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【旧統一教会】50分間にわたる会見「答えをずらして逃げようとしている」元信者のジャーナリストが指摘...田中富広会長「信徒に命の危険及んでいる」「霊感商法が行われたことない」「名称変更に政治的圧力ない」と主張

2022年08月10日(水)放送

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 8月10日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の田中富広会長が日本外国特派員協会で会見を開きました。田中会長は用意したコメントを読み上げ、教団側の被害やメディア批判を展開。取りざたされている教会の名称変更については「適法に処理されたもので、なんら政治的介入や不正はない」「一部マスコミが世間の批判をかわすために正体隠しとして名称を変えたというのは事実無根の憶測であり、決めつけにすぎない」と否定しました。教会側が主張を展開する場ともなった今回の会見について、かつて自身も信者だったジャーナリストの多田文明氏が読み解きます。

会見で“教団側が被害を受けている”主張…「多額の献金に対しての言及はほぼない」

 ―――まず今回の旧統一教会の会見を見た第一印象は?
 「たぶん皆さん思っていると思うんですけど、この会見を聞いてすごく納得したという方はまずいないと思うんです。いわゆる一般社会の人たちの意識とかい離してるということがすごく今回の会見でわかりました」

 ―――会見で多田さんが注目した内容をピックアップしました。1つ目が『山上徹也容疑者の動機が母親の献金、これに関して教団側が被害を受けている』というふうに田中会長が話しました。これについてはどうでしょうか?
 「これはもう完全に想定されていることでして、自分は被害者なんだということを言って、しかし霊感商法等で自分たちが加害者の側に回っているということですね。なんで数千万円とか1億円の献金をさせてしまったのかっていうことに対しての言及はほぼないと。とにかく自分は被害者だと。これはある意味、内部の信者に向けて一体となるために言っているような部分もあるなと感じます」

 ―――多額の献金がなぜ行われているかというようなことが質問された場合、田中会長はどう答えるんでしょうか?
 「たぶん話はずらすと思いますね。あるいは信徒が勝手にやったとか、自分はコンプライアンスはちゃんとやっているけれども信徒たちがそれを守らずにやったとか。本当にいつも責任転嫁といいますかね」

会長は霊感商法を否定…「信徒が勝手にやっているという主張」

 ―――2つ目『霊感商法が行われたことはない。被害報告もない』と田中会長が言い切っていることについては?
 「あくまでこれは“現在はそうだ”という話をしていると思うんですが、これ前々から言われていることで、霊感商法自体は当法人は関与していないと。信徒らが勝手にやったことだっていうふうに言うんですけど、私内部にいましたので。内部では教え上やらないといけないんですよ。いわゆる霊を使って相手に恐怖心を抱かせてお金を出させるとかね。これはやらないといけないんですよ」

 ―――教団関連のものを売って、そのお金は教団に入っているわけですよね?
 「そうですね。献金になったりですね。上層部の方に。ですので要は昔からずっと信徒が勝手にやっていることだという主張を結局まだ繰り返しているのかと。でも実際、裁判ではもう一体であるってことはもう明確なので」

 ―――裁判に関しては会見で『そういった被害の件数は減っている』ということも言っていましたよね?
 「そうですね。現状は減っていると。じゃあ過去はどうだったんだというところをちゃんと突き詰めて、具体的にコンプライアンスをどういうふうに信徒に徹底しているのか。その辺を今回、全然言わなかったので、また言わないのかなという感じですね」

 ―――また田中会長は『名称変更は正体隠しではない。政治的な圧力はない』と話しましたが?
 「政治的な圧力は今後、様々な形でわかってくるのでちょっと言及は差し控えますけれども、名称変更は正体隠しではないと断言していらっしゃいますけど、実際過去にいわゆる正体を隠して伝道している、それは事実ですし。そして実際に世界平和統一家庭連合って言葉を出していることで統一教会に気づかない方もやっぱりたくさんいるわけですから、現実としては正体隠されたなって思われる人がいるっていうのは現実ですから、そこを見つめて発言されないと良くないんじゃないだろうかと。現実を見ていない感じですね」

