯として逮捕された田中容疑者とは一体どんな人物なのか。取材班は事件の4か月後に発売された月刊誌「実話時代(2014年4月号)」を入手しました。そこには次のようなことが書かれていました。

 【「実話時代」 2014年4月号より】
 (小見出し)『カタギへの絶望 上辺だけの、綺麗事に終始しがちな世界からの脱却』

 暴力団の若手幹部の特集記事。この中で田中容疑者は暴力団組員になった理由をこう話していました。

 【「実話時代」 2014年4月号より】
 『ひと言で言えばカタギの世界に愛想が尽きたということです。とんでもないトラブルに巻き込まれてうんざりするような体験をしましたが、それを助けてくれたのが石田組の方々でした』

 関係者によりますと、田中容疑者は大学を中退後、33歳まではごく普通の会社員としてまじめに暮らしていたといいます。しかし…。

 【「実話時代」 2014年4月号より】
 『私は長いことカタギの世界で生きてきました。一度として上司に人間的な魅力を感じたことなどありません。ところがうちの親分は、私がかつて味わったことのないほどの温かさを示してくれました』

『パチンコ店にトラックで突っ込む』『大手ゼネコン社員らが乗る車を銃撃』

 カタギからヤクザへ。田中容疑者は、武闘派として様々な犯罪に手を染めていくことになります。2003年、福岡市内のパチンコ店にトラックで突っ込み逮捕。その動機は理不尽なものでした。

 (田中容疑者)
 「店のオープンの際に挨拶がなかった」

 そして5年後の2008年には、大手ゼネコン「大林組」の社員らが乗った車を銃撃。2018年に逮捕され、懲役10年の実刑判決を受けて福岡刑務所で服役していました。

 組織内では“プロのヒットマン”として知られているという田中容疑者。関係者によりますと、「絶対に口を割らない」とも言われていて、今回も黙秘を続けています。
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 長年、福岡県警で工藤会の捜査にあたってきた藪正孝さんは、田中容疑者についてこう話します。

 (元福岡県警幹部 藪正孝さん)
 「田中容疑者は(工藤会傘下組織の)石田組のナンバー3ですから、彼が独断でこんなふうな大きな事件を起こすということはまずありえません。はっきり言って今回の事件は、田中容疑者本人の意思に基づくものではないと思います」

事件をめぐり王将の創業家長男らの自宅を家宅捜索

 事件前に田中容疑者と大東さんとの接点はなかったとみられている今回の事件。上場企業の社長とプロのヒットマンの間に何があったのでしょうか。

 事件の後に王将は第三者委員会を設置。調査の結果、創業家が特定の企業グループの経営者と不動産の売買など約260億円の不適切な取引を繰り返し、170億円が流出していたと公表しました。

 (王将の第三者委員会 2016年3月)
 「反社会的勢力であるかどうかにかかわらず、王将としては手を切らなければならない相手」

 今年11月4日、この企業グループの当時の経営者に電話取材を試みましたが、かけた番号は現在使われていないようでした。

 警察は今年11月3日、田中容疑者が所属する「石田組」の家宅捜索を行いました。また、不適切な取引が事件と関係していないかを調べるため、田中容疑者の逮捕後、創業家の長男ら複数の元役員の自宅を家宅捜索し、任意で事情を聴くなど事件の全容解明を進めています。

 今回の捜査で警察が注目しているのが、王将と「特定の企業グループ」との関係。事件後に行われた王将側の調査で、この企業グループとの間で約260億円の「不適切な取引」が繰り返されていて、それを、殺害された大東さんがやめさせようとしていたことが報告されています。こうしたことから、警察はこの企業グループの当時の経営者の男性から任意で話を聞いていますが、事件への関与を否定していることが新たにわかりました。

 さらに警察は、創業者の長男など複数の王将の元役員からも任意で話を聞いていますが、経理担当専務などを務め取引を主導したとされる創業者の次男は、現在、海外に住んでいて事情を聞けていないということです。

 関係者によりますと、大東さんは事件前、「殺されるかもしれない」と周囲に話していたということで、警察は事件との関連を詳しく調べる方針です。

2022年11月04日(金)現在の情報です

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