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憤マン!

村民が"生活水"への影響を懸念する『メガソーラー建設計画』 約30年前も"騒動"が起きた地で住民と業者が対立

2021年04月26日(月)放送

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奈良県山添村で建設が計画されている「メガソーラー」。その予定地には住民らが生活水として利用している水の水源地があります。建設をめぐる現場の様子を取材しました。

甲子園球場21個分のメガソーラー事業計画 建設予定地には「湧き水」が

奈良県北東部に位置する人口約3500人の山添村。村の8割を山林が占めています。山添村で村議会議員を務める向井秀充さん(67)は、村で起きようとしている問題に危機感を募らせています。
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(向井秀充さん)
「大きく山を切って敷地を確保して、そこにソーラーパネルを敷き並べるようですが、我々にとっては自然を破壊してまで再生可能エネルギー“自然に優しい発電”をやるというのは、なんか矛盾しているように思うんです。きれいな声でウグイスが鳴いたりね。ぜひこの環境は守っていきたいなと」
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向井さんらによりますと、村の東側の山肌に事業面積約81ヘクタール(甲子園球場の約21倍の広さ)のメガソーラー建設計画が2年前に突如持ち上がったといいます。県内では最大規模となり、開発が始まれば“村の大切なもの”が脅かされると訴えています。

(向井秀充さん)
「谷川の水を取水をしまして、一旦、貯留池に水を貯めて、それから浄水場に送水する。川の左前方がすべてメガソーラーの計画予定地です」
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建設予定地には山添村の住民らが生活水として利用している水源地があり、一部の湧き水を浄化して地域の学校などにも供給されています。

約30年前にはゴルフ場の建設計画 住民らの反対運動で中止

山添村と湧き水。実は過去にも住民を巻き込んだ大騒動が起きていました。約30年前の1988年。山添村ではゴルフ場建設のため、開発業者が山林を買い集めていました。当時ゴルフ場では農薬が多く使われていたため、住民らは「湧き水に農薬が混入する」として、建設反対の運動を展開したのです。

(山添村の住民 ※当時のインタビュー)
「怖いですよ。(Qどういう点が?)こういうものを我々が飲まなきゃならないと思ったら」
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すでに建設された別のゴルフ場の排水口からは農薬が検出。水路の一部では水が茶褐色に濁るなどして、ゴルフ場の建設計画は中止に追い込まれ、山添村の農薬問題は社会問題にも発展しました。

メガソーラーの建設に住民は?村長は?

今回のメガソーラーの建設計画地は、まさに30年前にゴルフ場の建設が計画された場所だったのです。メガソーラーの建設をどう受け止めているのか住民に聞きました。

(住民)
「反対です。飲むこともできないでしょう、そんな汚い水が入ってきたら。嫌です。怖いです」
「もちろん反対です。メガソーラーは基本的に全然地元のために何もなっていないです。この電力もおそらく全然違うところに行くんだろう」
「どうやろうね。過疎の村から考えれば何か事業をやってくれるというのもいいかもしれないしね」
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ソーラーパネルの建設事業は、奈良県が工事計画を審査した上で、業者に開発の許可を与えるものです。県や村によりますと、山添村での計画は業者側との事前協議が終わった段階で、まだ開発許可は出ていません。しかし去年、計画に反対する住民ら約1600人が署名を村に提出し、村議会でも全会一致で「同意なき計画への反対」を決議しました。
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今年3月には住民らで作る水源の保護などに関する審議会も「水質が汚濁する」との意見をとりまとめました。こうした動きについて村長に話を聞きました。

(山添村 森中利也村長)
「事業者が行政手続法に基づいてされることについては門前払いもできません。議会も私も『地域住民の同意を得なかったらできないよ』ということを大前提にしています」

奈良県内の別の自治体ではメガソーラー建設めぐり住民が業者側を提訴

今、奈良県内ではメガソーラーの建設が相次いでいます。平群町では4年前にソーラーパネルの建設が始まり、ほぼ完成しています。

(平群町の住民)
「ここは里山でしたからね。春・夏・秋・冬にはいろんな小鳥とかも飛んできて、鳴き声もね。悲しいというよりか寂しいですね。朝起きて窓を開けてもあの状態でしょ。窓開けた時点でね」
「はじめのうちはこちらもだいぶ反対したんですけれども、県の方とかが許可を出しているんでね」
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平群町では別の場所でも48ヘクタールのメガソーラー建設が始まっています。県が開発業者に許可を出し、2万2000ボルトの高圧電線を町道の下に埋設する計画です。送電線は平群町の6つの地区に埋められますが、業者が事前に住民から同意を得ていたのはソーラーパネルに隣接する1つの地区だけでした。
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【住民説明会の様子 去年10月】
(住民)「何の説明も何の告知も何にもなしに、こんな失礼な交渉ないで。住民への安全の視点、例えば電磁波だとか。いろんなことが出てきますやん」
(業者)「当然ながら地元の方の安全を守ることは大前提の話ですので」
(住民)「同意書なしで本当にいいのかどうか」
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平群町の町民ら約1000人が今年3月にメガソーラーの建設差し止めを求めて業者側を提訴する事態に発展しています。

住民と業者は互いに「ビラ配布」

一方の山添村。業者側にまだ開発許可は出ていませんが“ある動き”が…。反対運動をしている村議の向井さんの自宅の横に、開発業者が事務所を構えようとしていました。
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さらに、向井さんらが村民らにメガソーラー建設の問題点を指摘する「運動ニュース」というビラを作って配布すると、業者側は「山添だより」と称して事業説明や開発による恩恵などが書かれたビラを配布するなど、せめぎ合いが続いています。

(向井秀充さん)
「私自身としては、折り合う接点はないんと違うかなと思います」
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「住民の同意」について明確な規定がないソーラーパネルの建設。業者側は取材に対して「現在の水源を汚さない、枯らさないような工事を計画中ですが、同意を得られるよう努力します」とコメントしています。

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