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「平等に教育を...」「所得制限はフェアじゃない」教育費に悩む"子育て世代"の声に政治はどう応える?【参院選・兵庫選挙区】

2022年07月06日(水)放送

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 子育て世代に重くのしかかる『教育費』。大学生まで子どもを育てるには全て公立でも1人1000万円以上かかるとも言われています。7月10日に投開票が行われる参議院選挙で、各政党の立候補者たちは“子育て世代の教育費の悩み”についてどう応えていくのでしょうか。

“未来の有権者たち”を左右する「教育費問題」

 7月5日、子どもたちが投票箱に一票を投じていました。職業体験などができる施設「キッザニア甲子園」で、参議院選挙に合わせて7月10日まで行われている模擬選挙で、子どもたちは実在の政党を選んで投票します。

 (中学生)
 「(Qどこに投票する?)いやーそれは言えないです。(Qどんな日本になってほしい?)今の日本って物価が高くなったりしているので、そういうのが安定してほしいなと思います。『うまい棒』とか僕らが食べるお菓子がどんどん高くなっているので、そういうのを元に戻してほしい」
 「何十年もデフレーションが続いているので、それを改善していきたいと思うし。いろんな外交関係も良くして日本を住みやすい国にしていきたいです。(Q将来は政治家に?)そうですね…興味は無くはないです」
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 今の自分の想いを込めて一票を投じる子どもたち。参院選では彼ら未来の有権者たちを左右する問題が争点になっています。それが『教育費』についてです。今の国の法律では子どもが自立するまでに家庭が負担する教育費は少なくありません。

▼0~2歳:幼稚園や保育所に入所させた場合、生活保護受給の世帯などを除き、原則『実費』
▼3~5歳:幼稚園や保育所などは全ての子どもが『無償』
▼小・中学校:義務教育は授業料などが『無償』
▼高校:公立・私立に限らず国から『支援金』が支給されますが、『世帯年収910万円未満』という所得制限あり
▼大学:ほとんどの人が『実費』

 このほかにも塾代などの教育費が家庭には重くのしかかっています。

『共働きでなんとか…』『所得制限はフェアじゃない』不満の声も様々

 真剣な表情でパソコンに向かう子どもたち。子ども向けのプログラミング教室「ロボ団 西宮校」では、子どもたちは自らプログラムを考えてロボットを動かしています。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されたことや、「筋道を立てて物事を考えられるようになる」と人気上昇中の習い事で、土日のクラスは満員だといいます。

 (小学生)
 「めちゃくちゃ楽しいです」
 「プログラミングを作って達成した時も楽しいし、ロボットを作る時も楽しい」
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 (保護者)
 「自分の考えをわかりやすく話すなどの能力がロボ団で培われていると思います」
 「学校でもタブレットを触るという授業も増えてきたので、そういった意味では先に予習という形でプログラミングできるんじゃないかなと」

 月謝は約1万5000円。子どもの将来のことを考えると教育費はかさんでいきます。子どもを大学生まで育てるには、全て公立でも1人1000万円以上かかるとも言われています。
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 子育て世代に話を聞いてみました。

 (2児の親)
 「共働きでやっているから何とかなっているんですけど、共働きは結構しんどいところもあって、それが続かなくなったらちょっと大変かなと」
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 教育費を巡ってこんな不満を持つ人もいます。

 (子育て世代の親)
 「所得が多いからといって毎日の生活が安定しているとはちょっと感じないので。税金が多かったりとか出ていく分が大きいと思うので、(所得制限は)フェアじゃなくなるんじゃないかなと」

“親の経済力”が子どもの教育を左右することも…

 親の経済力によって子どもが受けられる教育に差が出るという現実もあります。神戸で毎週開かれる「つながり食堂」は、ひとり親世帯を対象に食料や物資の支援を行っていて、支援を受ける人たちは切実な思いを抱えています。
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 (中学3年生の子を持つ親)
 「『塾に行きたい』と言う本人に『ごめんねごめんね』と言っているのはつらかったですね。私は子どもを産んで0歳で離婚してしまって。(Q教育の格差を感じる?)はい。底辺にいるなって感じています。完全に無償化であれば…。その後の大学進学もまだほとんど考えられない状態」
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 (中学3年生・小学6年生・小学4年生の子を持つ親)
 「教育のサポートを親が出来なかったら誰がするかっていう。そこまでの道筋を立ててあげられないというのがひとり親のしんどいところかなと。平等に教育を受けられるようになってほしいと思います」

