2024年12月10日(火)公開
『マナーの悪さは天下一品』駅の地下道で"ルール無視の自転車"が次から次に...押して通らず歩行者のそばを疾走「あかんのはわかってるよ!」「押すと歩くでは時間差が」 兵庫・尼崎市
特盛!憤マン
兵庫県のJR尼崎駅の真下を通る地下道をめぐって、こんなメールがMBSに届きました。 『地下道で流れているアナウンスでは自転車を降りるよう指示がありますが、ほとんどの人が降りていません。とても危険で、歩行者に当たりそうなシーンを何度も見ました』 実態を調べるため、取材班は現場へ。ルールも対策も無視する人々に記者が直撃しました。
“子どもの声のアナウンス”も無視する自転車 歩行者「ルールは大人として守るべき」
兵庫県のJR尼崎駅。新快速が停車し大阪駅まで約5分、三ノ宮駅まで約16分と利便性は関西屈指です。問題の「中川地下道」はこの駅の真下を通っています。
取材班がさっそく地下道へと入ってみると、歩く人の横ギリギリを走り抜けたり、クネクネ運転で追い抜かしたり…。スピードを出した自転車が次から次へと疾走していきます。
この中川地下道は全長約150m、JR尼崎駅の南側と北側を歩いて3分ほどで移動できる便利な道です。大勢の人が行き交うため、原則、自転車は降りて通らなければなりません。
入り口には地下「歩」道と書かれ、自転車を降りてもらうための障害物がこれでもか!というほど設置されていますが、“そんなモノはお構いなし”と自転車に乗ったまま器用に避けて入っていきます。
地下道では、子どもの声でこんなアナウンスが流れています。
『おじいちゃん、おばあちゃん、事故にあわないように、自転車は押して歩いてね』
ところが…
(記者リポート)「今、園児を自転車がすごいスピードで追い抜いていきました」
子どもたちからのお願いも聞き流して走り去っていきます。
(歩行者)「アナウンスでも子どもの声で言ってたりするじゃないですか。ルールは大人として守るべきかなと」
(歩行者)「マナーの悪さは天下一品よ。恥ずかしくないんかと思うくらい恥ずかしい」
「後ろから自転車に『あおられてる』と思ったこともある」
自転車を押して歩く女性に話を聞きました。ルールを守っているのに危険な目にあったそうで…
(自転車を押して歩く女性)「後ろから自転車が来るじゃないですか。そしたらグググッていう感じで、『あおられてる』って思ったこともあります。急いでいるのか降りたくないのかわからないけど、逆に押して歩いていることが危ないこともあるんですよ」
尼崎市・警察・地元住民らで作る団体が自転車を降りて通行するよう定期的に呼びかけていて、声をかけると多くの人は自転車から降りるといいますが、呼びかけの時以外はほぼ守られていないと嘆きます。
(呼びかけを行う地元住民らの代表 藤原靖彦さん)「完全に無くしたいとは思うけど、かといって24時間ずっとここに張り付くわけにもいかんので、方法にも限界があるかなと思っています」
過去にはケガ人が出る自転車事故も起きています。
自転車に乗る人の主張「ついつい」「乗ってまうやん、しんどいとき」
ルールを無視する危険な自転車。乗っている人たちに取材班が直撃すると…
「ついつい、やっぱりね…歩くと押すでは時間差が出てしまって。ちょうど走ったら、向こうの信号もいいタイミングで渡れるんですよ。それでついついやってしまってね。悪いとはわかってます、すみません」
「無意識やね、ちょっと急いでいるときなんかは。ごめんなさい、すみません」
「乗ってまうやん、しんどいとき。あかんけどな、あかんのわかってるけど、乗ったらあかんのはわかってるよ!(Q乗っちゃうんですか?)もうそんなん言うなよ~!」
ダメだとは分かっているものの「時間の節約」や「歩くのが面倒」なため乗っているといいます。
8年前の取材時にも...地下道を走り抜ける自転車
実はこの問題、今に始まったことではありません。8年前の2016年、当時から尼崎市や警察などが自転車は押して歩くよう呼びかけていましたが、地下道の中は自転車がひっきりなしに走り抜けていました。
【2016年の様子】
(呼びかける人)「自転車は降りてくださーい!」
(自転車に乗る人)「うるさい!」
(呼びかける人)「降りましょう」
取材班も実際に自転車を押して歩いてみると…
(記者リポート※2016年)「後ろから自転車がすごいスピードで走ってくる感じがします」
自転車に乗ったまま通れる“新しい地下道”をつくったが…
こうした状況に市も手をこまねいていた訳ではありません。対策として市は2016年8月、中川地下道から西に350mほどの場所に約80億円をかけて新たな地下道をつくりました。この場所の「開かずの踏切」対策が主な目的ですが、中川地下道の自転車交通量を減らす狙いもあります。こちらの地下道は歩行者用と自転車用に道が分かれていて、自転車に乗ったまま通ることができます。
この新しい地下道を利用する人に話を聞いてみると…
「あっち(中川地下道)は上るところもすごく狭いので、私はこっちの方が利用しやすいです」
「広いし、使いやすいと思います」
しかし、平日朝の同じ時間帯で中川地下道と交通量を比べてみると、その差は歴然。新しい地下道を通る人は多くありません。中川地下道で自転車に乗る人たちはなぜ、新しい地下道を使わないのでしょうか。
「(新しい地下道は)全く知らないです。ここが基本多いんで。(Qなぜ中川地下道を使う?)仕事の関係で、ここを毎日のように使ってる」
「向こうは通らへんから。家がこっちやから、ここをまっすぐ。向こうまでは行かない」
巨額をかけた対策でも解決できず、市もお手上げ状態です。
(尼崎市・都市整備局 新田昭課長)「正直、いろいろ試行錯誤した末に、今に至っているというところもあって。抜本的な方法っていうのがあれば、我々も非常にいいんですけども」
事故にもつながりかねない危険な自転車通行。急ぐ気持ちは分かりますが、一度立ち止まって周りの迷惑を考える必要があるのではないでしょうか。
2024年12月10日(火)現在の情報です