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新型コロナから回復した人の血液で「治療薬」開発するプロジェクト 感染を経験したアナウンサーも研究に参加できる?

2021年10月06日(水)放送

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全国の新型コロナウイルスの累計の感染者数は170万7257人(10月5日時点)になりました。そんな中、“新型コロナウイルスから回復した人の血液を使い国産の治療薬を作る”プロジェクト「COVID‐19回復者の抗体測定・血漿(けっしょう)採取の参加者募集」。このプロジェクトはどういったものなのでしょうか。プロジェクトにかかわっている大阪市立大学医学研究科の城戸康年准教授に話を聞きました。

「抗体」含む『血漿』を抜き出し治療薬を

(大阪市立大学医学研究科 城戸康年准教授)
「血液には赤血球や白血球など細胞の成分以外に液体成分があり、それを『血漿』と呼びます。また、『血漿』には、人間の体が病気にかかった際にウイルスと戦い、無力化する「抗体」がたくさん含まれています。「抗体」を含む『血漿』を抜き出して治療薬にならないかという研究を行っています」

また、城戸准教授は抗体と抗体カクテル療法との関係について次のように話しています。

(大阪市立大学医学研究科 城戸康年准教授)
「抗体カクテル療法は様々ある抗体のうちいいものを2種類集めてだして、人工的に作ったものを薬にしています」

――今回のプロジェクトは“天然の抗体”から国産の薬を作るというプロジェクトということですね。その薬はどんな人にも効くのでしょうか?

(城戸康年准教授)
「これからの研究次第ですが、原理・原則的に考えれば、抗体カクテル療法が感染した人に早期の段階で効くということで、世界的にも同じようなプロジェクトをたくさんやられています。感染して直後の人たちに同様の効果があるという報告があります」
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 このプロジェクトへの正式な参加には『いい抗体が一定数以上』あることが条件であります。今回、新型コロナウイルスに感染した経験のあるMBSの河田直也アナウンサーがプロジェクトに参加できるかの検査を行い、その模様を取材しました。

感染経験の河田アナウンサーはプロジェクトに参加できるか検査へ

今年9月3日に河田アナウンサーが訪れたのは、大阪市立大学医学部(大阪・阿倍野区)にある城戸准教授の研究室です。厚生労働省が行う「回復者血漿採取プロジェクト」の関西・東海地方での患者募集と検査を城戸准教授が担当しています。

(城戸准教授)「いい抗体が一定数以上ある方から(血液を)もらうことになっているので」
 (河田アナ)「もし可能であればぜひプロジェクトに参加させてください」

抗体が十分にあってプロジェクトに参加できるのか、検査が始まりました。
河田アナ 前_000-000115301.jpg
まずは、感染の経過の聞き取りから行われます。河田アナウンサーは今年6月に感染し、1週間高熱を出しながら自宅で療養を続けていました。その後、中等症1の肺炎と診断されて9日間入院したことなどを説明しました。
河田アナ 前_000-000136468.jpg
次に行われたのは採血です。採血では容器9本分の血を採ることになります。肝炎などほかの感染症にかかっていないかなどを徹底的に調べます。
河田アナ 前_000-000153301.jpg
(城戸康年准教授)
「(血液は)場合によってはお薬にして第三者に投与される可能性があるものなので、厳重に感染症の検査をしています」
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さらに心電図の検査も行い、最終結果は後日判明します。血液の中に抗体がしっかりとできていて、ほかに健康上の問題などがなければ正式にプロジェクトに参加できることになります。
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今回の取材では、ワクチンを2回接種した取材ディレクター(44)も容器1本分だけ採血をしました。河田アナウンサーのように感染した人の抗体とワクチンを接種しただけでできた抗体の数値を比較するためです。ディレクターはモデルナ社のワクチンを2回打って、9月3日でちょうど2週間がたち、抗体の量が一番多いとされる時期です。
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採取した血液は遠心分離器にかけて赤血球などの成分と水分に分けます。抗体は黄色く見える血漿の部分に含まれています。抗体を調べる検査は正確な値を出すために2種類で実施されます。1つは大きな機械で30分かけて行う検査で、もう1つは城戸准教授自身が開発に携わった簡易検査です。
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簡易検査では、検査キットのチップに血漿を垂らして、スマートフォンくらいの大きさの機械にキットを入れて調べます。