 ―――立岩さんは今回の会見はどういうふうな印象を受けましたか?
 (ジャーナリスト 立岩陽一郎さん)
 「予想通り。外国特派員協会は私も取材で行きますけど、あれ時間が決まっているんですよ。本人が喋る時間ね。たぶんそれをオーバーして喋って、なるべく質疑応答がないように。で、当然英語の通訳が入るから、もうほとんど一方的に喋って終わるでしょうね。それはもう記者会見って好きなこと言いたいっていう場でしょう。だから全然何の責任もないしね。だからこれは国会でちゃんと宣言いわゆる宣誓した上で喋らせないと、これはもう一方的に彼が言いたいことを言う、それは当然ですよね」

茂木幹事長の通達は大きいが…「信者たちは地元に根差している」

 ―――政治とのつながりなんですけども『岸田政権から関係の見直しを言われているが?』という質問に『至極残念で誠に遺憾。私たちは反共産主義を持つ政治家に関しては友好的に手を合わせてきた』と述べました。
 「過去はそうでしたよね。ところが最近はもうあらゆる人たちの選挙事務所に行ってアプローチしていますから。もうこれどういうことなのかなっていうね。最近のことを本当に言わないですよね。あと私は中にいたころ、関連団体、国際勝共連合も含めて統一教会の信者の団体であると教え込まれてきましたので、それが全く違う別の団体だよっていうふうに言われても、じゃあ私が聞いていたことは何だったんだと。信者はみんなそう思ってるよっていうことはちょっと言いたいですね」

 ―――岸田政権に関しても言及がありましたけども、三澤さんはいかがですか?
 (三澤肇MBS解説委員)
 「やはり政治に強く関わってきたのは事実だというところで、反共産という立場。だから保守政治家との関係は強いのだなというのが今回よくわかったんですが、今回新しく総務大臣になった寺田さんも、国際勝共連合の式典の会費として2万円を支払っていたということを新たに明らかにしている。ということから言えるように、閣僚の中にもやはり完全に手を切ったということで、濃淡はあるんでしょうけれども、そういった接点があるということが新たに事実として上がってきた。あと名称変更問題が出ましたが、おそらくこの問題について、当時の下村文科大臣は国会内で何回か囲みに応じるような形で話しましたけども、秋の臨時国会で次の文科大臣の永岡さん、女性登用になりますが、この方がちゃんと答弁できるのかと。そこら辺をきっちりと説明できるのかというのは非常に大きなポイントになってきますので、そこでの政府側の答弁はきっちりと注目したいと思いますね」

 ―――会見で田中会長は名称変更に関して『宗教法人がいかなる名称を名乗るかは信教の自由により憲法上保障されている』と話して正当性を訴えたました。そして自民党ですけれども、茂木幹事長から『国民に疑念を持たれることのないよう政治家としての責任において当該団体との関係をそれぞれ点検し適正に見直してください』という通達が8月9日にありました。これに関して多田さんは、自民党と旧統一教会について『茂木幹事長の通達は大きい。しっかり断ち切っておかないと再び政治工作を始める恐れもある』と考えているということなんですね?
 「まずアプローチさせないっていう姿勢。詐欺や悪徳商法のジャーナリストをやっているので、身を守るためにはやっぱり1つ防波堤をちゃんとボンと作ると、この人は騙せないなと思うんですよ。それと同じで、こういうふうにもう駄目だよというような形で大きく言っていただくと、旧統一教会側も信者たちもちょっと近づきづらい」

 ―――ただ『現実は完璧な断絶が難しい。地方議員と旧統一教会のつながりは深刻、これを機に秘書やスタッフらの身体検査をすべきではないか』というのが多田さんの意見ですね?
 「そうですね。地方議員のつながりっていうのはあんまりまだ公になってないですけれども、地元に根ざしているんでね、信者たちは。かなり根深いと思います」

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