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『ボディメイクコンテスト』のためのエステ脱毛で「体を見て愕然」...やけどトラブル相次ぐ実態「逆に体を傷つけて後悔」医師は法整備の必要性訴え

特命取材班 スクープ

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 増える脱毛トラブル。脱毛には、医師管理下で施術が行われる『医療脱毛』と、誰でも施術可能な『エステ脱毛』がある。中でもエステ脱毛ではやけどなどのトラブルが相次いでいるという。その実態に迫った。

利用者増える一方で『エステ脱毛でやけど』の声が相次ぐ

 施術価格の低下などにより利用者が増えている脱毛。「脱毛したことありますか?」と街の人に聞いてみると…。

 (20代)
 「あります。全身。周りもほとんどしてない子がいないくらい全員していると思います」

 美意識の変化もあり、女性だけでなく、男性の間でも人気だという。

 (20代)
 「脚をしています。最近、毛を気にしている女性の方が多いかなと思って。自分自身も毛が生えているのは好きじゃないんで」

 (30代)
 「海外の友達とかと交流の場があるんですけど、向こうでは当たり前だよみたいな。(Q日本の男性も?)やっている友達多いです」

 そもそも脱毛には2種類ある。『医療脱毛』と『エステ脱毛』だ。

 医療脱毛では、医師または医師の管理の下で看護師が毛根を破壊するほどの強いレーザーや光を照射して脱毛を行う。
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 一方、エステ脱毛では、毛根を破壊しない程度の比較的弱い光をあて、毛の成長を抑えるという。医師免許は不要なため誰でも施術することが可能だ。だがエステ脱毛で使用する機器の出力の上限は法律で定められていない。このためエステ店で強い光を照射されてやけどを負ったというケースが相次いでいるのだ。
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 【SNSより】
 『エステ脱毛で火傷させられた』
 『脱毛エステ行ったら火傷したみたいで、水膨れと赤みが酷い』

ボディメイクコンテストのためなのに「姿を見て愕然」

 エステ脱毛でやけどを負ったという男性から話を聞くことができた。横浜市に住む浅井晃平さん(24)。鍛えた体の美しさを競うボディメイクコンテストに出場するため、去年秋からエステ脱毛に通っていたという。
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 実際にやけどの痕を見せてもらった。

 (浅井晃平さん)
 「(Qこの白いのもやけど?)そうですね。これとか、これとか、やけどですね」

 脱毛の施術を受けた翌日に撮影した写真。朝起きた時に体の火照りと痛みを感じて確認すると、施術を受けた上半身が黒く焦げたり、白くなっていたりしたという。

 (浅井晃平さん)
 「ボディメイクのコンテストが2週間後に控えていたので、はじめ自分のこの姿を見た時は愕然としましたし、すごい不安と焦りがありましたね」

 大会に出場した時の写真を見せてもらうと…。

 (浅井晃平さん)
 「このあたりとかは、やけどの痕はくっきり残っていますね。1年前からこの大会のために脱毛も行っていましたし、食事制限もしていましたし。本当にショックが大きかったですね」
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 浅井さんがやけどを負ったのは照射の際に出力を上げすぎたことが原因とみられる。

 (浅井晃平さん)
 「脱毛自体やっぱり痛ければ痛いほど効果が出るっていう認識があって、そのためには出力を上げる必要があると思って、より高い効果を得るために出力を上げようと思いました。(Qお店の方はどんな反応?)大丈夫大丈夫、わかったわかった、という感じ。『やけどのリスクがある』と言われていたら、出力は上げていなかったと思います。事前にやっぱり教えていただきたかったなと思いますね。せっかく体をキレイにするために脱毛に行ったのに、逆に体を傷つけてしまって、後悔はありますね」

エステ店側は「客の自己責任」と主張

 浅井さんが施術を受けたエステ店は客にやけどを負わせたことをどう考えているのか。取材班はオーナーの男性A氏に話を聞くことができた。

 (エステ店オーナーA氏)
「やけどについては認識していない。仮にやけどをさせたとしても、契約時に不服を申し立てないことに同意しているため、自己責任となる」

 客にやけどを負わせたことで業務上過失傷害の罪などに問われる可能性もあるが、A氏は「エステ店側に非はなく、やけどはあくまでも客の自己責任だ」と話した。

 またA氏は「この店でやけどを負った人はいない」と話したが、取材後に浅井さんに連絡を取り、「店の評判を落とすような言動をすれば損害賠償を請求する」と告げたという。

医師が指摘『エステ店の知識不足』『管轄する行政組織がない』

 エステ脱毛でやけどを負った患者を治療した経験がある岸和田形成外科の白川裕二医師は、施術するエステ店側の知識不足が問題だと指摘する。

 (白川裕二医師)
 「元々黒ずみがある方、肌の質として色黒の方というのはやけどが起こりやすいので、そういったものを評価せずに照射してしまうと当然やけどが起こります。医療脱毛を行う医師・看護師は共に国家資格を取得しています。体を扱う医療を専門としておりますのでエステティシャンの人とは知識が全然違う」
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 またトラブルを減らすためにはエステ脱毛を所管する行政組織が必要だと訴えた。

 (白川裕二医師)
 「料理店を開業する時にも当然保健所に登録・申請が必要だと思うんですけど、エステというのは登録が必要ない。そうすると何かトラブルが起こっても、行政としてもそこの管轄がないので指導のしようがない。体を守る、健康を守るという仕組みができていない。エステにおいてはそういう状況だと思います」

 全国に約2万店以上あると言われているエステ脱毛店。“キレイになりたい”という思いを裏切らないためにも法整備が求められている。

2023年06月22日(木)現在の情報です

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