MBS 毎日放送

2019年01月10日 16時30分 公開

2時間待ちの行列は当たり前!"スパイスカレーの女神"が放つ魅惑の香りと絶対的魔力

一人の女性料理人が自らの感性で生み出すスパイスカレーが今、カレー通を唸らせている。店の名は「SPICY CURRY 魯珈(ろか)」(東京・大久保)。オープンから2年で瞬く間に大行列店となり、グルメサイトのカレーランキングでは日本でトップを争う人気ぶりだ。店を一人で切り盛りするのは齋藤絵理、35歳。ドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、齋藤が数々のスパイスを駆使して未知なるカレーを作り出す“秘密の現場”を公開。また、インドで新たなスパイスを探す旅にも同行した。“スパイスカレーの女神”と呼ばれる彼女は本場で、何を食べ、何を感じたのか。そして帰国後、新スパイスを使って考案した“元旦カレー”の味とは?

「あの人は天才...」3時間並ぶ常連客も

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齋藤は、東京屈指の繁華街•新宿にほど近い大久保の路地裏に店を構えている。この街には外国人が多く暮らし、様々なスパイスが手に入りやすいためだ。齋藤の武器は、スパイスカレーと台湾の家庭料理である魯肉(ルーロー)と呼ばれる豚肉の煮込みを併せた斬新かつ繊細なカレー。オープンから2年で日本におけるカレー界の最高権威である『Japanese Curry Awards』で新人賞を、『JAPAN MENU AWARD』では、看板メニュー「ろかプレート」で2017年から2年連続3つ星を受賞した。
口コミで常連客が広がり、今では2時間待ちは当たり前という人気店になった。

定番メニューに加え、週に一度は新たなカレーを生み出すのも彼女の店の特徴のひとつ。これまで作った100以上のレシピを出し惜しみなくカメラの前で披露する齋藤に、企業秘密はないのだろうか。

(齋藤)
「(スパイスの)グラムをメモしても味は真似できないと思います。スパイスに火を入れる絶妙のタイミングがあるので」

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実際に調理現場を見せてもらうと、その言葉の意味がわかる。配合の分量や順序はあくまで目安に過ぎず、頼るのは己の五感のみだ。鍋に投入したスパイスの色・音・香りを読みながら、火加減や次の具材を入れるのに絶妙なタイミングを計っていく。意外にも煮込む時間はわずか10分ほど。香りを飛ばさないためだそうだ。この日、仕上げに使った食材にも驚かされる。ゴマのペースト。担々麺のような風味を出すのが狙いだった。

(客)「今まで食べたことの無い味です」
(客)「あの人、天才なんです」
(客)「味にハマってしまって抜け出せない・・(笑)」

齋藤が一人で1日にさばけるカレーの数は頑張っても130食。自分のカレーを食べるために3時間も並んでくれる客達の期待に少しでも応えたいと毎日必死だった。
朝7時から仕込みを始め、この日、店を後にしたのは夜11時。帰路にコンビニで購入した缶チューハイ片手に1人トボトボと街を歩く35歳の後ろ姿は、心地よい疲労感に満ちていた。

両親に連れられ古今東西のカレー店を食べ歩いた少女時代

齋藤の原点は、無類のカレー好きである両親にあると言う。物心がついた時から毎週のように様々なカレー屋に連れて行かれ、高校生になると自らも友人とカレーを食べ歩くようになった。

(父)
「思い出の店はボルツのカレーですかね~。自分のペースで食べたい店に子供を連れて行ってた。子供のペースには合わせない(笑)」
(母)
「子供の喜びそうな店なんて連れて行ったこともないよね」

幼いころから常に身近な食として存在し続けたカレー。「将来カレー屋になるんだ」と決意した彼女が大学卒業後、修業先に選んだのは、南インド料理を東京に流行らせた立役者と言われる名店「エリックサウス」(東京・八重洲)だった。7年かけて基礎を学び、2016年、満を辞して「魯珈」をオープンした。

どこまでもストイックな齋藤が受けた「今年一番の衝撃」

自他共に認める"カレークレイジー"である齊藤は、平日は朝から晩まで厨房に立ち、定休日は欠かさず人気店のカレーを食べに行く。人を惹きつけるカレーには必ずちょっとした工夫がある。料理人の動きをつぶさに観察し、実際に食べて分析するという行為をひたすら繰り返し自分の味を作り出してきた。

この日、大阪まで足を延ばした齋藤が「今年一番の衝撃」と感銘を受けたのが中華料理店「大衆中遊華食堂 八戒」(大阪・東大阪市)のカレーだった。猪肉や豚肉の魯肉が添えられたパンチの強いカレーに衝撃を受けた齋藤はついつい料理人に、使ってるスパイスについて尋ねてしまう。美味しさの秘密について知りたくて仕方がないようだ。

(齋藤)
「自分と違うお料理を作れる人と会った時って戦いですよね。自分もやりたいっていう衝動に駆られます」

齋藤はその後、一週間店を閉めた。
オープン以来、初めてのことだった。

凝り固まったイメージは捨てればいい。本場インドで新スパイスを入手

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やってきたのはカレーの本場インド。自分のカレーに少し自信が持て無くなっていた齋藤はこの地でもう一度自分の味を見つめ直したいと考えていた。ひとまず、インドの街ならどこにでもあるであろう屋台へ。そこで食べた野菜カレーの味に驚く。

(齋藤)
「スパイス3種類くらいだけなんですけど、シンプルなのに謎にうまいです」

少ないスパイスでなぜあそこまでの味が出せるのか?その秘密をどうしても知りたいと考えた齋藤は、貪欲にカタコトの英語で料理人にレシピを聞いて歩き、珍しいスパイスがあればすぐに試食し味を確かめた。
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(齋藤)
「(インドのカレーは)もっとスパイスがガツンと強い味なのかと思ったら、逆にシンプルだった。刺激ではなく、塩とか野菜の甘みを引き立てるためのスパイス。自分は最近、野菜の甘みを引き立たせるってことをおろそかにしていたことに気がつきました」

スパイスは香りだけでなく、他の具材の味を引き立たせるものということを再発見した齋藤。
また新しいカレーを作れそうな予感がした。

2019年元旦。齋藤は厨房にいた。インドから持ち帰った「ロングペッパー」「カシミールチリ」を使った新たなカレーを考え出したという。今年第一号の限定カレーは、「ひじきとお餅のお雑煮風」。正月らしいオリジナリティあふれるカレーだった。

(客)「美味しいね。甘い」

誰しも思い出に残るカレーが心の中に存在するだろう。「私のカレーもそうでありたい」と願い日々新たな味を生み出し続ける齋藤のカレー熱は、今年も留まるところを知らない。

「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。

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