MBS 毎日放送

2018年12月17日 16時30分 公開

色気溢れる21歳村上虹郎"二世俳優"としての苦悩「親から逃げてたダサイ時期があった」

気鋭の映画監督やクリエイターに「今最も仕事をしてみたい俳優の一人」と注目される俳優・村上虹郎。チャーミングな中にも艶と色気があり、時に狂気をはらむ生々しい演技が高く評価され17歳でデビューしてから4年間に14本もの映画に出演。映画・舞台・ドラマ・CM・雑誌など表現の世界において仕事が途切れることはない。父親は俳優の村上淳、母親は歌手のUAという“二世俳優”だが11月25日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」で、かつて自分が芸能界に嫌悪感を抱いていたことや、今“親の七光り”と言われることへの率直な想いを語った。

「人から嫌われるのは僕が先にヘイト(憎しみ)しているから」

父に俳優の村上淳、母に歌手のUAを持てば、親の七光りという声が耳に入ることもあるだろう。けれど、当人は、「親の七光り?(名前が)虹色だから当たり前じゃん」と明るくとぼけて見せる。

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そんな虹郎が醸し出す独特のオーラは親譲りのものだけではない。どんな場所でも物怖じする様子がなく、一言で言えば、唯一無二の存在感。主演4作目となる映画『銃』の舞台挨拶では共演者にその強面な風貌やファッションを茶化されても飄々と笑顔でかわし、今夏のドラマ『この世界の片隅に』撮影現場では共演者に可愛がられる天性の人懐こさを見せていた。

(共演する俳優・松坂桃李)
「今、ドラマで虹郎と一緒って言ったら、柳楽優弥が『どう?アイツ?』ってすごい気にかけてたよ(笑)」

来夏には世界的に知られる演出家サイモン・ゴドウィルの舞台も控えておりスケジュールはパンパンだ。だが、忙しい合間を縫って村上はこの日、殺陣の稽古をつけて貰っていた。
指導を仰いでいるのはこの世界の第一人者で殺陣師の渥美博。徹底した指導で2時間以上剣を振り続ける。

(渥美博)
「若くして顔つきや所作に色気がある。そういうの見てると、こういう役をやらせてみたいとか、使いたいなと思わせる場面が沢山ある」

稽古が終わった後、何か言いたげな虹郎にカメラを向けてみると、意外な言葉が飛び出した。

(虹郎)
「情熱大陸が放送されたら、きっとこいつ生意気だなって言われるんですよ。もうちょっと偉くなってから偉そうにしろとか...。
でも、人から嫌われるってことは、もしかして僕が先にヘイト(憎しみ)を発しているのかも知れない。ヘイトにはヘイトが返ってくるから...でもたまに(僕の)LOVEも相手からはヘイトで帰ってくるんですよね。あれ、困るんですよ(笑)」

普段から気取らず、飾らず、感じたままを口にする。それゆえ、素の自分は時に周りを誤解させ、反感を買うと感じることがあるようだ。
だからこそ、別人を演じることに没頭したのかもしれない。

母・UAは猛反対。それでも、俳優として生きる道を選んだ

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1997年、人気歌手のUAと俳優、村上淳の間に生まれた。父も母も家を空けることが多く、おばあちゃん子として育った。9歳の時、両親が離婚し母親に引き取られたが高校生の時に家を飛び出しカナダへ留学する。母が生きる歌の世界にも、父が魅了された芝居の世界にも嫌悪感を抱いた時期があったという。

(虹郎)
「親から逃げて逃げて逃げ続けたダサい時期があって、居場所がなくなっていくんですよね。でも、(今振り返ると)親から逃げていたわけじゃなかったんです。本当は自分から逃げていたんです。弱かったから」

迷える青年が選んだ"就職先"は、両親と同じ表現の世界だった。デビュー作は、映画『2つ目の窓』(監督:河瀬直美)。父親役は村上淳が務め、虹郎は別れた両親との関係に葛藤する高校生を演じた。それはまるで虹郎の生い立ちをそのまま映したような映画だった。

(虹郎)
「この作品に出るか出ないかの決断は、16歳くらいの僕なりに大きな意味を持つということは考えていました。母親が僕のデビューを最初に反対したわけです。『持続力ないよね、あなた精神的に』って。それは自分もわかってる。言われたら悔しい、図星だし。だから役者を絶対死ぬまで続けるんです」

母が指摘した虹郎の"逃げてばかりの性根"を叩きのめしたのは河瀬監督だった。映画撮影当時のメイキング映像には虹郎に対する河瀬監督の容赦無い怒号が残されていた。

(河瀬)
「なんで1回言われたぐらいでやめるの!」
「なんでそんなに簡単なんやお前は。いつも言いなりか!」
「カメラから逃げるな!」

突き動かされるように演技を続ける虹郎は、やがて俳優としての自分に目覚めていく。そして気づけば4年。撮影現場は、やっと見つけた自分の居場所だった。

「ありのままの虹郎」とは何か?

来年公開される映画『楽園』の撮影がスタートした。演じるのは、裏表のない純真な田舎の青年。この日も入念な役作りをして本番に臨んだ虹郎だったが、片思いの相手に気持ちをぶつけるシーンで、役のイメージがずれていると監督に度々指摘された。

監督は「ありのままの虹郎ムードで」と言うが、「ありのまま」と言われても、どうもしっくりこない。役作りをして「演じよう」とする強い気持ちばかりが空回りしてしまう。
(村上)
「フィクションを作っているから本当は自分を曲げないといけない。本来、フィクションは全部曲げているって思うんです。でも、だからこそ僕は特に、一番"自分の真ん中"にいなきゃいけないと思う」

他人が思う「虹郎」と本当の自分とのギャップ。自分を保ちながら俳優として「役」という別人格にアプローチすることは容易ではないというが、果たして正解はどこにあるのだろうか。

もう一皮剥くため、自らの原点である奄美大島へ

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「自分を表現する」とは何なのか。「まだ知らない自分」はどんなものか。それを確かめたくて、虹郎にとって"役者としての原点"であるデビュー作の舞台、奄美大島を訪ねた。
かつて河瀬直美監督に徹底的にしごかれた思い出の場所。この地で『誕生』をテーマにしたアート写真作品を親しいクリエイター仲間と共に作り、雑誌に掲載しようという虹郎のオリジナル企画だった。

夕暮れ時、黄金色に染まった海をバックに浜辺での撮影が始まった。そこにいたのは顔や髪、上半身に真っ白なメイクを施し飛んだり跳ねたり奇妙なポーズをとってみたり...。何の「役」でもない、自然体の虹郎がいた。

(虹郎)
「親の七光りって言われたら...僕は七つ以上に光ります!だって役者だし、七つ以上の役やってるよって。あれ?七光りってそもそも何ですかね?七つに光...めっちゃいい言葉じゃないですか(笑)!!」

村上虹郎、21歳。一つ一つ色を重ね、ますます輝きを増していくに違いない。

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「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。

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