
世界最高のレストランで闘う日本人
北欧で探し求める“未知なる味”!
2週連続!料理人スペシャル
北欧・デンマーク。そこに、世界最高と称されるレストラン『noma(ノーマ)』はある。『新北欧料理(ニュー・ノルディック・キュイジーヌ)』を掲げる彼らが生み出すのは、季節の滋味を活かした地産地消の一皿。厳しい自然環境から食材に乏しい北欧の地で徹底的に地元産にこだわり、時には"蟻"や"松ぼっくり"など通常では料理に用いられない食材をも美しい一皿に昇華させていく革新性は、世界の食通たちを唸らせ続けてきた。
髙橋惇一は、そんな異国の三つ星レストランの中枢、『テストキッチン』と呼ばれるメニュー開発専門チームで腕を振るっている。夏は"野菜・果物・花"中心、秋は"ジビエ・キノコ・木の実"などを中心に、nomaでは季節ごとに全てのメニューが入れ替わる。その度、新たに食材を選び出し、料理を試作。オーナーシェフのレネ・レゼピによるテイスティングでGOサインが出るまで、ひたすらそれを繰り返すのが髙橋の日常だった。求められるのは、まだ誰も食べたことのないような革新的な料理。時には北欧産の"鱈"を部位ごとに分けて、それぞれ異なる味付けにしてみたり、またある時は"鴨"の頭蓋を開いて脳を調理してみたり...。しかし膨大な時間を費やした一品が、テイスティングの一口目で白紙に戻ることも珍しくない。「結果を出さなければ、このポジションにいることはできない」と、書き溜めたノートを見返しながら再び試作に向かう背中には、世界最高のレストランで戦い続ける男の覚悟が滲んでいた。
そんなnomaが「数年後にレストランでの営業を終了する」と発表したのは2023年のこと。デンマークに来て12年...試作を重ね、自らが生み出した料理で客を喜ばせることに生き甲斐を見出してきた髙橋にとって、それは"料理人としての将来"を今一度見つめ直す出来事だった。番組では、新緑のデンマークで野菜を使ったメニュー作りに邁進する日常から、この秋10週間限定で開かれた京都でのレストラン営業、そして最後となる冬のメニュー開発に密着。自らの集大成が問われる試作を終えた時、男は何を思うのか―。
Junichi Takahashi
1983年、宮城県生まれ。服部栄養専門学校卒業後、東京のフレンチで修業を積む。当時はフランスで腕を磨くことを夢見ていたものの、偶然手にした『ノーマ 北欧料理の時間と場所』という料理本に衝撃を受け、デンマークへ。直談判の末に、研修生として『noma』に入った。仕込みや掃除といった下働きに奔走しながら、自らが新しく考案した料理を発表できる『サタデー・ナイト・プロジェクト』という場で生み出した“ウニ”と“出汁”を使った一品が評価され、正規スタッフに昇格。2016年からは『テストキッチン』のスーシェフに就任。現在は世界最高のシェフと評されるレネ・レゼピの元で“Head R&Dシェフ”としてメニュー研究開発に従事している。たまの休日は10キロのランニングとデイキャンプで過ごす41歳。

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