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空から「ワンワンワン」でシカが逃げる!害獣から農作物を救う『空飛ぶ猟犬』花火も装備 地元の猟友会「猟師の高齢化が進んでいるので効率的に」

特盛!憤マン

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 イノシシやシカなどの「害獣被害」に悩む京都府福知山市。無残に食い荒らされたスイカや稲を見て農家は憤りを隠せません。そんな中で空から畑や田んぼを守る救世主が現れました。その驚きの実力とは?

無残に食い荒らされたスイカ…現場には“犯人の痕跡”が!

 今回の舞台は兵庫県との県境にある京都府福知山市。市内の8割ほどが森林というこの街で、長年農家を悩ませる問題があります。

 (拝野正美さん)
 「スイカの食べ残し。14個ほど実っていたんですわ。きれいに食べられた。赤いところがほとんどなくなるまで。皮まで食べているんでね」
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 拝野正美さん(83)も今年7月に被害に遭ったひとりです。手塩にかけて育てたにもかかわらず皮の一部だけが無残に残されたスイカ。ビニールハウスの裏に回ると犯人の痕跡がありました。ビニールハウスに大きな穴が開いています。

 (拝野正美さん)
 「イノシシ。この穴からハウスの中にイノシシが入っていった」
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 イノシシによる大きな穴は別の場所にも。近くにはイノシシの足跡や地面を掘ったと思われる痕跡が残されていました。

 (拝野正美さん)
 「家内が見て『まぁお父さんやられた!』って言って。何やられたん?って聞いたら『スイカがみんなやられたわ』って」
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 ビニールハウスの周りは鉄製の柵で囲み、イノシシが入れないよう対策はしていたのですが、柵はぐにゃりと曲げられています。鉄製の柵がどれほど頑丈かというと…。

 (記者リポート)
 「曲げようとしてもですね…私が力を入れても全く曲がりません」

 驚異のパワーを持つイノシシ。農家の思いを踏みにじる不届き者は他にもいます。

シカに稲を食べられた農家『仕方ないんかなと思っています』

 約1000平米の水田に植えられた稲。そのほとんどが柵を乗り越えてきたであろうシカの餌食になりました。もし稲が全滅した場合、被害額は20万円近くに上るといいます。

 (藤田和美さん)
 「先の柔らかいところだけをシカが食べてしまっているので。新しい葉っぱが出て穂が出る可能性はありますけれども、ほとんど収穫できないと思います」
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 (藤田和美さん)
 「悪い奴やなとは思いますけれども致し方ないですね。(Q怒りより諦めのほうが強い?)それじゃアカンねんけれども、仕方ないんかなと思っています」

害獣駆除のため「猟犬導入」もうまくいかず…

 農家が諦めてしまうほど長年悩まされ続けているイノシシやシカなどの害獣による被害。2022年度、福知山市内での農作物の被害額は1600万円にも上りました。
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 市は害獣の侵入を防止する柵の整備に年間600万円を予算計上。ほかにも、大きな害獣を効率よく捕獲するためセンサーが付いた檻を試験導入したり、地元猟友会に依頼して猟犬を使って人里からの追い払いや駆除を行ったりしてきました。
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 しかし、うまくいかないことも多く…。

 (福知山猟友会 下元照男会長)
 「(猟犬が)子どもやおばあちゃんをかんだり、飼っている猫をかんだり、というのは結構聞きますね。特に夏場というのは負担がかかって、猟犬が熱中症で死んだというのを何回も聞きますしね」

 また、訓練した猟犬でも線路や高速道路に迷い込み事故に遭ってしまうこともありました。

現れた救世主はドローン!?空から害獣を追い払う

 こうした状況に一石を投じようと、今回地元の猟友会が導入したマル秘アイテムがあります。それが猟に特化したその名も『ハンティングドローン』!値段は約165万円です。

 秘策ということですが一体どんなものなのか?早速飛ばしてもらうと、飛ぶ姿は一見普通のドローンと変わらないようですが…次の瞬間!
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 (ドローン)「ワンワンワン!ワンワンワン!」

 犬の鳴き声が!リモコンの「犬」のボタンを押すとスピーカーから猟犬の鳴き声が流れるという仕組みで、これで害獣を人里から追いやろうというのです。

 (福知山猟友会 下元照男会長)
 「ドローンは電池さえ交換すればいくらでも飛べますし、非常に効率的に害獣駆除や狩猟ができるということですね」
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 地元のドローンメーカーとタッグを組み、3年かけて完成したというハンティングドローン。肝となる鳴き声には相当なこだわりも。

 (アエロジャパン 志村伊織社長)
 「実際に山に入って優秀な猟犬の鳴き声を録音してベストな猟犬の鳴き声を出しています」

 地域で優秀とされる猟犬がワンワンと吠える音を高性能のマイクを使って収録しました。しかも鳴き声は猟犬だけではありません。
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 (福知山猟友会 下元照男会長)
 「シカの警戒音ですね。人が近寄るとシカは警戒して鳴くので、そういったものも効果があります」
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 さらにこんな機能も。大きな音を出す花火を搭載することができ、それを飛行中に遠隔で着火させることもできるのです。

 (アエロジャパン 志村伊織社長)
 「絶対に結果を出せると思いますので、すごく期待しています」

 地元の猟友会が大金をつぎ込んだハンティングドローン、果たして効果はどれほどあるのでしょうか。

山中に響く『犬の鳴き声』と『花火の爆発音』…果たして効果は?

 そして7月16日、いよいよハンティングドローンの実力が試される時がきました。現場には噂を聞きつけた淡路島や島根県の猟友会も視察に訪れる注目ぶり。

 (京都府猟友会 西村義一会長)
 「ドローンの場合は止まらずに一方通行で全部行きます。だから害獣との勝負はものすごく早いです。よろしく頼みます」
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 今回の実験では、ドローン3機で害獣を人里から追い払い、猟友会メンバーらが山の中に入り、本当に害獣が反応するのか、その動きを確認します。
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 いよいよ、ハンティングドローンがテイクオフ!

 (ドローン)「ワンワンワン!」

 草木が生い茂る山の上空からは動物の姿こそ見えませんが、猟犬の鳴き声を響かせながら周囲を回っていきます。さらに、これでもかと花火を発射!あたりに大きな音が響きます。山の中にいても…。

 (記者リポート)
 「犬の鳴き声が聞こえます。ドローンが近づいてきたのでしょうか」
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 開始から1時間、残念ながらカメラに動物の姿を収めることはできませんでした。ただ、地元猟友会の下元会長は逃げるシカを目撃していました。

 (福知山猟友会 下元照男会長)
 「一番高いところのほうを逃げました。上を通ったということは、さらに上の尾根のほうを抜けたと考えられます」
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 しかし別の日にははっきりと効果がありました。見事ハンティングドローンの音声で山からシカの群れが逃げる様子が捉えられていました。

 (福知山猟友会 下元照男会長)
 「全国的にも非常に猟師の高齢化が進んでいますので、効率的な駆除をしないといけませんので、ハンティングドローンの活用は期待できますね」

 新たな対策として登場したハンティングドローン。これが害獣被害に悩む農家の救世主となっていくのでしょうか。

2023年07月25日(火)現在の情報です

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