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キエフ在住の日本人「1000円の肉が1万2000円に...食事はクラッカーやチーズばかり」戦禍のウクライナを語る

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激しさを増すロシアによるウクライナへの侵攻。市民の犠牲も伝えられる中、今、戦禍のウクライナの様子はどうなっているのか。首都キエフに残る日本人の方に現地での生活などについて話を聞きました。

街に残りYouTubeで情報を発信

ウクライナの首都キエフの中心部で暮らす自営業の高垣典哉さん(56)。ウクライナ人の妻と息子2人(7歳・2歳)がいて、今も街に残り、YouTubeで情報を発信し続けています。

(高垣さんのYouTubeチャンネルより 現地時間3月5日)
「きょうロシアが9時から攻撃をしないので、『もし逃げたい人がいたら逃げろ』と警告してきました。ずっと危険な状態ですね」
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(高垣さんリポート)
「(ロシア軍の)工作員が乗っていた車です。銃弾の痕ですよ」
「自宅近くの銀行なんですけど、銃弾が撃ち込まれています」
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一方、各家庭ではロシア軍の攻撃から身を守るため、扉に柵をして侵入を防いでいます。
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物資不足は深刻です。スーパーには食料品が並ばず、高垣さんは毎日、購入できたクラッカーやチーズを食べているといいます。

(高垣さんリポート)
「肉を買おうと思ったんですよ。通常1000円くらいなんですよ、ステーキのパックになったもの。1万2000円くらいになっていました。毎日(クラッカーなどの)食事やから、ものすごくストレスたまりますね」

「逃げていく人がかなり増えた」「電気・インターネット・水は通じる」

高垣さんに3月7日、リモートで話を聞きました。

―――今、街の様子はどういう状況ですか?
「きのうから結構静かなんですよ。攻撃もあんまり、単発ではあるんですけど、爆撃音がかなり少なくなっているんです、ここ2日間は。そして街を歩いてる人はほとんどいないですね」

―――それは多くの人がキエフから出ていった、もしくはどこかに隠れているという状況なのでしょうか?
「そうです。逃げていく人がかなり増えて、おとといは『9時以降は逃げなさい』という警告がロシアから来たんですよ。それでまたキエフの人もあわてて逃げ出しましたね、残っていた人もね。あとは隠れているんですよ、みんな。地下とかシェルターに」

―――食べ物や飲み物を買うようなスーパーなどは開いているのでしょうか?どのように皆さん食べるものを調達しているのですか?
「正直、きのう1日は全く外に出ていないので、きのうの状況は把握していないんですけど、それまでの日では、時間が限定されて、例えば11時~16時までとかそういう形では開くんですが、すごく行列なんですよ。先に入った人は2時間ぐらい前から待ってました。ほしいものを手に入れるためにね」

―――生活への危機感や町に規制線が張られている場所はありますか?
「バリケードを張り巡らしてきてますからね。そこに全部兵隊が銃を構えて検問をやっているんですよ。だから車はすごく渋滞しています」

―――外出するタイミングはどのように見極めていますか?
「空襲警報が鳴っていない、外出禁止令が出ていない時間、例えば7時~8時とかになっているんですが、その間で空襲警報が鳴っていないときに出るんです。また空襲警報が鳴ったらすっと隠れるとか」

―――警報が鳴ると必ず何か起きてしまうという状況なのでしょうか?
「空襲警報が鳴ってからか、爆撃が起きてから空襲警報が鳴るかどっちかのタイミングなんですけど、ドカーンとどこか場所は見えないですが音は鳴っていますね」
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―――キエフに残っているのは男性ばかりなのでしょうか?女性・子ども・お年寄りはもう避難されていますか?
「いや、それが問題なんですよ。動けない人もかなりいるんです。それと、長年住んだから離れるのが嫌やと。その高齢者の周りに、若い人も心配だからと言って逃げられないんです」

―――動けないというのは、例えば体に不自由があるとか、精神面からその場所を離れたくないといったご高齢の方が多いということですか?
「そうです。そういう人が残っています。男性女性問わず」

―――高垣さんのご家族はどんな状況ですか?
「私の妻も動かないんですよ。父親が寝たきりですので、動かないんです。僕は逃げてほしいんですけど、逃げないんですよ」

―――ポーランドとの国境までたどり着いた方々も大勢いるようですが、決してみんながみんなそうではないということですね?
「残っている人は、やっぱりおじいさん・おばあさんや父親が高齢でという人とか、それで逃げない決断をしているんです。僕のところは子どもが2人いるので、その子どものことが本当に心配なんですよ」

―――キエフあるいはいろんな都市から民間人の退避を望みたいところですが、そういう気配は全く街の中にはないのでしょうか?
「全くないです。街の中に残っている人を助けようかというような動きもないです。僕はそれでちょっとずつ、個人なんですけど、集めていただいた募金とかで助けていっているんですけど、1人ずつ。限られるんですよ、そんなことって、1人でやっていますから。僕から言わしたら、難民になった人は成功者です」
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―――キエフは氷点下になる日も多いと思いますが、生活において寒さはしのげていますか?
「暖房とかもまだ動いていますし、電気・インターネット・水は通じています。だから僕今シャワーを浴びてきたんですけどね。これらは普通に動いています。近くのヒーターポンプが攻撃されたというので、寒くなるかもしれんなと思っていたんですけど、普通に動いていますね」

―――日本に対して高垣さんが今求めることは何ですか?
「岸田文雄首相がウクライナ人を受け入れるということを言われたんですけど、4・5日前に、早く決めてもらいたいんですよ。一刻一刻を争う状態で猶予がないんですよ。早く決めて助けてやってもらいたいんです、ウクライナ人を」

―――ウクライナとロシアの交渉で「人道回廊」の話も出ています。市民を安全に避難させようというこの道ですが、高垣さんはこの動きをどんなふうに見ていますか?
「相手は嘘をついたり約束を破ったりする人たちですので、みんなそれで逃げようとするんですけど、それによって逆に被害を受けたりするようなことがあるので、早くアメリカ軍やNATOが助けてあげてほしいですよね、ウクライナの人を」

※ウクライナの映像は高垣さんが運営するYouTubeチャンネル「ウクライナ情報局 Ukraine Infomation」より

2022年03月08日(火)現在の情報です

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