採って・触って・食べる"珍生物ハンター"これぞ夏の自由研究!

情熱大陸を読む

2018/08/30 11:00

テレビやネットで話題沸騰中のフリーライター平坂寛。世界中を飛び回りちょっと変わった生物の魅力を伝え、時には自分で食べる行為も大切にする異端の生物研究者だ。8月26日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、本州から沖縄本島、石垣島、さらには米テキサスまで遠征取材に赴く平坂に密着。珍生物が次々登場する展開と、出会う生物や子供達にまっすぐ向き合う32歳の生き方に、「面白すぎる!」「大好きだ」などネットで話題となった。

ダイオウグソクムシの食レポに、東京の川でエイ釣り!?

平坂は、「いきものを五感で感じること」をモットーとし、「採って、触って、食べる」という、3本柱を軸に執筆活動を続けてきた。
この日、氷漬けで届いたのは西大西洋の深海に生息するダイオウグソクムシ。水族館に依頼されたと言うが、平坂の手にはなぜか醤油やネギの入ったスーパーの袋が・・。

「この生き物、食べたらどんな味がするのかな」。

寸胴鍋で調理が始まる。調理の様子を映像で記録した動画が水族館内で流されるそうだが、食レポもお手のものだ。

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「あ、なんか見覚えあるぞ、この色。どっちかと言うと、シャコに近いですよね。紫がたってる。いただきま~す。おいしい。エビやカニよりうまいですね!」

平坂が追うのは昆虫から魚類、は虫類と幅広い。ポリシーは「陽の当たらない生き物の魅力を伝えること」。著書には熱烈なファンが多く、一部の子どもたちにはまるでアイドルのような存在だ。平坂のトークイベントには200人を超える人々が集まり、子どもたちは各々の好奇心を平坂にぶつけてくる。

「これまで食べた中で一番ビミョーな味の深海魚はなんですか?」
「いいとこついてくるな、きみ。ミズウオ!」

そんなやり取りがあちこちで交わされ、"現代版ファーブル"から答えをもらった少年達は満足そうに帰っていった。

子どもに生き物との接し方を直接教える機会を大切にしている平坂の活動は幅広い。この日は東京のとある川に出張授業。生徒は平坂本の愛読者だという中学生だ。ハゼがよく釣れると評判の川でサバの切り身を餌にして二人が釣りを始めると、激しい手応えとともにかかったのはなんと・・「アカエイ」!

「ちょっと触ってみてもいいですか?」

興奮する中学生だが、アカエイは尾に毒針を備える危険な生き物であるため、平坂が慎重に取り扱いかたを説明していく。その的確な指示を守り、恐る恐るだがしっかりとアカエイを自らの手でつかんだ中学生。その重さや手触りを彼は大人になっても決して忘れないだろう。

好きを味わい尽くす人生の幸福。典型的な「ヘビ味」です(笑)

番組では、異端の生物研究者である平坂のルーツを探るべく実家のある長崎県時津町を訪ねた。

「フェイジョン」というブラジル料理を振る舞う母は、ブラジル生まれの日系三世。約40年前に長崎大学水産学部の学生だったという。

「変な虫とか捕まえて帰っても怒られなかったのはそういうバックグランドがあるからなんでしょうね」。

平坂もまた琉球大学で海洋自然科学を学び、筑波大学大学院に進んだ。研究者の道もあったが、様々な生き物の奥深さを人に伝える喜びに目覚め、フリーライターになった。現在は出版社やウェブメディアに寄稿したり豊富な経験を生かしてテレビ番組の撮影を手伝いながら生計を立てている。

「月に5.6本は何かしらの記事を書かないと、いろんな意味で成り立たないですね」

好きを仕事にするのは決してラクではない。しかし、好きを味わい尽くす人生は猛烈に楽しい。

7月に東京から沖縄に拠点を移したのも、沖縄の生き物の多彩さを求めてのことだった。かねてから記事にしたいと考えてきた相手はアカマタという沖縄在来のヘビだった。毒こそないが気性の荒いこのヘビを、その昔、山林地帯ではおかずにして食していたそうで、記事の目的は食文化の歴史を探ることだった。

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難なくアカマタ採集し自宅に持ち帰ると早速調理開始。種類によって骨格も肉付きも異なるヘビの調理には、解剖学的な興味も伴うそうだ。文章が面白いと定評のある平坂は、後日、以下のように報告した。

"味は鶏のもも肉に弾力と旨味を足したような、典型的な『ヘビ味』である。"
"アカマタは数ある沖縄本島のヘビたちの中で唯一、食材としての質と量、特に後者を備えていたがゆえにやんばるの民のタンパク源たり得たのだろう"。(『デイリーポータルZ』より)

米でアリゲーターガーと格闘。興奮で震える平坂にネット上では「可愛い」の声も

この夏、最後の取材旅行で訪れたのはアメリカ・テキサスだった。
釣り上げたのは、北米最大の淡水魚、アリゲーターガー。40年は生きていると思われる、成魚だ。大物を目にして、興奮のあまり、平坂の足はガクガクと震えていた。

アリゲーターガーは、日本では今年から特定外来生物として輸入が禁じられた生物だ。飼い主が川などに捨てた個体が大型化し、世間を騒がせたこともある。見た目はワニに似て危険なイメージがあり、頭突きでも食らえば、大怪我をする可能性もある。しかし、直接触れたアリゲーターガーは、むやみに人に襲い掛かるような魚ではなかった。

「いつか、僕がこれで書いた記事を見て、『じゃあ、俺もテキサスにいくぜ!』という子が一人でも出てきてくれたら本望です」

何事も、その目で見て触れてみなければわからない。平坂は、そのリアルさを伝え続ける。

「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。

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過去の放送はこちらからご覧ください。

番組情報

毎週日曜 よる11:00~

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