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なぜ大阪市の施設が旧統一教会に?市は民間会社に売却...そこが実は『信者経営』 市は「入札に宗教団体を禁止する基準無い」

2022年08月18日(木)放送

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 大阪市阿倍野区にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の施設。元々は大阪市が20億円を投じて建設した市の施設でした。しかし、その建物を民間会社が落札して購入、この民間会社が実は信者の会社で、その後、施設は旧統一教会の手に渡っていました。

市の施設が旧統一教会の施設に…“信者の会社を通じて落札”か

 大阪市阿倍野区の阪南町。その一角に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の施設があります。れんが色を基調とした6階建ての建物。最上階はドーム形となっていて、中には創始者である文鮮明氏の大きな写真が飾られるなど豪華さが目立ちます。しかしこの建物、現在は旧統一教会の施設となっていますが、元々は大阪市の施設だったといいます。
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 この建物は1996年に大阪市の教職員のための福利厚生施設として20億円を投じて建設されたものでした。しかし財政悪化などを受けて売却することになり、入札の結果、2008年に民間の会社「A社」が総工費の3分の1程度の7億5000万円で土地・建物を取得しました。そしてA社は落札直後からこの施設を旧統一教会に貸し出し始めたのです。
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 当時から霊感商法などのトラブルが報じられていた旧統一教会の入居に地元住民は猛反発。当時の統一教会の住民説明会では不安を訴える声が上がっていました。

【2008年に行われた統一教会(当時)の住民説明会の様子】
(住民)「どうしても心の中に失礼ですが抵抗があるんです。正直な話。来て欲しくない。以上です」
(統一教会(当時))「皆さまがご心配されている内容は世間からの耳を塞いでいる立場ではございませんので。日々の活動を見ていただければ…」
(住民)「いや、見たくないんですよ!」
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 また住民たちの怒りは施設を貸し出すA社にも…

【2008年に行われた統一教会(当時)の住民説明会の様子】
 (住民)「さまざまな問題に関して何も知らないのですか?」
 (A社)「過去のことを言われても…」
 (住民)「もし何か起きてからでは遅いと言っているんですよ。良心を疑います、あなたの。契約する前になぜ(住民に)一言ないんですか?」
 (A社)「そう簡単じゃないんです!企業というものは!ここで決められることではないです」
 (住民)「あなたなんで偉そうにしているんですか。あなたお願いする立場でしょ」
 (A社)「できないことはできない!」
 (住民)「その態度はなんだ!住民たちにその態度でいいと思っているのか!」
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 猛反発した住民らが約5300人分の反対署名や陳情書を大阪市に提出しましたが、市は「契約に問題はない」などとしていました。しかしその後、この施設がA社から旧統一教会へと売却されていたことがわかったのです。
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 旧統一教会の問題に取り組む加納雄二弁護士は「施設を落札したA社は旧統一教会の信者の経営だった」といいます。

 (加納雄二弁護士)
 「(A社の)役員を見ると、ほぼ全員ですね、大半の方が旧統一教会の合同結婚式に参加されている方なんです。旧統一教会員が支配している会社そのものというのが正しいと思います」

 加納弁護士は「市の施設を入手する際に旧統一教会とわからないようA社に落札させたのではないか」と指摘します。

 (加納雄二弁護士)
 「まさに霊感商法をやっている有害な団体であるから行政が取引するのはいかがなものかと。そういう企業に市の施設を売るのは倫理的・道義的に問題があるのではないかといって当時も抗議しました」

 大阪市はMBSの取材に対して「大阪市の入札参加資格に宗教団体を禁止する基準は無く、そもそも市ではA社と旧統一教会の関係性はわからない」としています。

 また旧統一教会は「信者が経営するA社が市から購入し、それを教会が買った。ただそれだけだ」としています。

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