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「そのひと言は今でも許せない」副市長2人が異例の退任...泉房穂市長の暴言が引き金?本人は否定「不満は聞いていない、ハラスメント行為はしていない」

2022年09月28日(水)放送

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 兵庫県明石市の泉房穂市長は、過去には市職員へのパワハラ発言で辞任に追い込まれた一方で、明石市を子育て世代にアピールして9年連続人口増に導き市民から評価されている。そんな中で今年3月に市長を支える副市長2人が任期途中で異例の退任をした。明石市役所内で一体何が起きていたのか。泉市長を直撃した。

兵庫・明石市で2人の新しい副市長が誕生

 満面の笑みを浮かべる明石市の泉房穂市長。9月27日、2人の新しい副市長が誕生したのだ。実は明石市ではナンバー2の副市長が半年間不在となっていた。一体、何が起きていたのか。

 (泉房穂市長 今年1月)
 「最初にトップ同士が話をしないと実務者の協議に意味はありません。なので当然、斎藤知事と私の協議の場がまず要ります」

 兵庫県知事にも厳しい意見をぶつけ、一回り以上年の離れた井戸敏三前知事とも数々の激論を交わしてきた“モノ言う市長”。

 (泉房穂市長 2020年8月)
 「大阪は頑張っていて兵庫は頑張っていないと、かなり多くの県民がそう思っているのが事実です。県民としての信頼は得られていません」
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 泉市長は東京大学を卒業後、国会議員の秘書や弁護士などを経て、2011年に市長に初当選。11年余りにわたり明石市をけん引してきた。市民に泉市長の印象を聞いた。

 (明石市民)
 「子育て政策はすごくいろいろしてくれていて、すごく助かっているというイメージがあります」
 「言葉は悪いけどすごくやる気のある人だと思います。明石市を良くしてくださっています」

 好意的な意見の背景にはその行政手腕がある。明石市は9年連続で人口が増え、税収は32億円増加(2020年度)。高校3年生までの子どもの医療費や保育料を無料化するなど、子育て世代への手厚い政策が評価されている。

 また、自身のTwitterのフォロワー数が30万人を超えるなど、その人気は破竹の勢いだ。

前副市長2人が任期途中で異例の退任

 しかし今年3月末、明石市役所に激震が走った。和田満副市長と宮脇俊夫副市長が突然退任したのだ。市のナンバー2が任期途中に、しかも2人同時に退任。その理由について泉市長は次のようにコメント。

 (泉房穂市長)
 「4月1日の新たなスタートにあわせて区切りをつけたいというご趣旨でございましたので。私としては3月末で新しい体制をという理解です。それ以上でも以下でもないで す」

 しかし宮脇前副市長は新年度から始まる街づくりの指針の策定など重要政策を担当。このタイミングでの退任は不可解だ。
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 取材を進めると、ある土地を巡る市長と副市長の確執が浮かび上がってきた。明石市が不動産会社から買収したJR大久保駅南側の土地。退任した宮脇前副市長に話を聞くと、この土地買収の過程で、不動産会社との交渉にあたっていた職員を泉市長が侮辱したという。

 (宮脇俊夫前副市長)
 「市長が(交渉担当の)総務局長と弁護士課長に『お前ら不動産会社から金もうてんのか』と言ったんです。私はその一言だけは今でも許せない」
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 副市長が不満を持ったのはこれだけではなかった。

 (宮脇俊夫前副市長)
 「(泉市長は)『人は金と地位と恐怖でしか動かない』と言う。『特に職員は恐怖で…』と言っていますから」

 今年1月、副市長2人はこうした態度を改めるよう辞表を手に泉市長に直談判したという。

 (宮脇俊夫前副市長)
 「最後、クビをかけて(泉市長と)お話しようかと話をしたら、(泉市長は)『あぁそうですか』で終わってしまった。職員に対する考え方が違うままで、もう耐えられないと思った」

 泉市長が説明した「年度替わりの区切り」とは明らかに異なる証言だった。

暴言後の出直し選挙で圧勝…“誰も市長に物申すことが出来なくなっていった”

 泉市長は過去にも職員への暴言トラブルを起こしている。

 (泉房穂市長の音声 2019年)
 「なんもしてないやろ、7年間。立ち退きさせてこい、お前らで。今日、火をつけてこい。今日、火をつけて捕まってこい。燃やしてしまえ」

