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『#使用済みマスク売ります』口紅や化粧の汚れが"付加価値"に?SNSでマスクを売る"シングルマザーや女子大生たち"「最初は気持ち悪いけど慣れれば平気」

2022年08月24日(水)放送

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 いまSNSには「#使用済みマスク売ります」と書かれた書き込みが相次いでいるという。この使用済みマスク、販売しているのは主に若い女性とみられているが、彼女らはなぜマスクを売るのだろうか。

SNS上で『#使用済みマスク売ります』目的は?

 マスクは本来、感染症から身を守るために着用するものだ。しかし、いまSNS上で使用済みのマスクを売る人たちがいる。

 【SNS上の投稿より】
 『#使用済みマスク売ります』
 『欲しい人DMください』
 『1枚500円 3枚1200円』
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 一体、何の目的で?SNSを辿っていくと、使用済みのマスクを売っているのは多くが若い女性。キスマークや化粧の汚れが“付加価値”となっているようにも見える。中には「女子中学生」だという販売者も。
 取り引きの実態を調べるため、複数のアカウントにメッセージを送り、購入方法などを尋ねてみた。すると…。
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 (記者)
 「早速、返事がきています。『DMありがとうございます!PayPay先払いのみ、発送はレターパックか普通郵便です。マスクでしたら3枚500円+送料になります』とのことです」

 相場は1枚あたり500円~1000円ほど。まとめて複数枚を購入すると“お買い得”になることが多い。PayPayなどでの先払いが主流のようだ。

購入すると『口紅などの痕がついたマスク』が郵送で届いた

 取材班があるアカウントとやりとりをすると、使用済みマスク3枚セットで1000円。送料も合わせて1370円を要求してきた。

 24歳のシングルマザー、支払い方法はアマゾンギフト券だという。「購入する」と伝えると、レターパックの写真とともに返信がきた。

 (女性からの返信)
 『こちらはお間違いないですか?』

 このレターパックの中に、使用済みマスクが入っているようだ。さらに、1000円を支払えば「10分間、電話で話せる」とも。
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         (記者)「いつからどういうきっかけで売り始めたんですか?」
 (シングルマザーの女性)「けっこう最近ですね。お金に困っているからですね。友達がやっていて、『困っている』って言ったら『こんなのやっているよ』って教えてくれて。気持ち悪いかもしれないですけど、欲しい人がいるならいいかと思って」
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 電話で話を聞くと女性は、パチンコ店のアルバイトで生計を立てているが、それだけでは暮らしていけず“マスク売り”を始めたのだという。受話器越しには幼い子どもの声が聞こえた。

         (記者)「使用済みマスクを売ることに抵抗とかは?」
 (シングルマザーの女性)「ないです。本当に必死すぎて。これ以上(アルバイトなどで)家を出ていくのを増やしたら子どもと過ごす時間がなくなってしまいますし。これだったら家でやれて郵送のみなので」

 このやりとりから3日後、レターパックが届いた。
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 (記者)
 「品名は『衣類』と記載がありますね。ビニール袋に包装されて、使用済みのマスクが3枚入っていました。口紅のような痕がついていますね。化粧の痕でしょうか。汚れも付着しています」

 確かにマスクが3枚入っていた。口紅などの痕がついていて実際に着用していたことがうかがえる。

衛生上に問題は?専門家「ウイルスが残っている可能性はゼロではない」

 SNSで売買される使用済みマスク。衛生上は問題ないのか?取材班は届いたマスクを研究機関に持ち込み、京都府立医科大学・感染病態学の廣瀬亮平助教に見てもらった。

 (京都府立医科大学・感染病態学 廣瀬亮平助教)
 「新型コロナウイルスですと、サージカルマスクで24時間以上は生存できると。最長でいきますと7日近く生き残る可能性があると示唆している論文もありますので、感染力があるウイルスが残っている可能性はゼロではないかなと。(マスクを)もともとしていた人の病気が貰い手にうつる可能性というのは十二分にあるし、郵便物のやりとりの数日間のスパンでは、完全に(リスクを)解除するのは難しい場合もあるんじゃないかと」

「最初は気持ち悪かったけど…慣れれば平気」アルバイト感覚で売り始める人たち

 しかしなお、危険を顧みず使用済みのマスクを売る人は後を絶たない。都内に住む20歳の大学生は、アルバイト感覚で売り始めたという。この女性にも電話で話を聞いてみた。

 (女子大学生)「マスクとか洋服とか、あとなんだろう。結構売れるものだったら何でも売っています。タイツ・靴・靴下…。コロナで暇になったのもあるし、楽に稼げるんだったらいいかなと思って」
    (記者)「怖くないんですか?」
 (女子大学生)「実際に会うわけじゃないので」
    (記者)「本当に着用したもの?新品を使用済みに見せかけている?」
 (女子大学生)「いや、見せかけてはないですね。なんかいっぱいいますね、連絡くれる人は。そういうフェチというか変態みたいな。最初は気持ち悪くて戸惑っていたんですけど、慣れれば平気でしたね」

「本当に生活に追いつかなくって」

 さらに、「直接会って手渡しで売る」という女性もいた。取材班は、この女性と会って事情を聞くことに。待ち合わせ場所は、大阪・梅田のHEP前。やってきたのはショートヘアーにロングスカートの女性、24歳だという。

 (記者)「おいくらでしたっけ?」
 (女性)「500円です」
 (記者)「何日前に使った?」
 (女性)「きのうです」
 (記者)「実はテレビ局の人間でして…」
 (女性)「そうなんですか?」
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 記者だと明かした上で事情を聞いてみた。

 (女性)「保育士やっていたんですけど、退職しちゃって。その間って感じです」
 (記者)「“つなぎ”みたいなこと?」
 (女性)「“つなぎ”です。ちょっと色々あって、その後すぐ仕事をやるはずだったんですけど、なくなっちゃって。要らなくなったものが売れるなら、その方がいいなと」
 (記者)「これで稼いだお金は何に使うんですか?」
 (女性)「生活費の足しですね。(マスクを売らないと)本当に生活追いつかなくってという人もいる」

 女性は「怖さと後ろめたさを感じている」とも話した。
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 渡された封筒の中にはマスクが1枚。手紙も添えられていた。

違法性を問うのは難しいが「より大きな犯罪に巻き込まれるリスクはある」

 弁護士はこうした売買が広がる背景に違法性を問うことの難しさがあると指摘する。

 (アトム市川船橋法律事務所 高橋裕樹弁護士)
 「何度も売り買いをして、ビジネスになっているようなケースだと古物営業法違反になったりするんですけど、なかなかそこまでいくケースも少ない。青少年健全育成条例違反などの可能性もあるんですけれども、昔でいう“ブルセラ”の規制の対象は下着・唾液・糞尿なので、さすがにマスクは下着には当たらないだろうと」

 一方で、こうした売買が犯罪の温床になり得るとも話した。

 (高橋裕樹弁護士)
 「対面で売るという話になってしまうと、それをきっかけに何らかの危険な目に遭ったりとか、売春の温床になったりとかはあり得るので、マスクをきっかけに、より危険な行為とか、より大きな犯罪に巻き込まれるリスクはあるんだろうと思います」

 実にカジュアルに取り引きされる使用済みマスク。一刻も早く、規制が必要ではないだろうか。

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