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アスリートの性的盗撮...現役学生の証言「あ、撮られているなと」私服警察官に密着してわかる検挙の難しさ...声かけした怪しい男性の正体は?

2022年11月30日(水)放送

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 アスリートに対する性的な盗撮が問題となっている。SNS上にはアスリートの盗撮写真に性的なコメントをつけるなどした投稿が多く見られる。撮られている人の中には一般の中高生もいる。その実態に迫った。

横行する『アスリート盗撮』

 高校生の陸上競技大会。京都市右京区で開かれた大会では、生徒たちが競技に打ち込む中、スタンドに私服警察官の姿があった。
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 彼らが警戒しているのはアスリートへの盗撮だ。
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 SNS上にあふれるアスリートたちの画像。

 【SNSの投稿より】
 『陸上女子調べたらエロいな』
 『太もも周りがピチピチでスパッツがたまらない』

 無断で転載された画像には第三者の好き勝手なコメントが添えられている。今、スポーツ界で問題になっているのがこうした盗撮だ。競技を撮るためではなく、性的な意図でアスリートにカメラが向けられているのだ。

学生「明らかに盗撮している角度」「跳躍時にいっぱいカメラ持つ人が…」

 その中でも盗撮が相次いでいるのが陸上競技。地区大会などでは観客が自由に出入りしやすく十分な警備体制が整わないのが狙われる理由だ。陸上競技を行う学生に話を聞いた。

 (短距離の学生)
 「試合で走り終わった後に、明らかに携帯の角度が『盗撮しているな』っていう角度があって。こういう角度で追われている感じだったので、『あ、撮られているな』となりました」
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 棒高跳びを行う学生は、仲間に撮影してもらった映像を見て、大勢の見知らぬ人からカメラを向けられていたことを知った。
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 (棒高跳びの学生)
 「自分が跳躍するときにスタンドにいっぱいカメラを持っている人がいたという感じですね。跳び終わった後とかもずっとカメラを回しているなと。一眼レフもあるし携帯もある」

陸上大会で警戒に当たる『私服の捜査員』の難しさ

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 無防備な選手たちが狙われる現状を警察も体育連盟も深刻に捉えている。競技場の至るところに盗撮禁止を呼びかける看板や目隠しのシートを設置。さらに種目の合間にも場内アナウンスで警戒を呼びかけている。

 (場内アナウンス)
 「盗撮を高体連陸上競技専門部では撲滅したいと考えております」
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 今年8月の陸上大会には私服の捜査員約10人の姿もあった。

 ちょうど1年前のこの大会で、40代の男性会社員が当時高校2年の女子生徒の下半身を執拗に盗撮し、迷惑防止条例違反容疑で書類送検された。警戒中の私服警察官が発見した。

 だがアスリートへの盗撮は検挙のハードルが高い。一般のカメラマンや保護者にまぎれこみやすい上、正当な撮影との線引きも難しい。

グラウンドの外で長時間…大会の様子を見つめる“怪しい”男性

 大会中、捜査員が1人の男性に目をとめた。

 (捜査員)「あれ…狙っているんだろうか?」
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 (捜査員)「ほんまに目で楽しんでいるんか陸上が好きなんか。どっちかかなと。こんな昼間に1人でね」

 グラウンドに入ろうとせず、外からじっと見つめている。
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 【捜査員たちのやりとり】
 「携帯持っているだけ?まだ。女の子とは別に関係なさそうな感じやんな」
 「最初に来たときからずっといるの?」
 「そうなんですよ」
 「ということはかれこれ…」
 「30分…もう1時間近くですね、たぶん」

 怪しい振る舞いの男性。捜査員がついに声をかける。

 (捜査員)「すみません、こんにちは。京都府警なんです。大会関係者の方ですか?」
  (男性)「全然」
 (捜査員)「あ、関係ないですか。今、世間で『アスリート盗撮』ってよく言うてるやないですか。ごめんなさい申し訳ないです。ありがとうございます。すみません」
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 この男性は大会に参加している娘を本人には内緒で外から見守っていただけだった。

  (男性)「ずっとこうやって携帯持っているからでしょ」
 (捜査員)「そういう人には声かけさせてもらっていて」
  (男性)「大丈夫です」
 (捜査員)「すみません。どうもありがとうございました」

 大会期間中、3日間で7人に職務質問をしたものの、今回は盗撮犯は見つからなかった。

透過撮影できる『赤外線カメラ』での被害も

 インターネットに上げられているモノクロの写真。よく見るとユニフォームが透けている。
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 陸上ユニフォームを手がける埼玉県熊谷市の会社「クレーマージャパン」にも、「選手が赤外線カメラの被害にあっている」と陸上連合から相談が寄せられた。
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 ユニフォームの下に下着を着せたマネキンを赤外線カメラで撮影すると模様がはっきりと見えた。

 (クレーマージャパン 青葉貴幸取締役)
 「一般的に薄くて軽いものが求められる部分がありますので、赤外線撮影によっては、より透かして撮影ができてしまう」
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 こうした被害を防ごうと開発されたのが特殊な素材でできたウェア。ユニフォームの形や機能性を変えずに赤外線カメラの悪用からアスリートを守ることができる。
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 (クレーマージャパン 青葉貴幸取締役)
 「全ての大会でしっかりと規制がかけられているかというと、そうではないと思いますし。万が一のことを考えたときには、ショットガード(透過撮影を防止する商品)のような素材を用いたウェアがあれば」

 だが、選手のための技術開発が進んでも、盗撮そのものがなくならない限りいたちごっこになってしまうのが現実だ。

田中理恵さん「こういう見方で撮ってもらうために演技してるんじゃない」

 2012年のロンドンオリンピック体操女子団体で8位入賞した田中理恵さん。田中さんも現役時代にカメラに悩まされる経験があった。

 (元体操選手 田中理恵さん)
 「例えば段違い平行棒で開脚倒立っていうのがあって、開脚をした瞬間にカシャカシャって音が聞こえるとか。普通にもしかしたら技を撮っているのかもしれないですけど、シャッター音がすごく耳に入ってくるようになって。『こういう見方で撮ってもらうために試合で演技してるんじゃないんだけど』という、ちょっと熱いというか怒りというか、そういう気持ちになりましたね」

 盗撮された写真が週刊誌に載っていると友人から聞かされたこともあったという。

 (元体操選手 田中理恵さん)
 「演技が始まる直前までレオタード姿にならない自分も当時はいたので、何かしら傷ついてはいましたけど。でもやっぱり夢・目標のために私は自信を持っていつも演技をしていました。(アスリートを)変な目で見る時代が早くなくなることが一番うれしいですけど、『選手たちも負けないで』って応援したい」

 練習の成果を発揮する晴れ舞台。そこに悪意あるカメラマンが潜んでいる。アスリートの活躍を切り取るはずのカメラが一部で選手たちを脅かしている。

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