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特命取材班 スクープ

「撮影したものを消さない限り村から出さない!」違法『痩せるゼリー』ボスNを追いベトナムの村へ...そこで30人ほどに包囲された取材班 ボスN「おまえら日本人はバカすぎる」

2023年01月18日(水)放送

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 『痩せるゼリー』で健康被害を訴える声が続出。原因は違法成分「シブトラミン」だ。なぜこのような商品が出回っているのか?去年、MBSは名古屋にある輸入品販売会社を直撃したものの、もぬけの殻で真相解明には至らなかった。しかしこのゼリーをめぐって新たな動きが。さらに取材班は『ボスN』を追ってベトナムへ向かった。

違法成分入りゼリーを販売目的で所持疑い…ベトナム国籍夫婦を逮捕

 (記者リポート 1月18日)
 「午前7時20分です。健康被害が相次ぐ危険な痩せるゼリーを販売していたとみられるベトナム国籍の男が捜査員に連れられて出てきました」
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 逮捕されたのは東京都荒川区に住むベトナム国籍の妻のグエン・ティ・サオ容疑者(26)と夫のグエン・アン・トゥアン容疑者(31)。
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 警察によると、2人は去年12月、日本では承認されていないシブトラミンなど複数の医薬品成分が含まれた「Detoxeretゼリー」930本を販売する目的で所持した医薬品医療機器法違反の疑いが持たれている。シブトラミンは、アメリカでは痩せ薬として肥満治療に使用されていたが、54人が死亡して販売中止になっている。
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 妻のグエン容疑者が販売を主導し、夫のアン・トゥアン容疑者が商品の発送作業などを担当。フリマサイトで販売していたと見られている。

 【商品説明より】
 『1か月8-15キロ減らせる』
 『あなたに理想的な体を与えます』
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 “食べるだけで痩せる”とうたい、サイトではゼリーのほかにチョコレートやグミなどを販売していた。MBSが独自に鑑定した結果では、これらの商品にもゼリーと同じシブトラミンが含まれていた。2人の自宅からこれらのダイエット商品が400箱以上押収されたという。一体なぜ2人は販売に手を染めたのか。

 (グエン容疑者に話しかける記者 1月18日)
 「グエンさん。ゼリーには危険な成分が含まれていたんじゃないんですか。違法だとわかっていましたか。なぜ日本でゼリーを販売しようと思ったんですか。健康被害いっぱい出ていますよ」

 警察の取り調べに対して妻のグエン容疑者は「違法な成分が入っていないと思っていた」、夫のアン・トゥアン容疑者は「妻が一人でやっていた。私には関係ない」と容疑を否認しているという。

取材で浮上した人物『ボスN』

 しかし、逮捕された2人は、ある人物から商品を仕入れて販売していただけだとみられている。この商品の出どころをたどると『ボスN』という人物が浮かび上がってきた。ボスNはさまざまなダイエット食品をプロデュースする敏腕社長といわれている。

 【ボスNが話す動画より】
 「これを私が日本に輸入して2年がたちました。品質を保証する書類も充実していますし、この商品には絶対的な自信があります」

 自身の商品を饒舌に宣伝するボスN。一体、何者なのか?
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 取材班はある手がかりを見つけた。それは痩せるチョコを宣伝する動画だ。

 (タナカ氏(仮名) YouTubeより)
 「男性と日本からの最新の生産技術、フランス。それらの技術がベトナムに移転されるとき、私たちはハーブがその安全の効果を促進するのを助けるために何度も利益をもたらすと確信しています」
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 不自然な日本語で話すのはタナカ氏(仮名)。動画の中でボスNと握手を交わすなど親しい間柄のように見える。取材班はベトナムの日系企業に勤めるというタナカ氏に連絡を取ってみた。すると…。

 (タナカ氏(仮名))
 「これはカンペを渡されて、でたらめな日本語を適当に読むというだけのアルバイトです。日本人を出演させて、良いものだと信用させているようです」

 ボスNとは撮影日に顔を合わせただけで、痩せる商品のことは全く知らないという。だが動画が撮影されたベトナムにボスNの拠点があるようだ。

ゼリーの箱に書かれた住所を頼りにベトナムへ

 真相を確かめるべく取材班が向かったのはベトナムの首都ハノイ。ゼリーは一体どこで作られているのか?ゼリーの箱に書かれた住所を頼りに、郊外にある製造会社へと向かった。しかし、周辺にはそれらしき建物は見当たらない。
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 (記者&通訳)「この会社がどこにあるか知っていますか?」
  (近所の人)「会社名は?ああ、この会社なら知っていますよ。案内板があるところを右に曲がってください」
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 教えられた方へ向かうと建物があった。

 (記者リポート)
 「近所の人によると、ここが製造会社ということなんですけど。周りがトタンで囲まれていて、中の様子はよく見えません」

 “痩せる商品”はここで作られているのだろうか?