 3年前には道路工事を進められなかった職員に対して暴言を吐いた責任を取って辞職。
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 (泉房穂市長 2019年)
 「街のイメージを損なったことに対して、明石市民に対して、市長として本当に申し訳ないと…」

 しかし、その後の出直し選挙で圧勝し、誰も市長に物申すことが出来なくなっていったという。
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 現役の明石市職員も市役所の現状をこう証言する。

 (明石市職員)
 「単なる感情の爆発といいますか、大きな声を出してですね、職員を畏縮させようとする意図は、それは私の想像ですけれどもあるんじゃないかと思います。アンガーマネジメントをしておられたみたいですけれども、その効果というのは感じられないですね」
 「特に幹部の人間でも中身の吟味ではなくて『市長が言っているからこうしなきゃいけない』というような、イエスマン的な流れというのは強くなっているというふうに私は感じますし、そういう声もよく聞きます」
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 “ワンマン市政”とも言える状況について、地方自治に詳しい関西大学の小西秀樹教授は「市政運営で問題を引き起こす可能性がある」と指摘する。

 (関西大学・政策創造学部長 小西秀樹教授)
 「政策や公約がいくら評価されても、リーダーとして市役所内部のマネージメントをうまく進めなければ、市役所内部で問題が処理されない。地域の住民から見れば結局は市役所や市の行政に対する失望につながってしまう」

泉市長を直撃取材『ハラスメントと言われるような行為はしていない』

 そして9月27日、副市長の退任の理由を泉市長に改めて尋ねた。

  (記者)「同時に退任された理由を、市長は『区切り』だというふうにおっしゃっていますが、それは本当にそうで間違いないでしょうか?」
 (泉市長)「2人からそう聞きましたし、そうとしか聞いていないので。クレームも聞いていませんし、不満も聞いていないので」
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 土地買収を巡る職員への暴言については次のように話した。

  (記者)「(総務局長への)『金もろてんのか』という発言はなかったということですね?」
 (泉市長)「だから、それはないです。趣旨としては『どっち向いとんや』は言ったと思います。『どっち向いて仕事しているんだ』が口癖なので」
  (記者)「市長は、職員を“金・恐怖・地位でしか動けない”と認識されている、と。副市長は『職員は信頼で管理するべきだ』と市長に指摘したのではないか?」
 (泉市長)「それは事実ではないです。それはまったく事実ではないですね」
  (記者)「退任された副市長がうそを言っているということですね?」
 (泉市長)「私は副市長からそういった話を聞いたことが一度もないし、他の職員からも今言っておられるような話は聞いたことがないので。3年前の一件もあって気を付けている認識なので、いわゆるハラスメントと言われるような行為はしていない認識です」

食い違うそれぞれの主張

 ただそれぞれにはそれぞれの主張がある。

 任期を残して退任した前副市長は、「市長が(交渉担当の)総務局長らに『お前ら不動産会社から金もうてんのか』と言ったんです。私はそのひと言だけは今でも許せない」と発言。

 泉房穂市長は、9月27日の会見で「クレームも聞いてませんし不満も聞いていない」と述べ、『金もうてんのか』発言については「それはないです。いわゆるハラスメントといわれる行為はしていない認識」と話した。

 一方で、毎日放送の金咲和歌子記者は、会見とは別の機会に泉房穂市長に取材。9月28日の毎日放送「よんチャンTV」で以下のように説明した。

 (毎日放送 金咲和歌子記者)
 「9月27日の会見では市長は全て否定されましたが、先月、市長と私と、もうひとり市の職員と3人の場で、カメラが回っていないところで同じ質問をぶつけました。その際に、『金もうてんのか』という発言については、『実際そういう発言をした』と、カメラが回っていないところでは私にはそのように話されました。副市長からその言い方酷いんじゃないかという指摘もあったと。ただそれについても『正直言い方が悪かったと反省した』と、私に話されていました。副市長から『市長についていけない』というような発言があったことも認めておられたんです。ただ、27日の会見ではそれはまるでなかったかのように全て否定されたところが、少し困惑しています」
 (Q金咲記者も会見に参加して、“こないだ言っていたことと違うのでは”と聞いた?)
 「もちろん言いました。私はメモをとっていたので、『あのインタビューは一体何だったのですか?』と聞くと、市長は『そのメモに信ぴょう性がないから』と。私の証言が信じられないと、自分は間違っていないと話されました」

 絶大な支持を集める一方で、市役所内で生じる不協和音。市民のためにも信頼関係の再構築が求められているのではないだろうか。

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