地中海を渡る難民・移民を救助せよ
波濤を越える船上での奮闘と眼差し
「陸地にさえたどり着けば、ヨーロッパで働き人間らしい生活ができる」
2014年頃からアフリカや中東でそんな噂が強まり、リビアやチュニジアから小さな船で地中海に漕ぎ出す難民・移民が急増している。
これまでにおよそ250万人が海を渡り、3万人近くが溺死するか行方不明になっている。
助産師の小島毬奈は2016年から、国際NGOのメンバーとして地中海を渡る難民・移民の救助船に乗り込み、主に妊婦や新生児を抱えた女性の救助活動をしてきた。
以前は都内の病院に勤務していた小島。だが医師の補助的な役割しかできないことに物足りなさを感じて退職した。
その後、国際医療NGOの活動でパキスタンやイラク・レバノンの難民キャンプなどを廻り、医師もおらず医療機器もろくにない現場に従事してきた。
そんな小島が最も自分の力を発揮できる場として選んだのが、地中海を渡る難民・移民の救助船だった。
カメラは2024年7月に行われた地中海・リビア沖での救助活動に同行。
海上では、救命胴衣も付けない人々を満載した船籍不明の船と何度も遭遇。そこにはアフリカ各地だけでなく、内戦が続くシリアや、遠くパキスタンやバングラデシュから来た難民・移民たちも乗っていた。彼らを救助して陸地へ運ぶ救助船で、小島は助産師という役割を超えて八面六臂の働きを見せた。
そして、船上で新しい命にも遭遇する...。
衣食住、人間らしい暮らしを求め、命懸けで海を渡る人々に寄り添う助産師の姿を地中海に追った。
BACK NUMBER
このサイトをシェアする