   (記者&通訳)「(商品を見せて)これを作っている会社はどこですか?」
 (受付にいた男性)「私はきのう入社したばかりで何もわからない」

 受付にいた男性は我々に「何も知らない」と話したが、しばらくすると…。
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    (カメラマン)「誰か出てきたよ」
 (中から出てきた男)「なんで写真を撮っているんだ」

 中から出てきた男性が取材班に撮影は禁止だと伝えてきた。
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 周囲には複数の防犯カメラが設置されていて警戒しているようだ。

会社の関係者らしき女性「なんで写真を撮ったの?」

 近所で聞き込みをすると、きな臭い話が聞こえてきた。

 (近所の人)
 「このチョコレートで警察が来ました。警察が来てからやり方が変わりました。夜中に作ってすぐに商品を搬出しているみたいです」

 やはり商品はここで作られているようだ。
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 再度、取材を依頼しようと、来た道を戻ると、そこに我々を待ち構える会社の関係者らしき女性が。

 (記者)「何しているんですか?」
 (女性)「なんで写真を撮ったの?」
 (記者)「(商品を見せて)これ知らない?これ知らないの?」
 (女性)「わかりません」
 (記者)「でもこれ住所…」
 (女性)「知らない」
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 撮影されたことに過剰に反応する女性。取材に応じることはなく、我々が立ち去るまでスマホで撮影し続けていた。

ボスNの自宅へ向かう…そこに現れたのは

 ボスNは一体どこにいるのか?取材班はさらに車を走らせ、ボスNの自宅がある村に向かった。

 (記者)「着いた。道が狭いですね」
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 早速、近くの人にゼリーを知らないか尋ねてみると…。

 (近くにいた人)
 「痩せる商品ならあそこの太ったおばさんの家が関係あるよ。行ってみてください」

 近くにボスNの母親が住んでいるという。写真を見せると、ボスNはその家の娘で間違いないらしい。
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 教えられた家の方へ向かった取材班。目の前で立ち止まると、赤いスクーターに乗った男性が我々を見ている。そしてスクーターをUターンさせて近づいてくると、すぐに話しかけてきた。

 (スクーターに乗った男性)
 「なんでうちを撮影しているんだ?なんでこんなに付きまとうんだ?」

 会ったばかりなのに「付きまとうな」という男性。ボスNの関係者のようだ。ところがゼリーを見せても知らないという。すると次の瞬間。

 (カメラマン)「誰か出てきたよ」
    (記者)「おばさん出てきた」
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 ボスNの自宅から出てきたのは黄色い服の中年女性。

 (中年女性)「何しにきたんだ!何がしたいんだ!目的はなんだ!私は何もしていない!」
   (記者)「危ない。危ないでしょ!危ないでしょ!」
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 中年女性はボスNの母親で、道端に落ちていたレンガを手に襲いかかってきた。取材班が必死に制止するも興奮は収まらない。

 (カメラマン)「車回すわ」
    (記者)「車回しましょう」
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 突然のトラブルに急いで車へと戻り、すぐに出発するよう運転手に伝える。

    (記者)「ロックして。ロックして。車ロックして」
 (カメラマン)「バックバック。フルスピードバック。プリーズプリーズ」
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 ボスNの母親が何度も窓を叩いてくる。30人ほどに車を囲まれ、身動きが取れなくなった。

     (記者)「ドントオープン」
 (ボスNの母親)「撮影したものを消さない限り村から出さないわよ!」
  (カメラマン)「どうしようもないね」

 こうして我々は取材を中断せざるを得なくなった。

帰国後…ボスNに電話すると返信が

 帰国後、去年12月に取材班は改めてボスNに接触を試みた。ボスNに電話してみたが、何度かけても電話は通じない。
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 すると2時間後、たった一言、日本語で「バカ」とだけ返信がきた。
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 違法なゼリーを販売する目的を聞いてみると…。

 (ボスNからの返信)
 『おまえら日本人はバカすぎる』

 そしてこの後、ボスNからの返信は途絶えた。

 (ボスNからの返信)
 『話したいのならここに来い。また来る度胸があるならな』

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