兵庫選挙区は改選3議席に対して過去最多の13人が立候補

 こうした声に参院選の候補者たちはどう応えていくのか。兵庫選挙区は改選3議席に対して過去最多の13人が立候補しています。
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 教育行政を所管する文部科学省で現職大臣を務める自民党の末松信介さん(66)は、「児童手当を拡充し教育格差をなくしたい」と訴えています。

 (自民党・現職 末松信介さん)
 「理想は幼稚園から大学まで無償化が基本です。やはり教育が全てですから。ただ全部すぐにというわけではないんですよね。今日の時代に対応できるところまではきちっとやっていきたい」
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 日本維新の会の現職・片山大介さん(55)は、「徹底した行財政改革を財源に完全無償化」を訴えます。

 (日本維新の会・現職 片山大介さん)
 「幼児教育・保育の無償化だけじゃなくて高等教育まで。だから高校・大学までの無償化を実現していく。完全給食ができていないとかね、そういったところはやっぱり大変なわけですよね。だからそういうのも含めて雑費も含めてやらないと。そういうのを全部を含めて必要な費用だと考えないといけないですよね」
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 公明党の現職・伊藤孝江さん(54)は、「幼児から大学までのトータルプランを策定し支援の充実」を目指します。

 (公明党・現職 伊藤孝江さん)
 「高校についてはほとんどのその年代の人たちを含めて通うところでもありますし、年収要件は拡充していきたいということで考えています。(人によって)負担感は違うところもあるでしょうし、実質的に納得していただくことができるような仕組みづくりというのはやっぱり作っていかないといけないと思っています」
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 立憲民主党の新人・相崎佐和子さん(49)は、「給食費や高校授業料を所得制限無しで無償化したい」と訴えます。

 (立憲民主党・新人 相崎佐和子さん)
 「行政・政治としては、まず公教育をしっかりと充実させる、底上げするというのが基本だと思っています。所得制限をはらって、そして再分配をもう一回きちんと考えて整備しなおす、これが必要だと考えています」
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 共産党の新人・小村潤さん(46)は、「専門学校や大学など高等教育の学費の引き下げを進めたい」と訴えます。

 (共産党・新人 小村潤さん)
 「高すぎる学費を半額に引き下げたいと思っています。入学金制度の廃止だとか奨学金制度、ほとんどが貸与型で借金になるんですけれども、これを給付制の奨学金制度を広げていくということもやっていきたいと思っています」
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 「児童手当の所得制限を撤廃する」と訴えているNHK党からは新人3人が立候補しています。NHK党の新人・速水肇さん(37)は。

 (NHK党・新人 速水肇さん)
 「健康増進を僕はすすめていきたいと思っています。みんながスポーツをして健康になっていく、そんな社会を目指しています」
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 同じくNHK党の新人・山崎藍子さん(37)は。

 (NHK党・新人 山崎藍子さん)
 「子育て世代の方の苦悩、『もっとこうしてほしい』という声を政治に届けたい。リアルタイムだからこそ力強く言えると私は信じております」
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 同じくNHK党の新人・中曽千鶴子さん(60)は。

 (NHK党・新人 中曽千鶴子さん)
 「子どもたちの苦しみを救う。兵庫県の教育をしっかりと建て直さなければならないと思っております」
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 このほか兵庫選挙区では以下の候補者が立候補しています。

 【届け出順】
 諸派(参政党)・新人     西村しのぶさん(59)
 無所属・新人         木原功仁哉さん(38)
 諸派(新党くにもり)・新人  稲垣秀哉さん(53)
 諸派(幸福実現党)・新人   里村英一さん(61)
 諸派(維新政党・新風)・新人 黒田秀高さん(75)

 参議院選挙の投票日は7月10日です。

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