お笑い芸人としての活動に加え、音楽活動、そしてアーティスト名「肉糞太郎」として生み出す独特な感性の作品が話題の野性爆弾・くっきー(43)。毎年、米NYで開かれる世界最大級の美術マーケット『Artexpo New York』に今春初出展し、1000組を超えるアーティストの中で"最も注目する5人"に選ばれる快挙を果たした。4月21日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、お笑い芸人の傍ら創作活動を続ける姿や、有名バイヤーや批評家など世界の目利きが集まるアート最前線でアーティストとして突破口を切り開いていく姿を追った。
マルチな才能でアイドル並みの人気ぶり
一度見たら忘れらない顔、今や人気絶頂で「2018年上半期もっともブレイクした芸人」にも輝いた野性爆弾・くっきー。その強烈な個性と豊かな表現力はドラマでもひときわ輝き、一方で「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音がプロデュースするバンドでの音楽活動も話題となっている。
さらに、このところ俄かに注目を浴びているのが独特な感性を存分に発揮した"アーティスト"しての顔だ。
作品展「くっきーランド」は全国で約15万人を集め、お隣、中国でも若い世代を中心に人気を博している。
(客)「グロいけどかわいい!」
(客)「なんか癒される・・・」
会場では、もはやアイドル並みの人気ぶり。作品はもとより、くっきー自体を皆「かわいい」と愛してやまない。
芸歴25年。相方ロッシーと「野性爆弾」を結成し、関西を中心に人気を集めて来たくっきーだったが、ブレイクする前も後もやっていることは何ら変わらない。お笑い芸人として舞台に立つ際は演出、音楽、主演のすべてを担っている。
この日の舞台、「ルミネtheよしもと」では、赤のストライプのシャツに黒の革ジャン、短パンスタイルで登場。本人が設定した"笑いのネタ"はやや独創的なため、「わかる人にしかわからない」というが、一度好きになった人には、それがたまらないらしい。
当の本人は、「お笑いも周りの反応を気にせずやってきた。(賛否は)どっちでもいいかな」とあくまでマイペースだ。
絵は我流。創作部屋にカメラが潜入
ニューヨークで40年の実績を持つアートイベント『Artexpo New York』への出品が決まったため、舞台やテレビ番組収録の合間を縫って創作活動のために借りているワンルームへやって来た。
カッコ良く言えばアトリエだが、漫画やフィギアなど彼の"好き"が詰まった「男子高校生の部屋」といった雰囲気だ。ここで一気に作品を仕上げるという。
くっきーの作品の多くは自らをモチーフにした「顔」だ。
完成図はなく、その時の気分で描き進めるという。
デッサンを終えるとペンで輪郭を完成させ、アクリル絵具で一気にカラフルに仕上げる。アクリル絵具を愛用する理由は、ドライヤーで一気に速乾できるからだそうだ。
制作時間は限られているとはいえ、譲れないものもある。
(くっきー)
「構図は結構あんじょう(ちゃんと)するタイプです。バランスは大事ですから」
最後にマジックで縁取りをして、黒で絵を"締める"のがくっきーの画風だ。
3時間休みなく描き続け、「オッケー、できました。いい顔ですな」とホッと一息。
次にとりかかったのは新しい試みである立体アートだ。
自分の顔で形をとった透明のマスクにカラフルな色をつけ、額に花をデコレート・・・なんとか締め切りまでに全ての作品を仕上げた。
くっきーが「指文字」にこだわる理由
4月、くっきーは現代アートの聖地である米・NYにいた。
毎年、海外のアート業界関係者が集結してその年の最新トレンドを形作ると言われている世界最大級の美術イベント『Artexpo New York』の会場は、約1000組の出展者たちが自らのブースのディスプレイに追われていた。
くっきーが今回、展示したのは選りすぐりの21点。イザベラなるキャラクターや指で文字を表現したもの...すべて新作だ。
有名バイヤー、批評家など世界中から目利きが集まるこの大舞台で。果たしてくっきーのブースに足を止める人はいるのだろうか。
(客)「Your book?(あなたの作品集なの?)」
(くっきー)「イエス、マイブック」
最初こそ、心もとない様子で応対していたくっきーだったが、徐々にブースに人が集まり出して笑顔がこぼれ出す。ハイエンド系の雑誌の取材も入った。
(雑誌ライター)「作品作りに特別なインスピレーションはありますか?」
(くっきー)「汚いものも、すべての生き物は美しくなる権利があると言いたいです」
続いてやってきたのは、NYで有名なアート雑誌の編集長だ。彼はくっきーの作品の指文字が気になるらしく「指にこだわるわけ」を聞いてきた。
(くっきー)
「人間の中で1番働いているのが指。何をするのも指。でも指はあまり"頑張ってるね"と褒められないから。綺麗に飾ってあげたかった」
深くうなずく編集長は、くっきー作品をこう評価した。
(雑誌編集長)
「(くっきー以外の作品は)アンディ・ウォーホルやバスキア、ピカソなどから影響を受けていると感じますが、くっきーは自分の顔を使って作品が作られているのでとてもユニークです」
『誰の影響も受けていない』
実はこれこそが、くっきーが頑なにこだわり、最も評価してほしい部分だった。
1000組以上が参加したこのイベントでくっきーは、"最も注目する5人"に選ばれ、作品も6点売れた。
現代アートの本場がくっきーを受け入れた証だった。
レディ・ガガのクリエイティブディレクターと異色のコラボ
4月6日、独創的なメイクと衣装のくっきーが、マンハッタンのど真ん中、タイムズスクエアにやってきた。演出したのは、レディ・ガガのクリエイティブ・ディレクター「ニコラ・フォルミケッティ」
(くっきー)「うわ、俺じゃないみたい。ふふふ」
くっきーと二コラの異色コラボが、道行く人たちの視線を次々と釘付けにしていく。
どんな流行りにも合わせてこなかった男に、ようやく時代が追い付いて来た。
「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。
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