MBS(毎日放送)

「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」20代女性が"海外出稼ぎ"で月600万円も危険すぎる実態とは

特命取材班 スクープ

SHARE
X
Facebook
LINE

 1か月に600万円の報酬。国内ではなく海外のほうが高い報酬を得られるということで海外に売春に行く女性が増えているという。今回、取材班は斡旋業者に接触し、マニュアルを独自入手した。『海外出稼ぎ売春』の実態とは?関西に住む20代の伊藤さん(仮名)。去年11月、初めて海外の性風俗店で働いたという。

 (伊藤さん ※仮名)「海外の方が稼げるよ行ってみない?っていうので海外に行くということになりました。1日、日本円で40万円いくかな?くらい」

 これまでにオーストラリア・アメリカ・韓国の3か国で海外売春をしたという。初めて渡航したのはオーストラリアのメルボルンだった。

 (記者)「これは住んでいる部屋兼接客をする場所?」
 (伊藤さん)「そうです。ここにルームメイトみたいな人が1人来て、一緒に住んで仕事するって感じです。共同生活みたいな、一応日本人の子やったから全然大丈夫だったんですけど」

「ホストから抜け出せなくて…」“海外出稼ぎ”をする理由

 伊藤さん以外にも日本人は複数いたという。一度の渡航は1か月程度で多い時には約600万円を稼ぐときもあった。

 こうした海外での売春はいわゆる「海外出稼ぎ」とも呼ばれている。伊藤さんが海外出稼ぎをした理由とは…

(伊藤さん)「ホストから抜け出せなくて、タワーとか…一番大きい会計は(1日で)多分500万円。それで頑張るしかないかと。日本に比べると(海外は)ルールというか縛りも少ないから楽して稼げるかなと」

 伊藤さんによると目的地には観光ビザで入国するが、実際は仕事をするため法律違反となる。最近は同じ目的の人が増えているためか入国も一筋縄ではいかなくなっているという。

 (伊藤さん)「(オーストラリアでは)日本人のパスポートを見せた瞬間に連れて行かれる。別室に行ったんですけど日本人の女の子であふれていました。(Qそこではどんなことを?)指の指紋、全部とられて質疑応答、観光で来たっていうのを絶対言い張っておかなければいけないからそれを突き通すだけ」

「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」危険な海外売春

入国できたとしても海外売春には想定外の危険も伴うと話す。

 (伊藤さん)「従順なイメージがあるらしくて日本人の女の子って。だから何をしても大丈夫だろう見たいな感じで殴ってこようとしたり叩いてくるとか、自分が払ったお金を奪って逃げようとしたりとか、強盗に近い」

 私たちの取材に伊藤さんだけでなく複数の女性がホストへの支払いや整形費用などを理由に海外売春をしたと答えた。中には「薬物で幻覚を見ている客に首を絞められた」「報酬が支払われなかった」などのトラブルを訴えている女性もいる。

 こうした海外売春の入り口として女性たちが口をそろえるのがSNSでの投稿だ。取材班も調べてみると…

記者の問い合わせに“斡旋業者”は…

 (記者)「海外出稼ぎと検索するとエージェントのものと思われる投稿が複数出てきます」

 『アメリカで1か月1000万円』『本気の子は稼げないわけない』

 高収入をうたう斡旋業者とみられるアカウントが複数存在していることが確認できた。いくつかの業者に記者であることを隠し、連絡を取ってみた。すると、3時間ほどで返信が…
 
 【SNSでのやり取り】
 (記者)「海外出稼ぎの際にはどのように入国をするのでしょうか?」
 (斡旋業者)「僕の紹介で入国できなかった子はいないです。違法ではあります。売春自体が合法な国もございますが、渡航目的が違う時点で入国拒否の対象になります」

 女性1人では売春を疑われるため入国審査がハードルになっているようだ。また別の業者からは、入国審査をすり抜けるためのマニュアルが送られてきた。

入国審査すり抜けのための「マニュアル」

【入手した入国マニュアルより】
・入国のイミグレーションで疑われている最中に出稼ぎの案内が入り、言い訳できなくなり入国を失敗した女性がいます

・スカウトやエージェントは一旦入国前にブロックして現地で入国完了後に必要ならブロックを解除してください

・スウェットなどダサめな格好でお願いします

・化粧はスッピンで飛行機に乗ってください。オシャレな格好は絶対NGです。極力ダサくしてください。

 マニュアルを送ってきた斡旋業者に電話取材を試みると…

記者が斡旋業者に電話した結果

 (記者)「毎日放送の記者でして、取材なんですけど…」
 (斡旋業者)「あ、すみませんちょっと無理です。申し訳ない(電話を切る)」

 記者であることを明かすと、すぐに電話が切れ、その後SNSアカウントも停止された。

 こうした斡旋業者について警察庁は「職業安定法違反で今年1月と4月に摘発事例があり、今後も違法行為については厳正な取り締まりを推進していく」とし、安易に違法行為に関与しないようにと呼びかけている。


 これまで3か国に渡航し違法な海外出稼ぎ売春を行った伊藤さん。稼げる一方で異国での危険な経験からもう二度としないと話す。

「エージェントはいいことしか教えてくれない、怖すぎた」

 (伊藤さん)「エージェントさん(斡旋業者)は、いいことしか教えてくれないのと、なにか海外でトラブルがあったときになにも対応してくれないです。怖すぎたから1人で行くの。ちょっと良くないことしちゃったなという罪悪感も残っているから、(海外売春をしていたころに)戻りたいかと言われると戻りたくないです」

 多くの日本人女性が手を染めているといわれる海外出稼ぎ売春。危険を伴う違法な売春が“気軽に”できるものであってはならない。

2024年08月07日(水)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

違法駐車するドライバーに記者が直撃!『駐禁除外』標章の不正使用が大阪・ミナミで横行 「親族のを使っていた」と主張するが...障がい者のための制度を悪用か

2025/01/13

「売春は怖いっちゃ怖いけど...」違法と知りつつ"立ちんぼ"やめないのはなぜ?客待ちする29歳女性に聞くと「交渉成立すれば別にいい。もっと悪いやつを捕まえればいいのに」 大阪・キタ

2024/12/19

『先生を信頼していたのに...』担任から性加害を受けた支援学校の生徒が涙の訴え 「怖かった」「誰も助けてくれなかった」防げなかった学校側にも不信感

2024/12/13

わが子を殺された父親「謝罪」ない受刑者に思いぶつけ...返事にがく然「過去を忘れたい」「賠償金は払わない」心情伝達制度から見えた遺族の思い

2024/12/06

住職に服を脱がされても「いやらしい気持ちがお導師にあるわけがない」と日常的に性被害...女性僧侶の訴え「自分の弱さや欲に向き合って」【仏教界で相次ぐ性被害】

2024/12/03

【独自】「看護師になりたくて入っただけなのに」教員からの"罰"を回避するため『生徒同士で互いを監視』異様な学校生活を生徒らが証言 保護者も怒り「どんな学校なんって」【看護専門学校でパワハラ疑惑】

2024/11/13

【新型コロナワクチン後遺症】元看護師は車いす生活に「元の自分に戻りたい...」 消防士「23㎏痩せ、心の病といわれた」 『治らない』後遺症の現実

2024/11/09

「私が倒れたら誰も見る人がいない」強度行動障害の27歳息子...母は『老障介護』に不安 施設を40か所以上見学も「パニックがあると断られてしまう」

2024/10/17

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook