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自分の畑に行く道が「有料」に!?市が突然「買い取りor通行料」を求める...背景には"土地の使い道の変更" 畑の関係者『事前の相談なく、あまりにも一方的』

2023年10月30日(月)放送

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 これまで無料で通ることが認められてきた道が、突然、市から通行料を求められるように…。この道の先にある畑の所有者らが困惑しています。畑は先祖代々からの土地で、そこにつながる道については、約50年間無料で通ってきたということです。無料→有料への“転換”の理由を市に聞きました。

先祖代々受け継がれてきた畑は「市の土地に囲まれた袋地」

 大阪府和泉市にある畑。ここを所有する男性(84)は70年以上、野菜や米作りをしています。

 (畑を所有する男性)「(Q畑仕事は週にどれくらい?)そうやな、おおかた毎日ほど、天気の良い日はな」

 家族や親族のため、84歳となったいまも畑作業をしています。ここは先祖代々受け継がれてきた土地で、男性にとって特別な場所です。

 (畑を所有する男性)「もう子どもの時から、学校から帰ってきて手伝わされてた。先祖からの土地やから、とにかく大事にしてきた」
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 (息子のAさん)「こちらが我々の所有地、細長い長方形で畑が3枚あります」
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 息子のAさんは、高齢の父を気遣い畑の管理を手伝っています。所有する畑は約1000平方メートルあるのですが、この場所を地図で見てみると、市や他の人が所有する土地に囲まれていて公道に面していません。こうした土地は「袋地(ふくろち)」と呼ばれていて、畑に行くには約50mの市の土地を通る必要があるのです。
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 民法では、袋地の所有者が、隣接する他人の土地を通る権利が認められています。同時に、隣接地の所有者は通行料を求めることもできますが、和泉市は約50年間無料で通行することを認めてきました。

 ところが今年5月、事態は急変します。

「市の土地を買い取る」か「通行料を支払う」かの2択を迫られる

 (息子のAさん)「(市の土地を)買うか通行料を払うか、こういう2択を迫られている。事前の何の相談もなく2択を言い渡されたので、ちょっとこちらとしてもあまりにも一方的すぎる話やなと」
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 畑につながる幅2mの土地を最大900万円で買い取るか、年間最大43万円の通行料を支払うよう突然求められたというのです。

 なぜこれまで無料で通行できていた道が有料化の方針となったのでしょうか。それは土地の使い道が変わったことにあるようで…
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 (息子のAさん)「こちらから向こう側が今度新しく和泉警察署が移転してくる用地になっています」

 畑周辺の土地は元々、誰でも使える防災広場として活用する計画でした。しかし、今年4月に、所有する土地の一部が和泉警察署の移転先となり、残りの土地も売却されるなど計画が変更。それに伴い、市は畑につながる一部の土地を残して通行料を求めることにしたといいます。
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 さらに、Aさんは、市から買い取りなどを提示されている2m幅の道では農業用のトラクターは通れず、代々続けてきた畑を諦めざるをえないと訴えます。

 (息子のAさん)「大昔みたいに鍬1本で耕すとなると、父は高齢なのでそういうこともやってられない。どうしても車で進入できる幅は絶対に確保してもらわないと、我々としてはもうここで耕作を続けることはできなくなる」

 (畑を所有する男性)「今まで何十年も作ってきたところをな…(通行料を取る)そういうことをするのはいかんわな」

市が運び込んだ土から汚染物質…畑の土壌調査を求めるも『必要なし』

 市の進め方に納得できないAさんと父親。今年9月、父親は「市は通行を妨害してはならない」などとして、簡易裁判所に調停を申し立てました。ただ、申し立てをしたのはこの通行権をめぐる問題だけではありません。
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 それは「土壌汚染」です。Aさんによりますと、畑のすぐ隣にある警察署の移転先に市が運び込んだ土から汚染物質が確認されたというのです。市はその後、問題の土を撤去しましたが、自分たちの畑にも異常があるかもしれないと、調査するよう申し立てているのです。しかし市は…
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 (息子のAさん)「この図のピンク色になってるところ、これが基準不適合の区画であると。我々の畑よりも手前側が基準値をクリアしているので、この畑は土壌調査をする必要はありません、と。やっぱり食べるものを耕作してるので気にはなるところではあります」

市側『計画変更に伴い“財産とした土地”に変わった』

 「通行料」に「土壌汚染」。これらの申し立てについて市はどのように考えているのか。まず、畑までの通行料について問うと次のように答えました。

 (和泉市 前田正和総務部長)「和泉市が取得した時の目的は防災広場の予定用地という位置づけで管理していました。特段支障がなかったので『通行しても大丈夫ですよ』ということで認めてきた。(計画変更に伴い)単なる財産とした土地に変わっています。そうなってきますと、市として有効活用していくうえで売却であったり貸し付けを考えていかないといけない。(Qトラブルに発展していることについては?)市としては必要な説明をしてきたという認識です。ただ十分理解していただいていたかというと、今の(Aさんらの)ご主張をみると理解には至っていなかったのかなというところです」

 市は、土地の使い道が変わったため「市民共有の財産なので無償で使うことはでない」と主張し、金額については「試算して出した金額」と話しました。
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 また、「土壌汚染」をめぐる調査については、残土が積みあがっていたことを認めた上で、畑の調査は必要ないと話します。

 (和泉市 前田正和総務部長)「土壌調査した時に井戸水も調査しているんですね。井戸水にフッ素などが検出されていれば何かしらの対応をしていたと思います。周辺含めて調査するのは一般的ではないと思います。法的責任はないですし、道義的にもない」

専門家『行政側が段階的な負荷や金銭面の配慮などを検討すれば…』

 今回の問題について、土地問題に詳しい専門家は「問題の解決には行政の配慮が必要」と指摘します。

 (辻岡信也弁護士)「通行地役権の場合は、どちらが悪いという話ではないんですよね。通行料をかけずに済むのが一番。(通行料を)かけるとなった場合、影響ができるだけ小さく済むように段階的な負荷をかけるであるとか、金額面で配慮するなどを行政が検討すると市民の理解が深まるのかなと」
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 現在も和泉市との話し合いは平行線となっていて、今年11月、民事調停が始まります。

 (息子のAさん)「通行権がありません、(畑の)土壌汚染もしない、という内容なので、それに対して再度引き続き要求していく」

 誰かの土地を通らないといけない袋地。お互いが納得できる解決策はあるのでしょうか。

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