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「読み書きができず苦労したことがあるのか!」学び直しの場『夜間中学』の統廃合計画に憤る生徒の声

2022年04月18日(月)放送

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 様々な事情で中学校に通えなかった人たちの学び直しの場である「夜間中学」。全過程を修了すれば中学校卒業となり、2019年度の調査では全国で1729人が夜間中学に通っています。そんな中、大阪市では現在、市内に複数ある夜間中学を統廃合して新たな場所に開設する計画が進んでいます。この計画によって学校数が減り立地が変わることで「学びの時間が減少する」などと生徒たちからは怒りの声が上がっています。

学び直しの場である『夜間中学』が減少の危機に

 「大阪市立天王寺中学校」の夜間学級、通称“夜間中学”。授業は午後5時半から始まります。この夜間中学では16歳~83歳まで37人の生徒が学んでいます。学びに応じて3年~6年通うといいます。

 (先生)「『90度があります』と書いてある時、これを直角三角形といいます。3つの角度を合わせたら何度でしたか?」
 (生徒)「180度!」
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 夜間中学は、戦後の混乱期に仕事や家事で中学校に通えない生徒たちのために設置されました。1950年代は全国で80校以上ありましたが、減少傾向が続いていました。
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 しかし、近年は不登校の生徒や外国人の生徒が増えていることから、国は夜間中学を設置するよう自治体などに推進しています。
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 大阪市には現在、「天王寺中学校」「文の里中学校」「東生野中学校」「天満中学校」の4つの夜間中学があります。しかし、2年後に浪速区に作られる不登校の現役中学生のための特例校に夜間中学を併設させる計画が浮上。それに伴い天王寺中学校と文の里中学校の2校の夜間中学を廃止することが検討されているのです。

生徒「私にとって夜間学校は命」

 去年11月にこの計画を知った天王寺中学校の生徒たちは次のように話します。

 (生徒)
 「はあ…、本当に信じられませんでした。絶対に私は反対です」
 「そんなアホなぁ…という。なんでわざわざ廃止にするのかなと思います」

 夜間中学は十分な教育を受けられなかった人のための、いわば“学び直しの場”。仕事や家事をしながら通っている生徒がほとんどです。
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 金沢仁美さん(69)は認知症の夫を介護しながら2年間通っています。

 (金沢仁美さん)
 「(夫が)5年前から認知症で家にいるんですけど。学校に来る前は私が24時間介護をしていたんですが、夜間学校があると聞いて急いでヘルパーさんを探したんです」
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 金沢さんは韓国出身で、日本人男性との結婚を機に26歳の時に来日しました。日本語を話すことはできますが、字の読み書きができず、難しい生活を強いられてきました。

 (金沢仁美さん)
 「学校に行くことを決心したのは夫が病気だから。もし急に亡くなったら、私は一人でどうやって生きていくのか。書けないし何もできない」
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 しかし、もし大阪市浪速区の学校に統廃合されたら、遠くて通えないというのです。

 (金沢仁美さん)
 「私は時間がここより遠くになると行けない。私にとって夜間学校は命です。私らより若い人も通っているのに、なんでこの学校をなくすのか」

大阪市が夜間学校を減らす理由は“生徒数の減少や日本語教員の不足”

 長年、日本に住みながら読み書きができない人や、失われた時間を取り戻そうとする人たちの行き場がなくなる可能性もある大阪市の統廃合計画。今年2月、生徒らは大阪市に説明を求めました。
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 (近畿夜間中学校生徒会連合会 門脇勝会長)
 「本日はこういう場を作っていただきまして、誠にありがとうございます」
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 面会の場には、現役の生徒だけではなく、卒業生やほかの地域の夜間中学の生徒も駆けつけました。

 (天王寺中学校の夜間学級の卒業生)
 「統廃合、これは絶対に困ります。なんでもっと増やそうとせず、なんで減らそうとするんですか」
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 (大阪市教育委員会の担当者)
 「過去426人の生徒さんが(天王寺中学校の)夜間学級に通っていました。それだけたくさんいらっしゃったんですけど、今は天王寺も60人弱で、少しずつ減っている状況です。多様なニーズに応えていかないといけない」
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 (近畿圏の夜間中学に通う生徒)
 「読み書きができないことで苦労したことがありますか?人数が減ってきてええねやんか。人数が増えてきたら本当はおかしいでしょう。教育差別を受けてきた人間が大勢いたらどないするんよ。夜間中学に明かりをつけておかないといけないのはなぜかと言ったら、(夜間中学が)ゼロになった時に、もし僕らみたいな人間が『学校に行き直したい』『学校に行って勉強したい』と思った時にどこを頼って行くんですか」
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 大阪市は、現在ある4校から3校に減らす理由として、生徒数の減少や日本語教員の不足などを挙げています。

国は『自治体の実情に任せる』という見解を示す

 国が夜間中学を増やす方針を打ち出しているのに対して、大阪市の統廃合はそれに反するのではないか?と、国会でも取り上げられました。

 (公明党 浮島智子衆院議員)
 「各都道府県・政令都市で1校以上という目標達成に向けて、(夜間中学の)設置をしていかなければならないと大臣の所信でもありましたけれども、このような中で夜間中学の数を減らすということは政府の方針に逆行することになると私は思います」
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 (末松信介文部科学大臣)
 「統合などにつきましては、各設置者において、それぞれの地域事情に応じた最適な学校教育のあり方や、学校規模を主体的に検討することが求められています」

 国は「自治体の実情に任せる」という見解を示しました。
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 夜間中学の生徒らが残してほしいと訴える中、大阪市はどう考えているのか。取材班が大阪市教育委員会に尋ねると次のように話しました。

 (大阪市教育委員会・指導部 坂田浩之総括指導主事)
 「大阪府内で(夜間学級が)11校設置されている状態でして。大阪市としましては、教育内容の充実が求められているところかと認識しておりますので、そういった部分を求めて現在のあり方を検討しているところでございます。(Q学校数を増やすことは求められていない?)そういうことですね」

生徒らは4万5000筆を超える署名を集めて存続を訴える

 3月9日、夜間中学の統廃合に反対する生徒や卒業生らが大阪市役所で会見を開きました。

 (近畿夜間中学校生徒会連合会 門脇勝会長)
 「家庭の事情や仕事の都合など、夜間中学生はいろいろな事情を抱えておりますので、(学校に)行けなくなるということは教育難民だと思っています。そういうのは作ってほしくない」

 生徒らは4万5000筆を超える署名を集めるなどして存続を訴えていて、大阪市は生徒への聞き取りを進めながら計画を慎重に検討していくとしています。

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