結果に驚き!?ディレクターと数値に大きな差

そして、検査結果が出ました。まずはディレクターの結果です。ワクチンを2回接種後の65歳未満の元気な人の抗体は平均で約1万という数値だそうですが…。

(城戸康年准教授)
「ワクチンによってできる抗体で、数値が2万4598と。(Qこの数字はどう見たらいい?)非常に高いことを意味しています」
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続いて、約1か月にわたり新型コロナウイルスと闘った河田アナウンサーの結果は…。

(城戸康年准教授)
「373という値が出てて、これは感染して回復した人の全体から見ればかなり低い方です」

ワクチンを打ったディレクターが2万4598で、闘病した河田アナウンサーが373。桁違いの数字でした。この結果について、城戸准教授は次のように話しています。

(城戸康年准教授)
「数字自体を直接比べることは不適切なんですが、373というのは上から半分以下で、下には25人くらいしかいないような値です」
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河田アナウンサーはこの時点では「回復者血漿採取プロジェクト」には参加できませんでした。

(河田直也アナウンサー)
「僕は感染経験者だから大丈夫じゃないかと思い込みがすごくあったので、『そうじゃないよ』とはっきりとわかってよかったです」

(城戸康年准教授)
「ワクチンを打つと今度は非常に良質な抗体ができると思われます」

ワクチンを接種し再び研究室へ…結果はどうなる?

河田アナウンサーは早速かかりつけ医に相談し、ファイザー社のワクチンを接種しました。
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そして河田アナウンサーは、1回目のワクチンで十分な抗体ができていればもう一度プロジェクトに挑戦できるかもしれないと聞いて、9月27日に再び城戸准教授の研究室へ向かいました。

(城戸准教授)「今回は爆上がりしていると思います」
 (河田アナ)「僕もそのつもりできょうはお邪魔していますので、よろしくお願いします」
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そして数時間後に検査結果が出ました。

(城戸准教授)「(数値は)1万4052。前回の時は373」
 (河田アナ)「すごく増えてる。正直、テストの合否判定を聞く気分でした」
(城戸准教授)「非常によくワクチンの効果が出ています」
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今回の結果で、河田アナウンサーはプロジェクトに参加できるのでしょうか。

(城戸准教授)「非常にクオリティーのいい抗体ができていますので、血をいただだくというプロジェクトに参加していただけると思います」
 (河田アナ)「よかったです。ぜひやらせてください」

感染した人もワクチンを受けた方がいい?

城戸准教授に改めて抗体やワクチンについて聞きました。

―――新型コロナウイルスから回復したからといって、必ずしも十分な抗体があるわけではない?
「一般的には、症状が重ければ重いほど体の“戦いの履歴”が多いので、抗体の値が高いというのがわかっているのですが、それは全体的な傾向なので、それぞれ調べてみないとわからないです」

―――人によって抗体がなくなるスピードに差があるということ?
「基本的にはスピードというよりも、最初に高い値で抗体ができていれば時間がたっても残っていますし、低ければすぐになくなってしまいます」

―――感染した人もワクチンを受けた方がいい?
「河田アナウンサーの抗体量が373から1万4052に上がったように、ワクチンが非常によく効くことを意味していて、クオリティーもよくなるので、ぜひ機会があれば打っていただく方がかなり安心できるかなと思います」

―――抗体カクテル療法を受けた人はワクチン接種をある程度待たなければならない?
「ワクチンというのは基本的に元気な人に“背中をたたいて抗体を作らせる”という方法です。抗体カクテル療法は人工的に外で作った抗体を投与するということですから、受けた人は3か月ぐらい体の中に抗体がたくさんあるんです。いろんなアレルギー反応が出たら困るということで、外から入れた抗体がなくなってから自ら作らせるために“背中を押そう”と」

―――河田アナウンサーとディレクターの抗体量の差については?
「ディレクターは2回接種済みで、河田アナウンサー1回接種の段階。数値だけで一概に比べられなくて、人工的にワクチンで抗体量を上げた人と、1回感染してからワクチンで抗体量を上げた人では、後者の人の方が、特殊な検査の方法で圧倒的に質のいい抗体ができているという結果が出ています」
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【COVID‐19回復者の抗体測定・血漿採取の参加者募集】
https://covipla.ncgm.go.jp/

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