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言い訳は『父が急逝しまして気が動転して連絡できず...』届かないチケット転売X氏に怒り続出...被害30人超か 伝えられた住所を訪ねてみると

2023年02月13日(月)放送

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 「楽しみにしていたチケットが届かない」被害者30人以上…悪質チケット転売の実態とは。チケット転売は、法律により「定価より高く転売」「繰り返し転売」は禁止されていますが、定価以下であれば問題ないとされています。また買う側は法律上の問題はありません。そんな中で「どうしてもチケットが欲しい」というファンの心理を悪用した行為に被害者らが憤っています。

被害者Aさん:SNSでチケット購入…届かない!

 名古屋市に住むAさん(24)。
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 「三代目J SOUL BROTHERS」の大ファンで、高校時代から毎年欠かさずコンサートに足を運んでいます。

 (Aさん)
 「三代目のグッズだったり、会場で売っているグッズだったり、あとはCDとか。実はもっといっぱい家にあります。3倍くらいじゃないですかね」
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 2021年8月、「東京ドーム公演のチケットを譲る」というX氏の投稿を見つけ、すぐに連絡を取りました。

 【X氏からの返信内容】
 『泣く泣くお譲りだったので本当に良かったです』
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 定価1万3200円のチケット2枚で5万円を提示されましたが、交渉すると…。

 (Aさん)
 「こちらが出せる金額としては2枚で4万円までだったら大丈夫ですというふうに話していて、そしたら向こうも『じゃあわかりました4万円でいいです』というふうに結構あっさりと値下げ交渉にも応じていただいて」
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 ところが公演前日になってもチケットは届きません。X氏に「警察に相談する」と告げるとチケット代は返金されました。

 (Aさん)
 「普段からライブを楽しみにして、仕事だったりとか日常生活を送っているので、本当にその日のために頑張っているので。その思いを踏みにじられたのは結構ショックでした」

被害者Bさん:チケット届かず…言い訳は『父が急逝して気が動転…』

 X氏の被害にあった人は他にもいます。兵庫県に住むBさん(36)。
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 アメリカの歌手レディー・ガガさんの熱狂的なファンです。

 (Bさん)
 「韓国の公演にも私行ったんですよ。(シャツに)ソウルと書いてあるんですけれどもソウルまで見に行ったんですよ」
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 去年9月、レディー・ガガさんの来日公演が8年ぶりに開催されました。チケットを探していたBさんは、ツイッターで「チケットを譲る」と投稿していたX氏をファン仲間から紹介されました。

 【X氏の投稿より】
 『行けないため、泣く泣くお譲りです。ご希望の方はDMください』
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 BさんはすぐにX氏に連絡。チケットを譲ってもらう約束を取り付け、4万9000円を振り込みました。

 (Bさん)
 「X氏は定価5万円に対してそれより安い金額で売っていただけるという話だったので、なんて心優しい人なんだと。心から感謝して、振り込んだ直後から私は早く公演日が来ないかなと心待ちにしていたという感じですね」

 ところが…。

 【X氏とのLINEより】
 『父が急逝しまして、気が動転して連絡ができずにおりました。火葬と葬儀が終わりましたら対応でよろしいでしょうか』

 X氏は「父親が亡くなった」などと理由をつけてチケットを送らなかったのです。
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 警察に相談すると訴えると、コンサート前日にチケット代は返金されましたが、結局Bさんはコンサートには行けませんでした。

 (Bさん)
 「楽しみにしていたので、それを台無しにされたという気持ちもありますし、わざわざホテル・飛行機まで予約していたという思いもあったので、ちょっと許せないなと」

続々と寄せられる被害者の声「30数名は確実にいる」

 X氏は詐欺行為を働いているのではないのか。そう考えたBさんはツイッターでX氏の被害にあった人を募りました。すると続々と被害の声が寄せられたのです。
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 【被害を訴えるメッセージ】
 『助けてください。3万円詐欺られました』
 『たった今、X氏に送金してしまいました』
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 (Bさん)
 「かなりの量ありますよ。これ全部被害者なんですけれども。もうスクロールしてもしてもキリがないくらいですね。30数名、確実にいます」

 被害者の話から、X氏は複数のアカウントを使って、入手困難なチケットを譲るとたびたび投稿していたことがわかりました。中にはチケット代は返金されず泣き寝入りする人もいたといいます。

 (Bさん)
 「お金が返ってきていない人は今把握している範囲では4~5人いるんですけれども、1人当たり平均すると4~5万円くらい。(Q正当に取引している人はいない?)今まで相談を受けた人では誰ひとりいなかったです。(Qチケットを得られていない?)得られていないです。誰ひとりいなかったです」

『X氏が被害者に伝えた住所』を訪ねると…

 チケットを譲ると言って引き渡さないX氏とはどんな人物なのか。取材班はBさんとのチケットのやり取りの際、X氏が住んでいると伝えていた神戸市内のマンションを訪ねました。

 (記者リポート)
 「こちらのマンションにはチケットを譲ると言っている人物が住んでいるということなのですが、郵便受けには全く違う名前が書かれています」
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 X氏は他の被害者に対して長野県や静岡県など複数の住所を伝えていて、トラブルが起こった際に追跡できないようにウソの住所を伝えたとみられます。

被害者に示していた『チケット購入を証明するショートメール』は本物?

 では、そもそもX氏は本当にチケットを持っていたのでしょうか。X氏が被害者らに示していたチケットを購入したことを証明するショートメール。
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 X氏は主に転売サイトでチケットを購入したと説明していましたが、サイト側に問い合わせてみると…。

 【サイト側の回答】
 『お客様にご登録いただいたメールアドレスへのご連絡のみとさせていただいており、連絡・通知等に携帯電話番号を利用したショートメールは一切使用しておりません』

 X氏は偽造したショートメールを示して被害者らを信用させていたとみられます。

再び被害にあう可能性も?専門家は『個人情報悪用の恐れ』も指摘

 チケットを譲るとうたって、あわよくば代金をだまし取ろうという行為。消費者トラブルに詳しい岡田崇弁護士はSNSでのチケットの売買にはリスクが伴うと指摘します。

 (岡田崇弁護士)
 「私からしたら非常に危険だと思いますね。なぜかというとツイッターなどというのは厳密に本人確認をしているわけではないんですね。見ず知らずの他人とそういうやりとりをするというのは控えたほうがよろしいんじゃないでしょうか」
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 また、住所などの個人情報を悪用される恐れもあるといいます。

 (岡田崇弁護士)
 「チケットをネット上で欲しがっているという特定の思考を持っている人のリストなわけですから一定の価値を持っている。(Qまた被害にあう可能性も?)そうですね。別のところで『チケット買いませんか?』という誘いかけがある可能性はありますね」

 新型コロナウイルスの流行が収束に向かい、コンサートやスポーツイベントが徐々に復活しています。そんな中でファンの気持ちを踏みにじる行為は許されるはずがありません。

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